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韻文のマガジン

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俳句・短歌・川柳・都々逸を詠んでみます。 #ディストピア短歌 #寓話川柳 など、だいたいフィクションの韻文。たまに日常を詠んだりも。
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2023年2月の記事一覧

囚われの梅も香りは縛られぬ

梅の木を囲って独り占めする意地悪じいさんの隣で穏やかに微笑む善良じいさんの俳句

あきやま
1年前
1

雪だけが境界線を消したのに ここから先はもう積もらない

気象もコントロールできる時代の短歌

あきやま
1年前
1

僕のぶん 君が背もたれ使いなよ

羽の生えた少年の川柳

あきやま
1年前
1

三十代最後の年と言われても 十進法の話でしょうが

年齢を気にしないわけではないがどこで区切るかは自分次第の短歌

あきやま
1年前
3

体と脳 どちらを自分と定めるか 決めて下さいと役所は言うが

脳移植が個の境界を曖昧にした短歌

あきやま
1年前

思い出は1ピクセルも色褪せず ただ蘇る 鮮やかさもなく

全ての営みが記録され思い出補正が消えた短歌

あきやま
1年前
1

木の天井の下でついつい忘れるが 開きに似ていてすぐ思い出す

大きな魚の腹の中で暮らしている短歌

いななきは意味まで聴き取れるのだが あなたの声が言葉に聞こえぬ

魔法でロバにされてしまった短歌

あきやま
1年前
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人類を半分減らしたマシーンの ねじの頭がプラスチックとは

誰かが止められたはずの短歌

あきやま
1年前

ハモニカを吹いてみたかっただけなのに

村人が恐れていた大きな怪物は音楽が好きだった川柳

あきやま
1年前
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楽園の空気を吐き出すファンの群れ 壁の外から狙う密猟者

絶滅寸前室外機の短歌

あきやま
1年前
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もう何年 聞いていないか 霜柱

あの音が好きでかつて夢中で踏んでいた俳句

あきやま
1年前

つぎはぎの都市を上れど出口なし

山で遭難したら登れと言われたが…の川柳

あきやま
1年前

今晩は かぶのスープをロボットに 僕はいつもの栄養ドリンク

無理して最新鋭のやつを買ってしまった短歌