「レイプハルトの4類型」若干の考察
参考文献
待鳥聡史『代議制民主主義』、中公新書、2015
加茂利男ほか著『現代政治学第4版』、有斐閣アルマ、2012
辻康夫ほか編『政治学のエッセンシャルズ』、北海道大学出版会、2008
伝統的な4類型
アレンド・レイプハルトが民主主義を上記のように分類し、そのうえでコンセンサス型民主主義と多数決型民主主義に捉え直したことは有名である。
図の右上に位置するヨーロッパの小国では、文化的・社会的な亀裂(クリーヴィッジ)が存在しており、人々の価値観も多様である。各々のセクターが対立を乗り越え合意によって政治を為していくのが、多極共存型でありコンセンサス型である。
一方、多数決型民主主義では多数派こそが正義であると考える。よって与党が法を定めるし、違憲審査制などもない。典型的なのはイギリスであり、故にウェストミンスター型とも呼ばれる。
自由主義・民主主義の観点から
待鳥聡史先生は上記類型に若干の修正を加え、選挙制度と執政制度の観点(即ち、民主主義の度合いと自由主義の度合い)から新たに類型を構築した。
選挙制度の比例性が高い「コンセンサス型」「中間型2」の違いは、コンセンサス型では統合の象徴として大統領を置くが、中間型2では連立政権を組む点にある。いずれにせよ多様な意見をもとに政策を練るから、「変換型議会」と呼べるだろう。
一方比例性が低い「中間型1」「多数決型」では2大政党・単独政権の傾向にある。そこでは野党は与党に対し団結して反対するという行動に出るから、「アリーナ型議会」の特徴を持つ。
付記
歴史は全体主義・権威主義による過ちを多く残してきた。その時、「決めすぎる政治」よりも「決められない政治」の方がマシと人々は考えるのではないか。コンセンサス型はそうした人々によって支持されていると思う。
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