Palantir(PLTR) Earnings Call Transcriptまとめ

特に言及がない限り、情報ソースはSeeking Alpha、まとめはClaude 3 Opusによります。


2024年第1四半期決算説明会要約

会社紹介

Palantir(パランティア)社は、政府機関や商業組織向けのソフトウェア製品を提供するデータ分析企業です。同社の主力製品は、データ統合・分析プラットフォームの「Foundry」、AIモデル構築・運用プラットフォームの「AIP」、エッジデバイス向けのOS「Apollo」などです。

2023年の年間売上高は約26億ドルで、政府機関向けが全体の約53%、商業組織向けが約47%を占めています。政府機関向け事業では、米国や同盟国の国防・情報機関などで高いシェアを持ち、商業組織向け事業では、金融、製造、ヘルスケアなど幅広い業界のグローバル企業を顧客としています。AIやビッグデータ分析の分野における先進的な技術力を強みとしています。

決算説明会の概要

  1. 2024年第1四半期の業績ハイライト

  2. セグメント別の状況

  3. 製品戦略とAIP(Artificial Intelligence Platform)への取り組み

  4. 地政学的な課題への見解

  5. 質疑応答

全体のまとめと今後の見通し

Palantir社の2024年第1四半期は、前年同期比で売上高が21%増の6億3400万ドル、営業利益が8100万ドル(営業利益率13%)、純利益が1億600万ドルと、力強い業績となりました。米国の商業組織向け事業が68%増と大幅に伸長し、政府機関向け事業も8%増と再び成長軌道に乗りました。一方、欧州では景気減速の影響を受けています。

AIPの好調な立ち上がりにより、大口顧客からの売上拡大と新規顧客の獲得が加速しています。従来は数ヶ月かかっていた案件獲得プロセスが、数日に短縮されるなど、営業効率も大幅に改善しました。

2024年通期の売上高予想を26億7700万~26億8900万ドルに上方修正しました。米国商業組織向けの売上高は前年比45%以上の伸びを見込んでいます。調整後営業利益は8億6800万~8億8000万ドルを予想しています。引き続き各四半期でGAAPベースの営業黒字と純利益を目指します。

Palantir社は、西側諸国の価値観を守るために、同社製品の優位性をさらに高めていく方針です。技術的優位性とお客様との強固な信頼関係を武器に、AIとデータ分析の分野でリーディングカンパニーの地位を確立していくでしょう。

2024年第1四半期の業績ハイライト

2024年第1四半期の売上高は、前年同期比21%増の6億3400万ドルとなりました。米国商業組織向け事業は前年同期比68%増と大きく伸長し、政府機関向け事業は16%増となりました。

GAAPベースの営業利益は8100万ドル(営業利益率13%)となり、前年同期から大幅に改善しました。これは6四半期連続の営業黒字となります。純利益は四半期としては過去最高の1億600万ドルとなり、6四半期連続の黒字を達成しました。

調整後のフリーキャッシュフローは1億4900万ドルで、23%のマージンとなりました。

新規の契約獲得が好調で、第1四半期末時点の正味残存契約総額は41億ドルに達しました。

セグメント別の状況:商業組織向け事業

商業組織向け事業の売上高は、前年同期比27%増の2億9900万ドルとなりました。米国の商業組織向けは同68%増の1億5000万ドルと大幅に伸長し、初めて国際市場(欧州など)の売上高を上回りました。第1四半期に新たに41社の新規顧客を獲得し、顧客数は前年同期比69%増の262社となりました。

商業組織向け事業では、AIPの立ち上げが好調で、既存の大口顧客からの売上拡大と新規顧客の獲得を加速させています。例えば大手小売業のLowe'sでは、AIPの導入により1,000人のカスタマーサービス担当者の業務効率が大幅に改善し、未処理タスクを75%削減できました。

セグメント別の状況:政府機関向け事業

政府機関向け事業の売上高は、前年同期比16%増の3億3500万ドルでした。米国の政府機関向けは同12%増の2億5700万ドルと、再び力強い成長を示しました。

Palantir社は、米陸軍のTITANプログラムにおいて、ソフトウェア企業として初めてハードウェアシステムのプライムコントラクターに選ばれました。これにより、同社製品の用途がさらに拡大していくことが期待されます。

ウクライナやイスラエルなどの同盟国でも、Palantir社のプラットフォームが防衛上の重要な役割を担っています。

製品戦略とAIP(Artificial Intelligence Platform)への取り組み

Palantir社のAIプラットフォーム「AIP」は、大規模言語モデル(LLM)を用いて、企業内の非構造化データから構造化されたアクションを自動生成できる画期的な製品です。例えばメールやチャットの内容から、在庫の再配分を行ったり、保険の請求書類を自動作成したりできます。

AIPを活用したワンデーのブートキャンプを通じて、Palantir社は多くの顧客企業の現場担当者をAIビルダーとして育成しています。彼らは自社のデータを使って、業務効率化やコスト削減、新サービス創出などのユースケースを自ら開発できるようになります。

また「Build with AIP」と呼ばれる一連のチュートリアルや参考実装の提供により、開発者がAIPの構成要素を容易に理解し、応用できるようにしています。これにより、顧客企業が自律的にAIの価値を引き出せるようになります。

同社のCEOによれば「我々は唯一、企業のデータから本当の価値を引き出すAIインフラを構築できる会社だ」とのことです。他社にはない独自のオントロジーとソフトウェアプラットフォームにより、Palantir社は企業におけるAIの民主化をリードしていきます。

地政学的な課題への見解

Palantir社は、ウクライナ情勢を巡るロシアとの対立構図や、台湾情勢を巡る米中の緊張関係など、世界的な地政学リスクの高まりを踏まえ、西側諸国の価値観と生活様式を守る重要性を強調しています。

CEOのアレックス・カープ氏は「我々の製品は、差別的でなく、豊かで開かれた優れた社会を実現するために不可欠だ」と述べています。同社は政府と企業の両面で、こうした社会を支える重要なインフラとしての役割を担っていると考えています。

同氏は、一部の企業が掲げる「ウォーク(Woke)」と呼ばれる考え方について、表面的には進歩的だが、実際には退行的で社会に危険をもたらしかねないと批判しました。Palantir社は、技術による健全な社会の発展を目指す立場から、こうした風潮に対抗していく姿勢を鮮明にしています。

質疑応答

質問1:ブートキャンプからの顧客獲得状況について

  • 1~5日間のブートキャンプを通じて、従来は3ヶ月かかっていた提案プロセスを大幅に短縮できている。ブートキャンプ直後に7桁の契約を獲得した事例もある。

  • 第1四半期の米国商業組織向けの新規顧客数は前年同期比69%増の41社、契約件数は同94%増の136件だった。まだ営業プロセスは完璧ではないが、大きな成果が出ている。

質問2:需要拡大への対応について

  • 顧客のビルダー人材を育成し、当社エンジニアに頼らなくても自律的にユースケースを開発・展開できるようにする。Build with AIPなどの取り組みを強化する。

  • ハイパースケーラーとのパートナーシップにより、当社のプラットフォームを活用した付加価値の高いソリューションを、より多くの顧客に提供できるようにする。

  • 米国防総省向けには、スタートアップ企業との協業によりエコシステムを拡大し、当社製品の導入を加速する。

質問3:地政学的課題に対する姿勢について

  • 当社のミッションは、西側諸国の価値観を体現する優れた製品を通じて、差別のない、豊かで開かれた社会の実現に貢献することにある。

  • そのために我々は、政府や特殊部隊との協力関係を維持し、同盟国の安全保障に不可欠なプラットフォームを提供し続ける。イスラエルへの支援をめぐっては社内でも議論があったが、この姿勢は揺るがない。

  • 一部にみられる退行的な思想(ウォーク)は、当社のミッションを阻害しかねない危険な存在であり、毅然として対峙していく。

  • 当社には志を共にする優秀な社員とパートナー、投資家が集まっている。逆風にめげずに前進し続けることで、我々のビジョンの実現を目指す。

質問4:競合他社に対する優位性について

  • 大規模言語モデル(LLM)そのものはコモディティ化が進むと考えられるが、当社はLLMを企業の非構造化データと組み合わせ、業務プロセスの自動化を実現する独自のプラットフォームを持っている。

  • 他社は「顧客企業の大半がAIを使いこなせるデータを持っていない」と主張しているが、当社のブートキャンプでは、わずか1日で顧客の生のデータを使ってAIの価値を示すことができている。

  • 当社には10年以上にわたるオントロジー構築の実績があり、これがLLMを企業の現場で活用するための強固な基盤となっている。技術的な参入障壁は極めて高い。

質問5:欧州事業の見通しについて

  • 欧州経済の低迷が続く中、当面は厳しい事業環境が続くと見ている。大幅な売上拡大は期待しにくい。

  • 一方、英国NHS(国民保健サービス)との大型契約など、着実に案件を積み上げている。中東などの新興国でも事業機会を追求していく。

  • 戦略的に重要な市場と位置付けており、早期の業績回復を目指して注力していく方針に変わりはない。


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