Dell Technologies Earnings Call Transcriptまとめ

特に言及がない限り、情報ソースはSeeking Alpha、まとめはClaude 3 Opusによります。


Dell Technologies 2025年度第1四半期 Earnings Call Transcriptまとめ

To be updated on 30th May.

Dell Technologies 2024年度第4四半期 Earnings Call Transcriptまとめ

会社紹介

Dell Technologies Inc.は、PCやサーバー、ストレージ、ネットワーキング製品などのIT製品とサービスを提供する大手テクノロジー企業です。事業ポートフォリオはClient Solutions Group (CSG)とInfrastructure Solutions Group (ISG)の2つに大別されます。

CSGは法人向けおよび個人向けPCを取り扱っており、世界第3位のシェアを有しています。ISGは法人向けにサーバー、ストレージ、ネットワーキング製品、関連サービスを提供しており、特にサーバーとストレージでは世界トップクラスのシェアを持っています。

Dell Technologiesは長年培ってきた直販モデルと幅広い販売網を武器に、大企業から中小企業、公共機関、個人に至るまで幅広い顧客基盤を持ち、グローバルな事業展開を行っています。AI、マルチクラウド、エッジコンピューティングなどの新領域にも積極的に取り組んでおり、ITインフラの変革を牽引しています。

コールの内容

1. 2024年度通期の業績

2. 第4四半期の業績

3. 各事業セグメントの動向

4. AIへの取り組み

5. 2025年度の見通し

6. 質疑応答

全体のまとめと今後の見通し

Dell Technologies は2024年度の業績について、売上高が前年比10.9%減の884億ドル、営業利益が770億ドル、EPSが7.13ドルとなったことを発表しました。市場環境が想定よりも厳しい中、コストコントロールやキャッシュフローマネジメントに注力し、高い収益性を確保しました。

今後の見通しとしては、AIによるIT投資需要の拡大が追い風になると見ています。Dellは高性能GPUを搭載した最新AIサーバーで高いシェアを獲得しており、取り組み初期の企業向けAIインフラ需要の取り込みを進めていく方針です。加えて、データ爆発に伴うストレージ需要の拡大、PC更新サイクルの到来なども事業機会と捉えています。

2025年度は、ISGがAIサーバーを中心に二桁台中盤の成長、CSGが低単位台の成長を見込んでおり、全体では長期財務目標(売上高成長率3-4%、EPS成長率8%以上)を上回る水準での増収増益を見込んでいます。厳しい事業環境下でも、Dellの強みを活かして着実に成長機会を捉えていけるものと自信を持っています。

1. 2024年度通期の業績

2024年度の売上高は884億ドルで前年比10.9%減となりました。市況悪化の影響を大きく受けましたが、コストコントロールに努めた結果、営業利益率は8.7%と前年から改善し、770億ドルの営業利益を確保しました。EPS (希薄化後1株利益) は7.13ドルとなりました。

厳しい事業環境下でも、キャッシュフローマネジメントに注力した結果、営業キャッシュフローは87億ドルに達し、キャッシュコンバージョンサイクルは47日まで短縮されました。これらのキャッシュは株主還元にも積極的に振り向けており、自社株買いと配当により70億ドルを還元しました。

2. 第4四半期の業績

第4四半期の売上高は223億ドル(前年同期比11%減)、営業利益は21億ドル(同1%減)、EPS は2.20ドル(同22%増)となりました。ISGはサーバーとストレージの回復により前四半期比では改善したものの、CSGは引き続き厳しい状況が続きました。

粗利率は24.5%と前年同期比で0.7ポイント改善しました。ISGのミックス改善が寄与した一方、価格競争の激化により一部製品の利益率は低下しました。販管費は3.3億ドルまで抑制し、前年同期比12%減となりました。

3. 各事業セグメントの動向

ISGの売上高は93億ドル(前年同期比6%減、前四半期比10%増)となりました。

伝統的サーバー事業は、需要が前年同期比でプラスに転じ、3四半期連続の前四半期比成長となりました。ストレージ事業は、前四半期比16%増と季節性を上回る回復を示したものの、前年同期比では10%減となりました。ストレージ事業はサーバー事業からタイムラグをもって回復する傾向にあります。

CSGの売上高は117億ドル(前年同期比12%減)となりました。価格競争激化の中、Dell は利益率を重視したアプローチを継続しました。上位モデルを中心に一定のシェアは獲得したものの、低価格帯での競争は回避しました。同事業の営業利益率は6.2%と、前年から改善しました。

4. AIへの取り組み

AIサーバーの受注は前四半期比40%増加し、同サーバーの出荷額は8億ドルに達しました。バックログは前四半期比で約2倍に増加し、第4四半期末で29億ドルとなりました。需要はGPUの供給を大幅に上回る状況が続いていますが、高性能GPUのリードタイムは改善してきています。

Dellは、ハードウェアからソフトウェア、サービスまでカバーするエンドツーエンドのポートフォリオで、企業がAIを導入・活用するのを支援しています。特に、企業の大部分のデータはオンプレミスに存在することから、セキュリティやレイテンシの観点でオンプレミスAIインフラの需要は大きいと見ており、Dellのソリューションへの引き合いが増えています。

5. 2025年度の見通し

2025年度の売上高は910億ドルから950億ドルの範囲を見込んでいます(中央値の930億ドルは前年比5%増)。市場環境は不透明感が残るものの、AIによるIT投資需要の高まりを追い風に、ISGは二桁台半ばの増収、CSGは小幅な増収を見込んでいます。

粗利率は、AIサーバーの構成比上昇やコスト上昇圧力を受けて前年比1ポイント程度の低下を想定しています。一方、販管費は横ばいに抑える方針です。EPS (希薄化後1株利益)は7.50ドルと前年比5%増を見込んでおり、長期の財務目標(8%以上のEPS成長率)は十分達成可能と考えています。

第1四半期の売上高は210億ドルから220億ドルの範囲(中央値215億ドル、前年同期比3%増)を見込んでいます。ISGが二桁台半ばの増収となる一方、CSGは小幅な減収が続く見通しです。粗利率は、ストレージミックスの季節性とAIサーバーの構成比上昇により、前四半期比では低下する見込みです。

6. 質疑応答

質問者1: ストレージ事業の見通しについて、AIによる需要拡大の影響をどのように見ていますか?
Jeff Clarke: AI の活用が企業に広がるにつれ、大量のデータを処理する必要性から、ストレージ需要は拡大すると見ています。当社の高性能ストレージ製品は、拡大するAIワークロードへの対応力が高いと自負しています。本格的な立ち上がりはサーバーから2~3四半期遅れになるでしょうが、市場が立ち上がれば持続的な成長が期待できる領域だと考えています。

質問者2: AIサーバーのバックログ受注について、より詳しく教えてください。
Jeff Clarke: 受注顧客層は、大手クラウドに加え、幅広い業種の企業に拡がりを見せています。受注製品も多岐に渡り、各国政府レベルでのAI投資の動きも見られ始めました。当社の強みであるグローバルな顧客基盤を梃子に、官公庁を含む幅広い顧客の需要を取り込んでいきたいと考えています。案件パイプラインも順調に拡大しており、今後の成長を楽観視しています。

質問者3: 伝統的なサーバー事業が回復に転じた背景を教えてください。
Jeff Clarke: 需要は前年同期比でプラスに転じ、3四半期連続の前四半期比成長となりました。長い調整局面の後、ミッションクリティカルなワークロード用インフラの刷新需要が顕在化してきたものと見ています。景気回復に伴い企業のIT投資が本格化すれば、緩やかながらも着実な回復が期待できます。

質問者4: クライアントソリューション(CSG)事業について、足元のPC需要の状況をお聞かせください。
Jeff Clarke: 法人の慎重姿勢が続く中、価格競争は一段と激しさを増しています。当社としては利益率を重視する方針を堅持しており、一定のシェアは獲得しているものの、低価格帯での競争は意識的に回避しています。Windows10のサポート終了を控え、PCの更新需要は徐々に高まると見ていますが、本格化は来年後半以降になるでしょう。AI対応の新製品投入なども含め、需要の取り込みに備えていきます。

質問者5: AIサーバーの受注の中で、ハイパースケーラーと企業の割合はどの程度ですか?
Jeff Clarke: 正確な数字は開示していませんが、企業からの引き合いが大きく増えてきています。業種も金融、製造、公共など多岐に渡ります。当社の強みは、グローバルな顧客基盤をカバーする販売網を有していることです。AIの本番運用が広がるにつれ、セキュリティの観点からオンプレでの構築ニーズが高まると見ており、当社のエンドツーエンドのソリューションへの引き合いは増えていくと考えています。

質問者6: AIによる需要拡大で、ストレージとサーバーの連動はどの程度見込まれますか?
Jeff Clarke: 一般にストレージはサーバーの需要に2~3四半期遅れて連動する傾向にあります。AI向けのストレージは、テキストデータから画像、音声、映像など、より容量を必要とするデータへとシフトしていくことから、中長期的には、サーバー以上の需要拡大が見込めるかもしれません。GPU1つに対して追加的に2~3ドル規模のストレージ需要が創出されると試算しています。

質問者7: AIによる需要増はどの程度第4四半期のストレージ回復に寄与しましたか?

Jeff Clarke: 非構造化データ向けストレージは前年同期比でも前四半期比でも需要が拡大しており、AIトレーニング向けの需要増が主因と分析しています。伝統的な用途向けも前四半期比で季節性を上回る回復を示すなど、幅広い領域で回復の兆しが出てきました。
Yvonne McGill: 長期的にはAIの普及に伴いストレージ需要は拡大基調が続くと見ています。足元の回復ペースは緩やかですが、来期以降はAIの本格立ち上がりを追い風に成長が加速すると期待しています。

質問者8: 来期の粗利率見通しについて、AIサーバーの影響をどう見ていますか? PCの利益率見通しもお聞かせください。
Yvonne McGill: AIサーバーの高い伸びが全体の粗利率を一時的に押し下げる面はありますが、製品ミックスの改善により、利益率は着実に改善しつつあります。従来型より利益率は低いものの、四半期ごとに縮小してきています。一方、PCは大口顧客の購入時期が下期にずれ込む可能性が高く、上期は厳しい状況が続くものの、AI対応新製品の投入などにより、通期では利益率の維持を目指します。

以上がDell Technologies 2024年度第4四半期 Earnings Call の要旨となります。AIの活用拡大を追い風に、事業環境は徐々に改善に向かうものと期待されます。当社ではハードウェアからソフトウェア、サービスまでカバーするポートフォリオを活かし、拡大するAI関連需要を着実に取り込んでいく方針です。株主の皆様におかれましては、引き続き中長期的な視点で当社の成長を見守っていただければ幸いです。

Dell Technologies 2024年度第3四半期 Earnings Call Transcriptまとめ

目次

  1. 2024年度第3四半期の業績概要

  2. ISG事業の状況

  3. CSG事業の状況

  4. 財務状況と株主還元

  5. 2025年度の見通し

  6. 質疑応答

2024年度第3四半期の業績概要と今後の見通し

Dell Technologiesは第3四半期に売上高223億ドル、営業利益20億ドル、希薄化後EPS1.88ドルを計上しました。売上高は前年同期比10%減となりましたが、利益率は堅調に推移し、キャッシュフローも22億ドルと強く、バランスの取れた業績となりました。

第3四半期は、一部の市場で需要鈍化が見られた一方で、AIサーバーの需要は幅広い顧客で引き続き堅調でした。ISGでは、AIサーバーの需要が供給を上回る状況が続き、第3四半期のAIサーバー出荷額は5億ドルを超えました。CSGでは、8月までは需要回復の兆しが見られたものの、その後鈍化しました。特に大企業や法人顧客の消費には慎重さが見られました。

今後については、PCの需要回復は2025年度にずれ込む見通しです。一方で、従来型サーバーは回復の兆しが見え始めており、ストレージも数四半期遅れて回復すると予想されます。AIの追い風もあり、2025年度は成長軌道に戻ることを期待しています。技術進歩とデータ量の増加に伴い、当社の市場機会は拡大しています。景気動向に関わらず、当社はコア事業の成長と拡大、魅力的な利益を生む分野への注力、価格規律、コスト管理に注力していきます。

ISG事業の状況

ISGの売上高は85億ドルで、前年同期比12%減、前四半期と同水準でした。サーバーとネットワーキングの売上高は47億ドルで、前四半期比9%増加しました。これはAI最適化サーバーの需要増加によるものです。ストレージの売上高は38億ドルで、前年同期比13%減少しました。ISGの営業利益は10.6億ドルで、営業利益率は12.6%でした。売上高の減少が影響したものの、粗利率の上昇により一部相殺されました。

今後の見通しとしては、200億ドル規模の市場が今後数年で年平均7%の成長が見込まれており、当社の深いエンタープライズの専門知識を活かして成長を遂げる自信があります。

CSG事業の状況

CSGの売上高は123億ドルで、前年同期比11%減少しました。主に出荷台数の減少によるものですが、平均販売価格は横ばいでした。商用PCの売上高は98億ドル、コンシューマーPCの売上高は24億ドルでした。CSGの収益性は第3四半期も堅調で、営業利益は9億ドル、営業利益率は7.5%でした。売上高の減少が影響したものの、営業費用の削減と粗利率の上昇により一部相殺されました。

CSGの市場規模は4,000億ドルで、今後年平均2%の成長が見込まれています。当社は商用PC、コンシューマー向けハイエンド製品、収益性の高い相対的なパフォーマンス、サービス、ソフトウェア、周辺機器、ファイナンスの直接取引に注力していきます。

財務状況と株主還元

営業キャッシュ・フローは22億ドルで、運転資本の改善と収益性によるものでした。在庫は前四半期比で約2億ドル減少し、売掛金の回収は堅調、売掛金の滞留状況も改善が続いています。キャッシュ・コンバージョン・サイクルは前四半期からさらに改善し、現在はマイナス52日となっています。これは前年末から20日の改善です。

当社は第3四半期に1,120万株を平均66.55ドルで自社株買いを実施し、1株当たり0.37ドルの四半期配当を実施しました。

2025年度の見通し

企業や大手法人顧客は現在のマクロ環境下で慎重な姿勢を続けています。こうした環境下、当社は2025年度第4四半期の売上高を215億ドルから225億ドルの範囲でガイダンスしています。中間値は220億ドルです。ISGの売上高は前四半期比でミッドシングルディジットの成長を見込んでいます。これは従来型サーバーの前四半期比成長と、ストレージの季節要因による成長によるものです。CSGの売上高は前四半期比でローシングルディジットの減少を見込んでいます。PCの需要に一部安定感が見られるものの、PC市場全体の回復はまだ見られません。営業利益率は第3四半期と比べてわずかに低下する見通しです。これはCSGでのより競争的な価格環境によるものです。

2025年度の計画はまだ初期段階ですが、ポートフォリオの一部で安定化と変曲点の兆候が見られます。従来型サーバーとAI最適化サーバーの両方でそうした兆しがあります。2025年度は長期的な財務フレームワークを上回る成長を見込んでいます。大企業や法人顧客、特に米国でのIT支出の回復が機会となります。収益性のある成長に注力する一方で、競争環境とインフレによるインプットコストの上昇には注意が必要です。価格規律とコスト管理によってこれらの逆風を緩和していきます。当社のユニークな事業モデルを通じてキャッシュ・フローに注力し、株主に資本を還元し続けることを約束します。

質疑応答:

AIサーバー需要の勢いは続いており、需要はほぼ2倍に、受注残高は2倍になりました。第3四半期末時点のAIサーバー受注残高は16億ドルで、特にエンタープライズ顧客からの需要が大幅に拡大しました。第3四半期にAI最適化サーバーを5億ドル以上出荷し、AI最適化サーバーのパイプラインは3倍に拡大しました。AIは当社の従来型サーバーの犠牲にはなっておらず、今後4年間で18%のCAGRで成長し、約1,200億ドル規模の大きな市場機会があると見込んでいます。

2025年度は長期的な財務フレームワークを上回る成長を期待しています。従来型サーバーとAI最適化サーバーの両方で需要の変曲点が見られます。PCの成長はリフレッシュサイクルのタイミングに依存しますが、競合他社との競争激化やインプットコストの上昇には注意が必要です。

ISG事業では、AIサーバーのミックス拡大による利益率への影響は限定的でした。AIサーバーの利益率は改善しており、サービスとソフトウェアのアタッチが増えることで、今後さらなる利益貢献が期待できます。ストレージとネットワーキングにもAIとの関連性があり、当社の非構造化データ資産の機会は非常に大きいと考えています。

AIサーバーの受注残高には、当社のAI最適化サーバーのみが含まれ、HPC(高性能コンピューティング)やCPUのみのサーバーは含まれていません。需要シグナルの信頼性は高いと考えていますが、供給制約が続いており、リードタイムは39週間で推移しています。

AI PCについては、ローカルでAIワークロードを実行できる性能を持つPCと定義しています。AIチップを搭載したPCは大きな生産性向上をもたらし、PCのリフレッシュサイクルを促進すると期待しています。PCの2025年度の市場予測は約2億6,000万台と、回復を見込んでいます。

従来型サーバーは8四半期連続の需要低迷の後、足元で回復の兆しが見られます。大企業の需要回復やアップグレード需要の顕在化などが背景にあります。供給制約や部品不足は継続していますが、当社は供給確保に全力を尽くしています。

Dell Technologies 2023年度第4四半期決算カンファレンスコールまとめ

目次

  1. 2023年度第4四半期および通期の業績ハイライト

  2. セグメント別の業績詳細

  3. 需要環境と見通し

  4. 損益計算書の詳細と業績ガイダンス

  5. 質疑応答

2023年度第4四半期および通期の業績まとめと今後の見通し

Dell Technologiesは、マクロ経済環境の影響を受けながらも、2023年度は好調な業績を収めました。通期の売上高は過去最高の1,023億ドル(前年比1%増)、営業利益は過去最高の86億ドル(同11%増)、EPSも過去最高の7.61ドル(同22%増)となりました。特にISGは過去最高の売上高と営業利益を達成し、市場シェアを拡大しながら力強い成長を遂げました。

第4四半期は、ISGの好調なパフォーマンスとコスト管理の徹底により、売上高250億ドル(前年同期比11%減)、営業利益22億ドル、EPS1.80ドルと、コミットメントを達成する結果となりました。ISGは8四半期連続で成長し、当社のエンドツーエンドのビジネスモデルが競争上の優位性を発揮しました。

需要環境は引き続き慎重な姿勢が見られますが、顧客はデジタル投資を完全に停止しているわけではなく、支出を精査しつつもプロジェクトを計画し続けています。これは、今年後半には支出の反転と成長の再開が見込まれることを示唆しており、長期的な市場の健全性とビジネスモデルの優位性に対する当社の確信は揺るぎません。

2024年度は、少なくとも前半は厳しい状況が続くと予想されますが、業界をリードする当社の強みを活かし、顧客、チームメンバー、その他のステークホルダーに対するコミットメントを果たしていく方針です。不確実性に対応し、必ず訪れる反転に備えるべく、ビジネスのポジショニングを整えています。

2023年度第4四半期および通期の業績ハイライト

2023年度は厳しいマクロ環境下でも力強い業績を達成しました。前半は12%の成長を遂げた一方、後半は需要の低迷により売上高が9%減少する展開となり、最終的には「二面性のある年」となりました。それでも、過去最高の通期売上高1,023億ドル(前年比1%増)、過去最高の営業利益86億ドル(同11%増)、過去最高のEPS7.61ドル(同22%増)を達成しました。

特にISGは、サーバー、ネットワーク、ストレージのすべてで過去最高売上高を記録し、50億ドル超の過去最高営業利益を上げるなど、強力な1年となりました。当社は構造的にシェアを獲得し続けており、業界のアウトパフォーマンスを維持しています。IDCの集計結果が今月後半に公表されれば、メインストリームサーバーとストレージの売上高で1ポイント以上のシェア拡大を達成したことが明らかになるでしょう。

第4四半期は、コミットメントを達成し、あらゆる市場環境で実行力を発揮する当社の能力を再び証明しました。売上高は250億ドル(前年同期比11%減)、営業利益は22億ドル、EPS1.80ドルとなり、ISGの力強いパフォーマンスと規律あるコスト管理により達成しました。ISGは7%増の99億ドルで過去最高の収益性を記録し、8四半期連続で成長しました。当社のエンドツーエンドのビジネスモデルは、顧客支出がCSGからISGにシフトするなか、この変化する環境下で明らかな競争上の優位性を発揮しました。

一方、PCの市場環境は厳しい状況が続いています。歴史的な2021年から一転して、2022年6月に急速に減速し、第4四半期には大幅な落ち込みを記録しました。その結果、当社の第4四半期CSG売上高は前年同期比23%減の134億ドルとなりました。マクロ経済と雇用の不確実性により顧客がPC購入を先送りするなか、法人向け売上高は17%減とコンシューマー向けの40%減よりは底堅く推移しました。

セグメント別の業績詳細

ISG (Infrastructure Solutions Group)

ISGは第4四半期に過去最高の業績を達成しました。売上高は前年同期比7%増の99億ドルとなり、8四半期連続の成長を遂げました。ストレージは10%増の過去最高の50億ドル、サーバー・ネットワーキングは5%増の49億ドルとなりました。営業利益は過去最高の15億ドル、営業利益率は15.6%と前年同期比360ベーシスポイント改善しました。

ストレージでは、PowerFlex、VxRail、Data Protection、PowerStoreなどの主要製品で需要の拡大を実現しました。長年にわたって製品ポートフォリオを強化してきた投資が実を結び、2022年のストレージ市場が底堅く推移するなか、成長とシェア獲得を果たすことができたと考えています。

サーバー・ネットワーキングでは、厳しいサーバー需要環境下でも、サーバー出荷の最適化と高いアタッチ率、ASPの上昇により5%の成長を達成しました。これは、顧客のデジタル化アジェンダに深く関与し続ける当社の実力を明確に示すものです。

CSG (Client Solutions Group)

CSGは、PCの歴史的な2021年から一転、2022年6月に急速に減速し、暦年第4四半期には大幅な落ち込みを記録するなど、引き続き厳しい事業環境に直面しました。第4四半期のCSG売上高は、前年同期比23%減の134億ドルとなりました。

法人向け売上高は、顧客がマクロ経済と雇用の不確実性によりPC購入を先送りするなか、17%減の107億ドルとなりました。コンシューマー向けは40%減の27億ドルでした。

売上高の減少を受けて、CSG営業利益は6億7,100万ドル、営業利益率は5%となりました。価格競争の激化とチャネル在庫の増加が見られますが、当社は価格規律を維持し、ダイレクトアタッチモデルを推進し、PC市場の中で最も収益性の高いセグメントでの相対的なパフォーマンスに注力し続けています。

需要環境と見通し

第2四半期から指摘しているIT支出環境の広範な慎重姿勢は継続しており、顧客は現在のマクロ環境下で1ドルごとに精査しています。2023年度末にかけて、金融サービス、輸送、建設・不動産などの一部の業種では成長が見られました。しかし、その他のほとんどの業種、顧客タイプ、地域では、需要の低迷が続いています。

PCとサーバーの根本的な需要は依然として弱く、ストレージでも顧客の行動変化の兆しが見られます。第4四半期はストレージ需要が非常に好調な四半期でしたが、大手顧客の力強さが中堅・中小企業の減少を相殺するなか、販売サイクルの長期化とより慎重なストレージ支出が見られました。

このような背景から、2024年度の少なくとも前半は厳しい状況が続くと予想されます。とはいえ、当社の市場の長期的な健全性とビジネスモデルの優位性に対する基本的な確信は変わっていません。データは量と価値の両面で指数関数的に増加し続けており、顧客は当社を信頼のパートナーと見なし、ハイブリッドワーク、マルチクラウド、エッジの複雑さを Navigate する上で頼りにしてくれています。

前回の景気循環とは異なり、顧客はデジタル投資を完全に停止しているわけではありません。支出を精査しながらも、プロジェクトを計画し続けています。これは、今年後半には支出の反転と成長の再開が見込まれることを示唆しています。当社は事業分野で業界のリーダーであり、顧客のテクノロジーアジェンダの中心に位置しており、あらゆる環境下でコミットメントを果たし戦略的ポジションを改善してきた実績があります。

2023年度や過去の景気循環で効果を発揮したプレイブックを踏襲し、コントロール可能な領域に注力し、規律を保ち機敏性を発揮しながら、長期的な投資を行い、顧客、チームメンバー、その他のステークホルダーに対するコミットメントを果たしていく方針です。不確実性に対応しつつ、必ず訪れる反転に向けてビジネスのポジショニングを整えています。

損益計算書の詳細と業績ガイダンス

第4四半期

売上高は250億ドル(前年同期比11%減)、為替の影響は約410ベーシスポイントのマイナスでした。売上総利益率は23.8%と前年同期比3ポイント改善し、ISGへのミックスシフト、コンポーネントとロジスティクスコストのデフレ、価格規律により60億ドルの売上総利益(同3%増)となりました。

営業費用は38億ドル(同5%増)、営業利益率は15.1%でした。営業利益は22億ドル(同1%減)、営業利益率は8.7%となりました。

実効税率は26%、通期の実効税率は20%でした。当期純利益は13億ドル(同5%減)、希薄化後EPS は1.80ドル(同5%増)でした。

2024年度第1四半期ガイダンス

第4四半期の需要動向を踏まえ、第1四半期の売上高は平年の季節性よりも弱く、前四半期比17%~21%減(中央値で19%減)を見込んでいます。為替の影響は約300ベーシスポイントのマイナスを想定しています。

ISGの売上高は、記録的に好調なストレージの四半期から、通常は季節的に弱いストレージ需要となる第1四半期へ移行するため、前四半期比25%前後の減少を見込んでいます。CSGの売上高は前四半期比15%前後の減少を予想しています。

価格規律を維持し、売上総利益率は前四半期とほぼ横ばいになると予想しています。実効税率は24%前後を想定しています。希薄化後発行済株式数は7億3,700万株~7億4,200万株、希薄化後EPSは0.80ドル±0.15ドルを見込んでおり、主に売上高の減少により前四半期比で減益を予想しています。

2024年度通期ガイダンス

通期では幅広い業績の可能性があると考えていますが、現時点では売上高が12%~18%減(中央値で15%減)になると予想しています。この数字は、第1四半期のガイダンスを踏まえ、年間を通じて前四半期比の成長に回帰することを意味します。

引き続き価格規律を保ちながらも、コスト構造も環境に応じて適切に調整し、イノベーションへの投資も継続していく方針です。金利と為替のその他の影響により、金利の上昇を背景にDFSのオリジネーションに対する資金調達コストが約2億ドル増加すると見込んでいます。これらを差し引いて、希薄化後EPSは5.30ドル±0.30ドルを予想しています。

2023年度は力強い業績を収めることができました。過去3年間の売上高CAGRは6%、EPSのCAGRは18%に達しています。2024年度前半には不確実性がありますが、長期的には当社の市場が拡大すると確信しており、中期的な年平均成長率として、売上高で3~4%、希薄化後EPSで6%以上、当期純利益からフリーキャッシュフローへの換算率100%以上の価値創造フレームワークの達成にコミットしています。

2023年度は自社株買いと配当により約38億ドルの株主還元を実施しました。中期的には調整後フリーキャッシュフローの40~60%を株主に還元する方針です。厳しいマクロ環境下でも、コントロール可能な領域に注力し、顧客のために実行力を発揮し続ける姿勢を当社に期待していただきたいと思います。

質疑応答

問:過去90日間でストレージの見通しが慎重になった理由は何でしょうか。サーバーとの関連性があると思うのですが、不思議に感じています。

答:四半期を通じて成長の鈍化の兆しが見え始めました。第4四半期は好調だったものの、大手顧客の力強さが中堅・中小企業の減少を相殺するという状況でした。中堅・中小の業績は四半期ごとに悪化しており、当社にとって需要減速の先行指標となることが多いのです。また、サーバー市場で見られた慎重姿勢がストレージ市場にも出始めています。案件のサイクルタイムが長期化し、商談の数が減少するなど、顧客が予算を絞り、承認プロセスを増やしています。ストレージ市場はITの広範な動向の影響を免れないと常々指摘してきましたが、サーバーよりは遅れて表れる傾向があります。需要の振れ幅もサーバーほど大きくありませんが、最終的には影響を受けるのです。第4四半期に、ストレージ市場の減速の初期兆候が見られたというのが当社の見立てです。

問:第1四半期のガイダンスについて、前年同期比ではなく前四半期比でもっと詳しく説明いただけますか。前四半期に余分な1週間があったこと、受注残の取り崩しがあったこと、それ以外のマクロ要因の影響をどのように考えていますか。また、その後は通常の季節性に戻ると見込んでいるのでしょうか。フリーキャッシュフローについても、当期純利益37~38億ドルに対して、それを上回るのか下回るのか教えてください。

答:第4四半期の250億ドルから第1四半期のガイダンスへのウォークは次のようになります。通常、前四半期比でマイナス7~9%程度の季節性があります。第4四半期の14週目が約7~8億ドルの増収要因となったこと、RPOとDRの数字から、受注残の調整が約20~22億ドルと試算されること、残りの部分が追加的な季節要因あるいは弱さとなります。つまり、第1四半期は季節性とその他の要因を織り込んで、202億ドルのガイダンスに落ち着いたという計算です。第1四半期は前述の通り弱含みを想定しており、通年の計画では、その後徐々に回復していくことを織り込んでいます。 フリーキャッシュフローについては具体的なガイダンスは出していませんが、通年の計画に基づく現金創出は、年間を通じて四半期ごとに改善すると見込んでいます。2023年度の一部のダイナミクスを考慮すると、2024年度のフリーキャッシュフロー conversion は2023年度を上回ると考えるのが妥当でしょう。

問:2024年度のセグメント別ガイダンスを教えてください。特にCSGの回復時期について、供給制約や需要減退からの回復の兆しはあるのでしょうか。

答:2024年度のISGとCSGの売上高成長率は、共にマイナス15%前後と見込んでいます。セグメント別の回復パターンでは、これまでの傾向を見ると、CSGの低迷が最初に表れ、次にISGのサーバー、ストレージの順になると考えられます。つまり、PCが先に回復の兆しを見せ、続いてサーバーが回復するというのが合理的な想定だと思います。ストレージは他よりは変動が小さいものの、全体的なトレンドからは逃れられないでしょう。PCの需要減退期間は過去の不況期と比較して4~6四半期程度と見ており、その尺度で見ればそろそろ回復局面に入る頃合いだと考えています。

問:コスト環境とプライシングについて。コモディティ価格とロジスティクス費用のトレンドは今後数四半期でどう変化する見通しですか。コスト低下のピークは過ぎたのでしょうか。

答:足元の在庫状況と需要減退を踏まえると、第4四半期はデフレ基調で、第1四半期と第2四半期もコンポーネントコストのデフレが続くと予想しています。特にメモリ、NAND、LCDで顕著でしょう。また、輸送コストも変化しています。長らく物流コストの高騰について言及してきましたが、逆方向に向かい始めています。特別対応の部品が減り、輸送費用も低下しています。海上輸送のコストはほぼコロナ前の水準に戻り、航空輸送コストは完全には戻っていませんが低下傾向にあります。上期の当社の仕入れコストは減少する見通しです。

プライシングについては、確かに競争圧力は高まっています。特にコンシューマー市場でチャネル在庫の消化を目的とした値引きが目立ちます。法人向けPCでも競争は激化しており、大口案件やチャネル在庫の多いスポットで顕著です。サーバーでも特に大口案件で価格競争が激化しています。需要の弱い局面でコモディティ価格がデフレ基調にある環境下では、価格下落圧力が避けられないことは認識しています。当然、事業計画や業績ガイダンスにはその影響を織り込み済みです。当社としては、この状況下でも価格規律を維持することに注力しています。

問:セグメント別の損益率見通しを教えてください。特にCSGは直近数年は6~8%で推移していましたが、今後は構造的に5~6%程度に低下すると考えるべきでしょうか。一方、ISGの損益率は今期高めでした。

答:CSGの損益率は、当面は言及の5~6%程度で考えているのが妥当だと思います。コロナ禍では高い損益率を享受しましたが、より平常化した水準感というところです。利益最大化に努めつつ、適切にシェアや相対的なパフォーマンスも確保していくつもりです。

ISGの第4四半期は、ストレージの強さが損益率を大きく押し上げました。特に当社の自社IPのストレージソフトウェアの構成比が高かったのが貢献しました。今後もこの傾向は続くと見込んでいます。通期では、ストレージ強含み、サーバーは若干弱含みという前提で、ISGの損益率は第4四半期から200~250bps程度は低下すると想定しています。

問:今期の設備投資、株主還元方針について教えてください。

答:株主還元は長期的には調整後フリーキャッシュフローの40~60%を目安としています。2023年度は自社株買いを加速しましたが、2024年度は希薄化を緩和する水準の自社株買いを計画しており、株価を見ながら機動的に対応する考えです。年間配当は12%引き上げて1株1.48ドルとし、長期的なビジネスモデルとキャッシュ創出力に対する自信を示しました。


Dell Technologies 2022年度第4四半期 Earnings Call Transcriptまとめ

目次

  1. 2022年度第4四半期の業績ハイライト

  2. クライアントソリューショングループの実績と見通し

  3. インフラストラクチャソリューショングループの実績と見通し

  4. 成長戦略の進捗

  5. 財務実績の詳細

  6. 資本配分方針

  7. 2023年度第1四半期と通期の見通し

  8. 質疑応答

2022年度第4四半期の業績ハイライト

Dell Technologiesは、2022年度第4四半期(2022年11月〜2023年1月)に過去最高の売上を達成しました。売上高は前年同期比16%増の280億ドルでした。地域、業界、事業部門を問わず幅広い需要の伸びが継続しています。営業利益は過去最高の22億ドルとなりましたが、顧客ニーズや部品の入手可能性、受注残の状況を最適化した結果、当初のガイダンスをわずかに下回りました。

供給不足やロジスティクスの課題は継続していますが、Dell の速くて柔軟なサプライチェーンが競争優位性になっています。部品コストは第1四半期にわずかに低下する一方、輸送コストは高止まりすると予想されます。

クライアントソリューショングループ(CSG)の実績と見通し

CSGは、2022年度通期で過去最高の売上高615億ドル(前年比27%増)、営業利益44億ドル(売上高の7.1%)を達成しました。2021暦年のPC出荷台数は5,930万台(前年比18%増)で業界トップクラスの成長率でした。

第4四半期の売上高は過去最高の173億ドル(前年比26%増)、営業利益は過去最高の12億ドルでした。2021年第4四半期のPC出荷台数は1,720万台(前年比9%増)でした。

今後もハイブリッドな働き方やエンターテインメントなどによりPCの需要は根強く、2023年度は法人向けおよび高価格帯の消費者向けPCが成長すると予想されます。

インフラストラクチャソリューショングループ(ISG)の実績と見通し

2022年度通期のISGの売上高は344億ドル(前年比4%増)、営業利益は37億ドルと前年並みでした。EMC買収以来、ストレージの受注は最も高い伸び率を記録しました。PowerStoreは当社史上最速のペースで立ち上がっています。サーバーの需要は年間を通じて加速し、第4四半期には過去最高を更新しました。

第4四半期のISGの需要は前年同期比17%増加し、売上高は3%増の92億ドルでした。ストレージの需要は2桁台の伸びを示しました。サーバーとネットワークの売上高は5四半期連続で成長し、7%増加しました。一方、ISGの営業利益は、受注残の増加や部品のコスト上昇、ロジスティクスコストの影響で7%減少の11億ドルでした。

ISGの需要は力強く、2023年度は堅調な業績が期待できます。同時に、サプライチェーンの混乱によるリスクは継続すると予想されます。

成長戦略の進捗

Dellは、コアビジネスに隣接する6,500億ドル以上の市場機会を捉えるべく、エッジコンピューティング、通信事業者向けソリューション、APEX as-a-Serviceソリューションなどの成長事業に注力しています。

2022年度は、これらの分野でソリューションを立ち上げ、顧客との取り組みを進め、将来の成長に向けた投資を行いました。特にAPEXのサブスクリプションモデルは顧客から高い支持を得ています。エッジと通信事業者向けでも着実にイノベーションを進め、顧客を獲得しています。

2023年度は、APEX、通信事業者向け、エッジ、マルチクラウドにおけるイノベーションを一層加速していきます。

財務実績の詳細

第4四半期の売上総利益は58億ドルで前年並み、売上総利益率は20.8%と前年同期比320ベーシスポイント低下しました。営業費用は36億ドルで前年並みでした。

第4四半期の営業利益は過去最高の22億ドル(前年比1%増)、営業利益率は7.8%でした。当期純利益は14億ドル(前年比2%増)、希薄化後EPSは1.72ドルでした。

第4四半期のキャッシュフロー(営業活動によるキャッシュフロー)は31億ドル、フリーキャッシュフローは30億ドルでした。在庫水準は高止まりしていますが、状況改善に伴い今後1年で減少すると見込んでいます。

期末の正味有利子負債は161億ドル、現金および投資は113億ドルでした。

資本配分方針

当社は、調整後フリーキャッシュフローの40%〜60%を株主還元に充てる方針です。第4四半期は自社株買いに6億5,900万ドルを充当し、1,160万株を買い戻しました。今後も希薄化対策と機動的な株主還元を実施していきます。

また、取締役会は第1四半期の1株当たり配当金を0.33ドルと決定しました。年間の配当金総額は約10億ドル(1株当たり1.32ドル)となる見通しです。

株主還元に加えて、事業への投資、レバレッジ比率の引き下げ、戦略的なM&Aを進めていきます。

2023年度第1四半期と通期の見通し

当社は、全体的なマクロ経済環境を楽観視しており、世界のIT支出は中程度の一桁台の伸びを予想しています。顧客のデジタルトランスフォーメーションを後押しすることが当社の成長を促進しています。

第1四半期の売上高は245億ドル〜257億ドル(前年同期比11%増の中央値)を予想しています。非GAAPベースの税率は20%(±1%)、希薄化後の発行済株式数は7億8,500万株〜7億9,000万株を前提としています。これらを踏まえ、非GAAPベースの希薄化後EPSは1.25ドル〜1.50ドルを見込んでいます。

2023年度通期の業績予想は、長期的な価値創造フレームワークに沿ったものとなります。これは、長期的に売上高が3%〜4%、EPSが6%以上の成長を目指すものです。

ウクライナ情勢については、現時点では当社への直接的な影響は限定的ですが、今後の推移を注視していきます。

質疑応答

Q. 価格設定をどのように管理しているか。部品価格とロジスティクスコストの上昇圧力に対処するためのタイミングと、需要の価格弾力性への影響をどう考えているか。 A. コストの上昇を見た価格調整を随時実施しています。ただし、現在の受注残の高止まりにより、価格改定の効果が損益にすぐには反映されにくい状況です。インフレ環境下では価格改定は適切な対応だと考えていますが、市場の価格弾力性は常に意識しています。価格設定のタイミングと幅は慎重に見極めていく必要があります。

Q. PCの需要見通しと在庫水準をどう考えているか。平均販売価格(ASP)のトレンドはどうなるか。 A. 過去3年間でPCのTAMは再設定され、商用PCとプレミアム消費者PCのセグメントが成長を牽引しています。2022年の商用PCは中程度の一桁台、プレミアム消費者PCは低程度の一桁台の成長を予想しています。当社はこれらの高収益セグメントでシェア獲得を狙います。

部品不足により、デスクトップPCとモニターの分野で第1四半期の受注残が増加する見通しです。ASPは部品のコスト上昇とロジスティクス費用の影響で上昇傾向にあります。低価格帯のPCやChromebookでは価格競争が激化していますが、商用PCやプレミアム消費者PCの需給は引き続きタイトな状況が続くとみています。

Q. 通期のガイダンスの考え方を詳しく教えてほしい。第1四半期のガイダンスが通期に占める割合が高く、第2四半期以降は減速を示唆しているようにみえるが、PCの減速を織り込んでいるのか。 A. 第1四半期のガイダンスが示す通り、通年でISGとCSGともに成長を見込んでいます。第1四半期はサプライチェーンの制約によるPCの出荷減が見込まれることから、業績への影響を慎重に見極める必要があります。

ただし、通期では供給制約の緩和が進み、PCを含めて成長トレンドが持続すると予想しています。サプライチェーンの状況を注視しつつ、適切なタイミングでガイダンスをアップデートしていきます。現時点では、当社の長期的な業績目標が通期の業績予想の良い指標になると考えています。

Q. キオクシアとウエスタンデジタルがNANDの生産トラブルを発表したが、デルへの影響をどう考えているか。 A. 当社はフラッシュメモリの調達先を複数確保しており、特定のサプライヤーへの依存度は高くありません。ただし、主要サプライヤーの工場トラブルによる供給不足は業界全体のリスクであり、需給のタイト化と価格高騰を招く可能性があります。今後の推移を注視しながら、機動的に対応していきます。

Q. PCの受注残が第1四半期に再び積み上がると見込んでいるが、需要サイドと供給サイドのどちらの要因が大きいのか。 A. 部品の供給不足が継続しており、それが当社のCSGとISGの両方の事業に影響を及ぼしています。特にデスクトップPCとモニターの分野では、第4四半期に受注残が減少したものの、第1四半期には再び需要が供給を上回る見通しです。

サーバーとストレージでも、特定の半導体部品の不足が続いており、ISGの受注残は過去最高水準で推移しています。上期を通じて、この傾向は続くと予想しています。

Q. 第1四半期のEPSガイダンスが示唆する営業利益率は、減益や利益率の低下を織り込んでいるようにみえる。第1四半期が業績の底打ちになると考えてよいか。 A. 第1四半期のガイダンスについて詳しく説明します。売上高は245億ドル〜257億ドルを見込んでいます。税率は20%(±1%)、営業費用は売上高比で前年から40〜50ベーシスポイント増加すると予想しています。EPS のレンジが幅広いのは、サプライチェーンの制約による変動要因が大きいためです。

金利費用は、借り換えにより通期で1億5,000万ドル〜2億ドル程度になる見通しです。これらを総合すると、売上総利益率は第4四半期から若干上昇し、営業利益率は前年並みになると予想しています。

ただし、サプライチェーンの混乱が継続する中で部品の調達コストが上昇しており、価格改定のタイミングによっては利益率が変動する可能性があります。引き続き状況を注視し、適切な価格戦略を実行していきます。

Q. キャッシュフローの伸びは、来期の営業利益や当期利益とどのように連動すると考えればよいか。また、キャッシュフローの季節性について教えてほしい。
A. 当社は長期的に、当期利益の100%以上のフリーキャッシュフローを創出することを目標としています。過去の実績でも、当期利益に対するフリーキャッシュフローの比率は1.1倍〜1.3倍で推移してきました。2023年度もこの水準が目安になると考えています。

キャッシュフローには一定の季節性があり、例年、第1四半期が最も少なく、第2四半期と第4四半期が多くなる傾向があります。第3四半期はやや低調となります。ただし、ここ数年はパンデミックの影響で季節性のパターンが崩れています。

過去4年間の当社のキャッシュフロー成長率をみると、売上高が年平均6%、EPSが同16%のペースで伸びる中、フリーキャッシュフローは同9%のペースで成長しています。キャッシュ創出力の高さは当社の強みの一つであり、バランスシートのマネジメントにも注力しています。引き続き、強固なキャッシュフロー創出を目指します。

Dell FY2021 Q4 Earnings Call Transcriptまとめ

目次

  1. 全体の業績概要

  2. クライアントソリューショングループ(CSG)の業績

  3. インフラストラクチャソリューショングループ(ISG)の業績

  4. VMwareの業績

  5. 地域別の業績

  6. キャッシュフローと財務状況

  7. 2022会計年度の見通し

  8. まとめと今後の見通し

  9. 質疑応答

全体の業績概要

Dell Technologiesは2021会計年度第4四半期(2020年11月~2021年1月)に過去最高の261億ドルの売上高を達成した。これは前年同期比8%の増収である。売上高の伸びはクライアントソリューショングループ(CSG)とVMwareが牽引した。営業利益は前年同期比19%増の33億ドル、1株当たり利益は前年同期比35%増の2.70ドルとなった。

通年の売上高は過去最高の944億ドル(前年比2%増)、営業利益は108億ドル(同6%増)、調整後EBITDA(利払い・税金・減価償却費差引前利益)は127億ドル(同8%増)、1株当たり利益は8.00ドル(同9%増)となった。

堅調な需要環境が続いており、特にパソコンの需要が強い。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより在宅勤務・在宅学習が広がったことでパソコンの需要は高まっている。一方、インフラストラクチャ事業は第4四半期に改善が見られたものの、通年では減収となった。

クライアントソリューショングループ(CSG)の業績

CSGは過去最高の出荷台数・売上高・営業利益を達成した。通年の売上高は484億ドル(前年比5%増)、営業利益は34億ドル(同7%増)だった。IDCのデータによると、2020暦年のパソコン出荷台数は5,030万台(前年比8%増)で過去最高だった。

法人向けのパソコン出荷台数は11%増加した。特にノートPCの需要が強く、クロームブックの売上高も3桁の伸び率だった。在宅勤務の広がりでパソコンの需要は底堅く推移している。

コンシューマー向けの売上高は130億ドル(前年比12%増)と過去最高を更新した。Eコマースへの移行が加速しており、コンシューマーのオンライン売上高は64%増加した。

インフラストラクチャソリューショングループ(ISG)の業績

ISGの通年売上高は326億ドル(前年比4%減)だった。第4四半期は需要が改善し、サーバー・ネットワーキング製品の売上高は前年同期比3%増加した。ストレージ製品の売上高は通年で4%減少したが、PowerMax、ハイパーコンバージドインフラ、データ保護製品の需要は堅調だった。

第4四半期はミッドレンジストレージ製品の売上高が回復し、新製品のPowerStoreが牽引した。PowerStoreの受注は第3四半期比で4倍に増加し、Dell製ストレージの新規顧客の約20%を獲得した。

VMwareの業績

VMwareの売上高は119億ドル(前年比9%増)だった。VMwareとのパートナーシップは強化されており、5G対応のエッジコンピューティングソリューションの提供などで協業している。

地域別の業績

第4四半期は主要国の多くで受注が改善した。上位3カ国の売上高は、米国が1%増、中国が12%増、英国が18%増だった。

キャッシュフローと財務状況

第4四半期の営業キャッシュフローは過去最高の59億ドルとなった。通年では114億ドルの営業キャッシュフローを創出した。

総債務残高は2021会計年度末時点で485億ドルである。当初計画通り55億ドルの債務削減を達成した。コア・レバレッジ・レシオ(純債務/調整後EBITDA)は約2.5倍と目標レンジ内に収まった。S&PとFitchは、Dellの信用格付けの見通しをネガティブからスタブルに引き上げた。

2022会計年度の見通し

2022会計年度は、世界経済が徐々に改善すると予想している。これによりISGとVMwareの業績は年度後半にかけて改善すると見込む。CSGの勢いは上期まで続くが、下期は前年同期比で鈍化すると予想される。

VMwareの単独ガイダンスとRSA事業の売却、マクロ環境のリスクを考慮すると、通年の売上高は前年比で低~中single digitの伸びになると予想している。営業費用は新型コロナ前の水準までは戻らないものの、徐々に増加する見通し。

営業利益率はVMwareの営業利益率が28%まで低下することや、Dell本体の投資などにより、2021会計年度より低下すると予想される。実効税率は17~19%程度を見込む。

第1四半期もVMwareの売上高は季節性に沿った推移を予想している。ISGも通常の季節性が見込まれる。CSGは堅調な需要が続くと予想するが、供給が需要に追い付かない可能性がある。売上高は前年同期比で10%台半ばの伸びを予想している。

通年で少なくとも50億ドルの債務削減を目指す方針である。引き続き債務削減を最優先の資本配分方針とする。

まとめと今後の見通し

Dellは顧客のデジタルトランスフォーメーションを支援する上で独自のポジショニングを確立している。エンドツーエンドのポートフォリオ、直販の営業力、グローバルなサービス体制が強みである。これにより、as-a-Service型のソリューション提供、5G、エッジコンピューティングといった新たな市場の開拓が可能となる。

通年の業績は過去最高を更新し、債務削減目標も達成した。営業利益の伸びが売上高の伸びを上回り、キャッシュフロー創出力も示した。マイクロプロセッサーの供給不足などの懸念材料はあるものの、デジタルトランスフォーメーションの加速による追い風は継続すると見込む。

質疑応答

  • Q. パソコン需要の見通しを教えてほしい。企業のパソコン買い替え需要はどうなるか。

  • A. 教育や官公庁のパソコン需要は堅調が続くだろう。テレワークの普及でモバイルPCへの切り替えが加速している。5-7四半期ぶりにオフィスに戻る企業も多く、買い替え需要が期待できる。IDCの予測でも2021暦年のパソコン需要は堅調が続く見通しだ。

  • Q. ストレージ事業の見通しを教えてほしい。シェアはどうなっているか。

  • A. ハイエンド市場では過去3年間でシェアを13ポイント伸ばし、50%超のシェアを獲得した。ミッドレンジ市場では苦戦が続いたが、第4四半期は新製品のPowerStoreが牽引し、9四半期ぶりにプラス成長に転じた。PowerStoreは競合に対する勝率を3倍に高め、20%のユーザーがDell製ストレージの新規顧客だった。2022会計年度はミッドレンジ市場でのシェア獲得を目指す。現在のストレージ市場でのシェアは29%程度である。

  • Q. 2022会計年度の営業利益率の見通しを2019会計年度や2020会計年度と比較して教えてほしい。

  • A. 2022会計年度の営業利益率は2021会計年度より低下すると予想している。主な要因はVMwareの営業利益率の低下と、Dell本体の人件費増加などの投資である。2020会計年度と比べても営業利益率は低下する見通しだ。ただし、トップラインの成長を追求しつつ、収益性とのバランスを取っていく方針に変わりはない。

  • Q. キャッシュフローの見通しと、レバレッジ目標の達成を受けた資本配分方針の変更の可能性について教えてほしい。

  • A. 2022会計年度のフリーキャッシュフローについては、事業の業績次第だが、引き続き高水準になると見込んでいる。資本配分方針は当面は債務削減を最優先とする。投資適格級の格付けを取得した後は、債務削減と株主還元、事業投資へのバランスを再考する可能性がある。

  • Q. 半導体不足の影響はどうか。

  • A. パソコン需要は堅調だが、需要に供給が追い付いていない。半導体不足は液晶パネルなどにも影響している。8インチウェハの生産能力が逼迫しており、電源IC、マイクロコントローラー、カードリーダーなどの汎用部品の供給が影響を受けている。freight costの上昇も業績のリスク要因となっている。ただしDellは業界トップクラスの購買力とサプライヤーとの関係、ダイレクト販売のビジネスモデルが競争上の強みとなる。

  • Q. NetAppなどの競合と比較すると、ストレージ事業の業績回復が遅いように見えるがなぜか。

  • A. Dellはストレージ市場の全領域でビジネスを展開しているため、領域ごとの需要動向の影響を受けやすい面がある。ハイエンドは市場全体の需要が鈍化しているが、Dellはシェア50%超と高いため影響が大きい。一方、HCIやミッドレンジは徐々に回復している。NetAppなどの製品別の業績と単純に比較するのは難しい面もある。第4四半期のストレージ事業の業績には課題が残るが、需要回復の兆しは出てきた。2022会計年度はシェア獲得を目指していく。


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