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ラッキーオールドサンのライブに行ってきた。

ラッキーオールドサンのライブに行ってきた。
場所は大阪の世界館という小劇場。物流倉庫、汚い川、チャリが多すぎて自転車の路面表示だけ剥がれてる街。
一人だし、ちょっと遠いし、就活中だし、正直こんなことしてていいのだろうかと迷いながら、モヤモヤしながら会場に来た。

けど、開演して、
一音目の、あの少し掠れた声がマイクに拾われた瞬間、「あ、来て良かった」ってなった。風邪も治せそうな、世界中の雨水を全部飲める水に変えてくれそうな、そんな全てを包み込んでくれる優しい声で泣きそうになった。
こういう100人足らずのキャパの小劇場でライブを見るのは初めてだった。
正直今までで一番感動したライブになった。

例えばどデカいライブ会場を埋めるミュージシャンはもうアーティストとしての自己が確立されてて、自信に満ち溢れて、カッコよくて、気持ち良さそうに歌ってる。歌いながらウインクしたり手振ったり笑ったり、そういう余裕も当たり前にあって、MCでも盛り上げて、演奏はもちろん熱量全開。
それもすごく感動するし救われる。

けど今回のラッキーオールドサンの二人は、自分たちがミュージシャンとしてこれから先も大丈夫っていう確信が100%は持てなくて、歌うことで自分たちを正当化して、不安を二人で分け合って、毎日迷いながらも今日も舞台の上に上がって歌いますっていうような、そんな丁寧な歌声でグッとくるものがあった。
MCも挨拶の所作も照れくさそうで、ゴニョゴニョしてて、けどそれが一番伝わるなぁと。

開演から終演までずっと素晴らしかった。
兎にも角にも素敵なご夫婦で、一つのスタンドマイクに向かって二人で声重ねて歌う姿とか。

どちらかがどちらかを想って書いたであろう『母の日』の2番のサビ。歌ってくれたし、すごく好きなのでお借りして終わります。

裸足で浅瀬を渡る
あなたを遠くに見惚れ
人間って
悲しいね
さみしいね
たまには君が選びなよ
世界は君がつくりなよ
子どもの頃に
戻ってほら
今日くらい
子供の頃に
戻ってほら
今日くらい

ラッキーオールドサン「母の日」(2021)

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