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韻文のマガジン

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俳句・短歌・川柳・都々逸を詠んでみます。 #ディストピア短歌 #寓話川柳 など、だいたいフィクションの韻文。たまに日常を詠んだりも。
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#SF

人類が小蝿を叩くかの如く

機械が旅客機を落とす川柳

あきやま
1年前
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人間は温度で笑うと教わった なのにどうして泣いているんだ

あっちへ帰る前にこっちでできた友達を喜ばせたかった短歌

あきやま
1年前
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どこへでも行こうと思えば行けるので行きたい場所が思いつかない

移動手段の進化による弊害の短歌

あきやま
1年前
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郷愁のなかに草木は生えてない

長いあいだ自然と隔てられてきた川柳

あきやま
1年前
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新しい重さの単位を決めましょう 未来を量るのに用います

命の重さを量って選別しようとしている短歌

あきやま
1年前

買いたてのカメラを虫と間違えて叩き潰した十万損した

悔やむべきはそっちじゃない短歌

あきやま
1年前
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数年後 地球の自転が止まるらしい 米中を結ぶトンネルのせいで

相変わらず陰謀論の短歌

工場へ行かずにここで待っている 修理のひとが来るはずだから

あのひとに直してもらいたい短歌

あきやま
1年前

都市の端 陸の輪郭 水平線 望むこの窓が世界の果て

この階で生まれてこの階で死ぬ短歌

あきやま
1年前

もうずっと疲れていたのかもしれない 木を見ただけで涙こぼれた

いつ以来か忘れるほど久しぶりに植物を見た短歌

あきやま
1年前

朝起きたら便利な街が生えていて日向ぼっこができなくなった

未来都市の短歌

あきやま
1年前

ゆき先を告げる権利はぼくにない

どこへ行くべきかはAIが知っている川柳

あきやま
1年前
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計算とタイムマシンが蝶を殺す

バタフライエフェクトを遡って被害を防ぐ川柳

あきやま
1年前
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どうせなら暮れてから光りたかったが 百年ぶりに人を照らした

人感センサーは生きていた短歌