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RABBIT HUTCH のバランサー、後藤ひなた

アイドルグループにはリーダーなる人物がいて、その人物がセンターに位置し、求心力を発揮し、ライブを盛り上げ、またそれに続く物語が作られていくケースが基本的に多い。48系にも坂道系にも歴代にリーダーがいて、さくら学院には年次で生徒会長が、ももいろクローバーZには百田夏菜子……など、枚挙に暇がない。

と、メジャーなアイドルと比較するわけではないが、その原則はインディーズのアイドルにも適用されうる。

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しかしながら RABBIT HUTCH(ラビ8)にはリーダーがいない。最年長の天野里音は中学3年生の14歳、最年少の服部桜子は小学5年生の11歳で、3歳離れているが天野がリーダーというわけではない。自己紹介の時こそ天野は1番目の『1ラビ』(詳しく知りたい人はライブにお越しを!)ではあるものの、実はキャリアとしては服部桜子の方が先である。

清田杏里は練習生からラビ8に入ってまだ数ヶ月、リーダー色として印象のあるメンバーカラーの赤を持つ三浦みうだが今月入ったばかり、ラビ8としては駆け出しである。

そう考えると RABBIT HUTCH は非常に捻れのあるグループである。様々な属性で並べ、その内容で比較した序列で並べることはしない。それが意図した運営方針かどうかはわからないかま、まるでバラバラなのである。

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そこで注目したいのが、後藤ひなたの存在である。ステージのフォーメーションの位置もセンターだったり、歌い出しも1番であることが多い。MVの映り込みも一番多い印象で、実際ファンからの支持や人気も高い。

その理由は、顔と肢体の美しさだけでなく、卓越したダンス能力とパフォーマンス能力にある。同年代の女子アイドルやダンサーと比べてもその溌剌とした肢体から繰り出される様々な身体的造形と表現は心を奪われるものがある。

とは言え、実際のライブに目を移すと自己紹介では『2ラビ』、メンバーカラーは寒色の青や水色だがこれは普段の後藤自身の好みで割り当てられたものである。ステージ上でセンターが定位置という印象はないし、MCではどちらかと言うと年長者の天野が引っ張っている。ここにもそのラビ8特有の捻れが見て取れる。

そのうえで、リーダーという概念が不在のラビ8をラビ8たらしめているのは、メンバーそれぞれの個性であるが、様々なシーンでメンバーへの負荷がアメーバ式に入れ替わる中、その負荷の分散と個性をエンハンスするバランサーとして後藤の存在がある。自らは決してグループを統括をするわけでもなく、パフォーマンスを引率するわけでもないが、どの立ち位置にいても、どの役割を担っても場が締まる。メンバー同士はあくまで対等でありながらも、後藤のその存在感こそがパフォーマンス上重要になるのだ。

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と、分析するのも、しかしながら少々野暮である。ラビ8の可能性はまだまだ未知数であり、発展途上である。今後メンバーはそれぞれの個性の出っ張りが激しくなる年齢を迎える。その時の後藤のバランサーとしての存在感と活躍が楽しみで仕方ないとしても、やはり少々野暮なのである。