Doximity Earnings Call Transcriptまとめ


2024 Q4

2024/5/16に追加予定

2024 Q3

Doximity第3四半期2024年度決算レポート

目次:

  1. 会社紹介

  2. 決算概要

  3. 事業の進展

  4. 財務状況と今後の見通し

  5. 質疑応答

1. 会社紹介

Doximityは、米国の医療従事者向けデジタルプラットフォームを提供する企業です。医師のためのソーシャルネットワーク、医療ニュース配信、オンラインツール、マーケティングソリューションなど多岐にわたるサービスを展開しています。

2024年度第3四半期時点で、Doximityのプラットフォームには全米の医師の80%以上が登録しており、製薬会社のデジタルマーケティング支出の大きなシェアを獲得しています。主要な収益源は製薬会社からのマーケティング収入であり、成長分野としてテレヘルス関連サービス、病院向けソフトウェアなどにも注力しています。

2. 決算概要

2024年度第3四半期の業績は以下の通りです:

  • 売上高: $135.3百万 (+17% YoY)

  • 調整後EBITDA: $73.3百万 (54%マージン)

  • 実質売上高成長率 (既存顧客ベース): 115%

  • $100k以上の売上を計上した顧客数: 289社 (売上高の89%を占める)

売上、利益ともに会社予想を上回る結果となりました。トップ顧客からの売上伸長が牽引し、プラットフォーム上の医師エンゲージメントも過去最高を更新しました。

3. 事業の進展

第3四半期の主な事業進展は以下の通りです:

医師ネットワーク:

  • 日次/週次/月次アクティブユーザー数が二桁成長

  • EHR連携した業務サポートツールの利用が拡大

    • 560,000人の医師が利用 (過去最高)

    • 全米トップ22病院のうち17をソフトウェア顧客として獲得

医療ニュース:

  • パーソナライズされたニュースフィードの利用が拡大

  • 医師の隙間時間を捉えたエンゲージメント向上

AI分野:

  • HIPAA準拠のGPT製品の利用が拡大

  • 医師の事務作業負担を軽減

  • 製薬パートナー向け新ポータルを一部リリース

    • AIを活用した製薬会社とのコラボレーション強化

  • 今後のさらなるAI活用に向けてデジタルヘルス分野のリーダーと協業

4. 財務状況と今後の見通し

第3四半期の好調な業績を受け、2024年度通期の業績予想を上方修正します。売上高は従来予想から$8百万引き上げ、$473.3~474.3百万を見込んでいます。調整後EBITDAは$224.5~225.5百万 (47%マージン) を予想しており、こちらも従来予想から増額修正しました。

2024年の製薬業界のデジタル広告市場は5~7%程度の成長を見込んでいますが、当社はそれを上回る成長を目指します。特に、新モジュールの導入拡大や顧客ポータルのリリースを通じ、顧客基盤の拡大と1顧客当たり売上の増加を図ります。新モジュールは従来のマーケティング予算だけでなく、製薬会社のマーケティング以外の予算からの支出も取り込んでいく計画です。

また、AIを活用した製品開発にも注力し、医師のプラットフォーム・エンゲージメントを高めることで、広告主の投資対効果向上にも貢献する方針です。特に、医師の事務作業負担を大幅に削減するようなソリューションの提供を目指します。

財務面では、事業の高い収益性を背景に、引き続き健全性を維持していきます。第3四半期末の現金及び同等物は$710百万と潤沢であり、機動的な投資を可能にしています。また、株主還元の一環として自社株買いも進めており、当四半期では320万株、$71.7百万を買い戻しました。今後も、株主価値の向上に資する資本配分を行っていく方針です。

5. 質疑応答

質疑応答では、アナリストや投資家から、以下のような点について質問がありました。

(製薬会社の予算状況と今後の見通し)
Q. 製薬会社のデジタルマーケティング予算の状況と、来期の見通しを教えてほしい。
A. 2023年の製薬会社のデジタル広告予算は、当初の想定よりは若干抑制された面があったものの、通期では当社への支出が前年比で増加する見込み。2024年についても、マクロ環境の不透明感は継続するものの、当社への支出は業界平均以上に伸びると予想している。当社のプラットフォームは医師リーチや投資対効果において高い評価を得ており、デジタルシフトの流れの中で選ばれるソリューションになっていると手応えを感じている。

(新モジュールの進捗状況と見通し)
Q. 新モジュール(Peer-to-Peer、Point-of-Careなど)の足元の進捗と今後の見通しは?既存のマーケティングソリューションのカニバリは生じていないか?
A. Peer-to-PeerやPoint-of-Careといった新モジュールは、前年同期比で100%以上の高成長を遂げている。これらのモジュールは、従来のマーケティング予算だけでなく、製薬会社のメディカルアフェアーズや営業部門など、新たな予算枠からの支出も獲得しつつある。一方、製薬会社は個別のモジュールの購入というよりは、Doximity全体への予算配分を拡大する動きを見せている。当社としては、多様なタッチポイントを組み合わせ、統合的なソリューションを提供することで、顧客のROI最大化とエンゲージメント向上の両立を目指している。

(顧客ポータルの展開状況と戦略)
Q. 顧客ポータルの開発状況と展開計画について教えてほしい。また、ポータルが将来の成長にどのように貢献するのか?
A. 現時点では、大手の主要顧客10%程度に対し、レポーティング機能を中心としたポータルを提供している。ポータルの初期フィードバックは上々で、リアルタイムの投資対効果の可視化などが評価されている。今後1~2年かけ、ポータル経由での追加購買や新規購買の機能も実装し、顧客数の拡大と顧客単価の引き上げを目指す。中でも、中堅・中小の製薬会社や医療機器、デジタルヘルスなどの新領域の顧客開拓に貢献すると考えている。将来的には、当社の売上高の大部分をポータル経由で獲得することを想定している。

(中期的な成長ドライバーと今後の戦略)
Q. 今後2-3年の成長ドライバーをどう考えているか?特に、AIの活用による成長機会について伺いたい。
A. 当社は、①AIの活用による医師エンゲージメントの拡大、②新モジュールによるマーケティング以外の予算獲得、③顧客ポータルによる顧客基盤拡大と単価向上、の3点を今後の成長ドライバーと位置付けている。

中でもAIの活用は、当社のプラットフォームの独自性を高める上で重要な戦略だ。具体的には、医師向けのパーソナライズされたコンテンツ配信の高度化や、事務作業を大幅に削減するようなソリューションの開発を進める。これにより、医師の能動的なプラットフォーム活用を促進し、結果として製薬会社の広告投資効率の向上にもつなげていく考えだ。

こうしたAIの活用を含め、当社は製薬業界におけるデジタルトランスフォーメーションを力強く牽引していく方針である。提携医師の拡大、顧客基盤の強化、イノベーティブなソリューションの提供を通じ、今後も業界における存在感を高めていきたい。

2024 Q2

Doximityの第2四半期2024年度決算レポート

1. 決算概要

2024年度第2四半期の業績は以下の通りです:

  • 売上高: $113.6百万 (+11% YoY)

  • 調整後EBITDA: $54.2百万 (48%マージン)

  • 実質売上高成長率 (既存顧客ベース): 114%

    • トップ20顧客では119%

  • $100k以上の売上を計上した顧客数: 290社 (売上高の88%を占める)

    • うち、$1百万以上の顧客は51社 (+28% YoY)

売上、利益ともに会社予想を上回る結果となりました。大手顧客からの売上伸長が牽引し、プラットフォーム上の医師エンゲージメントも過去最高を更新しました。

2. 事業の進展


第2四半期の主な事業進展は以下の通りです:

医師ネットワーク:

  • 日次/週次/月次アクティブユーザー数が二桁成長し過去最高を更新

    • 特に日次アクティブユーザー数の伸びが顕著

  • ニュースフィードの利用が拡大

    • パーソナライズされたコンテンツ配信にAIを積極活用

医療ワークフロー製品:

  • EHR連携した業務サポートツールの利用が拡大

    • 550,000人以上の医師が利用 (過去最高)

    • 全米トップ22病院のうち16をソフトウェア顧客として獲得

新製品:

  1. DocDefender

    • 医師のプライバシー保護サービスを無償提供開始

  2. 製薬会社向け顧客ポータル

    • 主要顧客向けにβ版を提供開始

    • リアルタイムのROI可視化などが好評

    • 23年夏の本格リリースに向け順調に進捗

3. 財務状況と今後の見通し

第2四半期は、売上高、利益ともに会社予想を上回る好決算となりました。特に大手顧客からの売上伸長が牽引し、プラットフォーム上の医師エンゲージメントも過去最高を更新するなど、事業モメンタムの強さが示された格好です。

これらの追い風を受け、通期の業績予想は上方修正されました。売上高は従来予想から$6百万引き上げられ$460~472百万、調整後EBITDAは$207~219百万(46%マージン)を見込んでいます。第3四半期には製薬会社の年間予算の65~70%が投下される見通しで、当社への支出拡大も期待されます。

一方で、足元のマクロ環境の不透明感は継続しており、より中長期の見通しについては慎重な立場を取っています。具体的には、2028年度の売上高$10億とRule of 65の長期目標を取り下げました。これは当面のエンドマーケットの成長鈍化が想定以上に長引く可能性を織り込んだ判断と言えます。

ただし、事業の収益性の高さに変わりはなく、長期的な利益率目標は据え置かれています。非GAAPベースのグロスマージン85-90%、調整後EBITDAマージン45%以上の達成に自信を示しました。

こうしたマクロ環境の変化を踏まえつつも、当社は引き続き業界成長を上回る業績を目指す方針です。特に、AIの活用や顧客ポータルの本格展開を通じて競争優位性の強化を図ります。医師や顧客双方に対する利便性を高めることで、業界におけるプレゼンスのさらなる向上を目指します。

財務面では、営業キャッシュフローを原資とする自社株買いを継続しており、第2四半期は750万株、$169百万を実施しました。今後も、株主価値向上に資する資本配分を進めていく方針です。

4. 質疑応答

質疑応答では、アナリストや投資家から、以下のような点について質問がありました。

来期の製薬会社のデジタル広告予算の見通しについては、今期同様のトレンドが継続する可能性が高いとの見方が示されました。個社間のばらつきは大きいものの、全体としては1桁後半の伸びが想定されるとのことです。その中で、当社への支出は業界平均以上に拡大することが期待されています。当社のプラットフォームが提供する高いROIと利便性が評価されていると言えるでしょう。

ROI検証の高度化についても、IQVIAとの連携によりより迅速かつ精緻な分析が可能になったことが説明されました。顧客ポータルを通じて、このROIデータをリアルタイムに顧客に提供することで、投資の最適化を促し、ひいては当社への支出拡大にもつなげる狙いです。

新しいソリューションカテゴリーの進捗についても、投資家の関心が集まりました。Peer-to-PeerやPoint-of-Careなどは、既存の広告枠と合わせて提案することで顧客の総支出を拡大できることが強調されました。特に動画広告を中心に高いエンゲージメントを実現しており、今後の成長ドライバーとして期待が高まっています。

顧客ポータルの展開戦略については、段階的なアプローチを取ることが説明されました。当面は大手顧客向けのレポーティング機能の拡充に注力し、23年夏までに購買機能を実装して中堅・中小顧客の開拓も本格化させる計画です。将来的には売上の大部分をポータル経由で獲得することを目指しており、販売効率の改善も期待されます。

中期的な成長ドライバーとしては、AIの活用による医師エンゲージメントの向上、顧客ポータルの拡大による顧客基盤の拡大と単価向上、ビデオ広告需要の取り込みなどが挙げられました。テクノロジーを梃子にしたプラットフォームの差別化を通じ、環境変化に左右されない独自の成長路線を描いていく考えです。

一方、市場シェアと競合優位性を巡っても議論が交わされました。一部の新規参入企業のリーチの質などに課題があることを指摘し、当社のROIの高さと利便性を武器にシェア拡大を狙う方針が示されました。特に、顧客ポータルの立ち上げを他社に先んじて進めることで、テクノロジー活用の面でも差別化を図ります。

以上のように、第2四半期決算説明会では、足元のマクロ環境の変化を機敏に捉えつつも、中長期的な成長に向けた布石を着実に打つ当社の姿勢が浮き彫りになったと言えます。AIや顧客ポータルを中心とするプロダクト・イノベーションと、製薬業界における強固な顧客基盤を両輪に、環境変化に左右されない独自の成長路線を歩んでいく決意が感じられた説明会でした。

2024 Q1

Doximity第4四半期2023年度決算レポート

1. 決算概要

2023年度第4四半期の業績は以下の通りです:

  • 売上高: $111.0百万 (+18% YoY)

    • サブスクリプション売上高は20%成長に加速

  • 調整後EBITDA: $48.9百万 (44%マージン、前年同期から改善)

  • フリーキャッシュフロー: $45.6百万 (前年同期から微増)

通期の業績は以下の通りです:

  • 売上高: $419.1百万 (+22% YoY)

  • 調整後EBITDA: $184.0百万 (44%マージン、前年並み)

  • フリーキャッシュフロー: $173.4百万 (+43% YoY)

通期売上高、利益ともに過去最高を更新しました。主力のマーケティングソリューション事業が成長を牽引し、特に大手顧客の拡大が目立ちました。一方、一時的な医師派遣事業は前年同期の高い伸びの反動で横ばいとなりました。

2. 事業の進展

第4四半期および通期の主な事業進展は以下の通りです:

医師ネットワーク:

  • パンデミック後も医師の高いエンゲージメントが継続

    • テレヘルス製品の利用医師数が過去最高の38万人に

  • 主要電子カルテとの連携を拡大

    • 新たにMEDITECHとの連携を開始 (Epic、Cernerに続く第3位の電子カルテ)

新製品:

  1. DocsGPT (AI医療文書作成アシスタント)

    • 数千人の医師に利用され好評、機能改善を継続

  2. 製薬会社向けの新製品 (ピアツーピア、ポイントオブケアなど)

    • 高いROIが示唆されており、収益化に向けて順調に進捗

採用:

  • 2名のシニア人材を獲得

    • Craig Overpeck (商業オペレーション担当SVP)

    • Ben Greenberg (商業プロダクト担当SVP)

3. 財務状況と今後の見通し

2024年度の業績予想は以下の通りです:

  • 売上高: $500~506百万 (ミッドポイントで20%成長)

    • サブスクリプション売上高の65%以上は契約済み

  • 調整後EBITDA: $216~222百万 (44%マージン)

ただし、マクロ経済の不透明感が継続しているため、期中のアップセル獲得には慎重な見方をしています。一方、新製品の本格展開や大手顧客の拡大を通じ、業界平均以上の成長を目指します。

またM&Aについても、引き続き機動的に検討を進めていきますが、自社の製品力とバリュエーションへのこだわりは維持する方針です。

第4四半期の自社株買いは160万株、$16百万でした。通期では$86百万の自社株買いを実施し、株主還元と資本効率の向上に努めました。

4. 質疑応答

質疑応答では、以下のような点について議論がありました。

2024年度のアップセル見通し:

  • 足元の不透明感から慎重に見積もっているが、新製品による貢献に期待

  • 来週の大手顧客とのイベントで手応えを確認予定

新製品(ピアツーピア、ポイントオブケアなど)の立ち上げ状況:

  • 高いROIが示唆されており、価格設定を工夫しながら拡販を進める

  • 下期にかけて本格的な収益化を見込む

病院向け事業の状況:

  • パンデミック後もテレヘルスの利用が継続、シェア拡大の機会

  • HIPAA規制の再強化により、自社の優位性が高まる見通し

DocsGPTの進捗と将来性:

  • 医師の事務作業負担を大幅に削減、ユーザー数が堅調に拡大

  • 製薬会社や病院の償還業務効率化にも貢献、収益機会は多岐にわたる

新たなシニア人材の役割:

  • 自社プロダクトの差別化と営業力強化を主導

  • 6月6日の投資家デーで直接コメントする予定

競合優位性:

  • プライバシー保護を重視するスタンスが奏功、シェアを拡大

  • 顧客ポータルの先行リリースでテクノロジーの差別化も進める

中期の成長ドライバー:

  • DocsGPTを始めとするAIの活用で医師エンゲージメントを拡大

  • 新製品の立ち上げ加速と大手顧客の深耕で力強い成長を目指す

以上のように、第4四半期決算説明会では、足元の外部環境の不透明感に対する慎重姿勢を示しつつも、Doximityの独自のポジショニングを梃子に力強い成長を目指す方針が示されました。

医師ネットワークのエンゲージメント維持、AIを活用した新製品の投入、大手顧客基盤の強化など、複数の成長ドライバーを着実に進展させている点が印象的でした。加えて、利益率と株主還元を重視する健全な財務運営スタンスも明確に打ち出されました。

新たに迎えたシニア人材のリーダーシップの下、さらなる競争力強化と成長加速が期待される内容だったと言えるでしょう。

2023 Q4

Doximity第4四半期2023年度決算レポート

1. 決算概要

2023年度第4四半期は、売上高が前年同期比18%増の$111.0百万となり、期初の会社予想を上回る好決算となりました。中でも主力のサブスクリプション売上高が20%成長に加速したことが注目されます。利益面でも、調整後EBITDAが$48.9百万(マージン44%)と、前年同期から大幅な改善を示しました。

通期の業績も力強い内容でした。売上高は前年比22%増の$419.1百万、調整後EBITDAは同22%増の$184.0百万(マージン44%)といずれも過去最高を更新。主力のマーケティングソリューション事業が牽引し、特に大手顧客の拡大が目立ちました。$100万以上の売上を計上した顧客数は前年比16%増の294社に達し、$1,000万以上の大口顧客数も11社に拡大するなど、顧客基盤の強化が進んでいます。

一方、新型コロナの影響で特需のあった医師派遣事業は前年同期の反動で横ばいとなりましたが、ビジネス全体に与える影響は限定的でした。フリーキャッシュフローは前年比43%増の$173.4百万と、収益性の高さを示しました。

この強固なキャッシュ創出力を背景に、自社株買いを積極化。通期で$86百万(平均単価$32.16)の自社株買いを行い、株主還元と資本効率の向上に努めました。また、医師スケジューリングのSaaS企業Amionを$54百万(アーンアウト含めると最大$78百万)で買収するなど、将来の成長に向けた投資も進めています。

2. 事業の進展

第4四半期は、医師ネットワークのエンゲージメントが過去最高水準に達し、当社プラットフォームの強みを示す格好となりました。パンデミック後も高い利用が継続しており、特にテレヘルス製品の利用医師数は38万人に達しています。また、電子カルテ大手のMEDITECHとの連携を発表するなど、医療ワークフローへの統合も加速しました。

新製品では、AI医療文書作成アシスタント「DocsGPT」が好評を博しています。文書作成や事務作業の効率化に寄与し、口コミを通じて利用が拡大中です。製薬会社向けの新製品「ピアツーピア」「ポイントオブケア」も高いROIが示唆されており、収益化に向けて順調に進捗しています。

また、業界での豊富な経験を持つシニア人材2名をリーダーシップチームに迎え入れました。Craig Overpeck氏が商業オペレーション担当SVP、Ben Greenberg氏が商業プロダクト担当SVPに就任し、更なる成長加速を目指します。

3. 今後の見通し

2024年度の業績予想は以下の通りです:

  • 売上高: $500~506百万(前年比20%成長)

    • サブスクリプション売上高の65%以上は既に契約済み

  • 調整後EBITDA: $216~222百万(マージン44%)

ただし、マクロ経済の不透明感は根強く、期中の追加予算獲得(アップセル)には慎重な見方をしています。一方、新製品の本格展開や大手顧客の深耕を通じ、業界成長を上回るペースでの成長を目指します。

具体的には、DocsGPTを始めとするAIソリューションの拡充で医師エンゲージメントの向上を図ります。また、顧客ポータルの立ち上げによる利便性向上で、新規・中小規模顧客の開拓にも注力します。M&Aについても、規律あるバリュエーションの下で機動的に検討を進めていく方針です。

株主還元と投資のバランスの取れた資本配分により、持続的な企業価値向上を追求します。高い収益性とキャッシュ創出力を維持しつつ、事業成長の加速と株主還元の拡充の両立を目指します。

4. 質疑応答

決算説明会の質疑応答では、足元の事業環境や成長戦略について活発な議論が交わされました。

マクロ環境については、製薬業界のデジタル広告支出は堅調に推移するものの、個社のばらつきは大きいとの見方が示されました。当社への支出は業界平均以上に拡大する見込みですが、追加予算の獲得ペースは昨年並みの慎重な想定をおいています。来週の大手顧客との会議で、より具体的な手応えを探る考えです。

新製品は順調な立ち上がりを見せています。ピアツーピアやポイントオブケアは高いROIが期待でき、価格設定を工夫しながら拡販を進めます。規制当局の承認プロセスにはまだ不確実性がありますが、下期にかけての本格的な収益貢献を見込んでいます。

一方、既存事業の競争力も揺るぎないとの自信を見せました。プライバシー保護を重視するスタンスはデジタル広告規制の強化の流れにマッチしており、シェア拡大に寄与しています。HIPAAルールの再強化で、コンプライアンス面での優位性も高まると分析しています。

DocsGPTには大きな将来性を感じています。事務作業の自動化による医師の負担軽減効果は既に実感されており、ユーザーからの高い支持を集めています。製薬会社や病院の償還業務の効率化など、新たな収益機会も想定されます。AIを活用した更なる機能拡充を進めることで、医師エンゲージメントの飛躍的な向上を目指します。

最後に、新たに迎えたシニアリーダーの役割について問われました。プロダクトの差別化と営業力強化をリードする存在として期待していること、6月の投資家向けイベントで直接コメントする機会を設ける方針が示されました。

質疑応答からは、外部環境の不透明感に機敏に対応しつつ、中長期的な成長機会を着実に開拓していく経営姿勢が浮き彫りになったと言えるでしょう。AIやデジタル化の流れを追い風に、製薬業界における強固な顧客基盤とテクノロジーの優位性を梃子に一段の成長を目指す決意が感じられました。

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