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もう一人の主人公

「高辻麗」は
自分にとって
「22/7(ななぶんのにじゅうに)」の
二人目の
或いは
もう一人の
主人公だ。



2019年12月24日
3回目の結成記念ライブ当日
彼女は体調を崩して休んだ。

12月をもって卒業する
「花川芽衣」と
一緒にステージに立てる最後の日だった。

「悔しいだろうな。
後引かないといいけど」

「高辻麗」のことを想ったのは
その時が最初だったと思う。


その後
体調が良くなることなく
コロナ禍の緊急事態宣言の前に
彼女は休業に入った。

長引く体調不良の中
復帰することなく
12月いっぱいで「卒業」となった
「花川芽衣」のようになるのではないかと
不安が拡がっていった。


「高辻麗」が
「滝川みう」役に
馴れなかった子だと
その頃知った。

キャラクター側の主人公
「滝川みう」


暫定でずっと
「滝川みう」役だった彼女は
役を失い
一年半以上
キャラクターを持たないメンバーになった。

自分が知った時には
「東条悠希」役で


「22/7」のキャラクターによる
バラエティー番組で
設定では「元気な僕っ娘」なのに
大人しくて
居心地わるそうな印象だった。

「高辻麗」はきっと
「滝川みう」に近い子なんだと思った。


5月の終わり頃
「高辻麗」が復帰した。

復帰後の
SHOWROOM配信や
インスタライブを見る内に
「高辻麗」は
うまく言えないんだけど
「心の傷の形」が
自分に似てる感じがして
気にするようになった。


復帰後のある日
「東条悠希」が
強気でハッキリ話すようになった。

キャラクターに引っ張られるように
「高辻麗」も強く行動するようになった。

発売が決まった6thシングル
「風は吹いてるか?」
の影響だと話していたと思う。

2020年の9月20日
幸運にも有観客で行われた
4年目のアニバーサリライブの日
「高辻麗」と同じ時期に
体調不良で半年休業していた
「倉岡水巴」の復帰で
2019年から続いていた
色んな事が収束し
グループが走り出していた。



2020年11月のある日
久しぶりに上がったブログの中で
「悠希で本当に良かった」
の一文を見て
すごく嬉しかったことを覚えてる。

11月の後半に
無観客で行われた配信ライブで
メンバー8人でパフォーマンスしていた曲の
11人でのパフォーマンスが披露された。

今後全て
「11人」に切り替えて行く事が示唆され
「高辻麗」が涙した姿を見て
彼女の暗闇は終わったんだな
と思った。



2020年12月23日
結成日前日
配信番組の最後に
「22/7」リーダー「帆風千春」の
卒業が発表された。


「花川芽衣の卒業」はイレギュラーだった。

だけど
「帆風千春の卒業」は
担当キャラクターを持つ
「22/7プロジェクト」を
辞める選択があることを示した。

次の日で
「デジタル『声優』アイドル」
として丸四年。

外部の仕事がほとんどないことが
事務所やプロジェクトの
限界を表していた。

「帆風千春」の卒業により
遠くないうちに
他のメンバーも卒業することを
覚悟した。


2021年に入り
「高辻麗」は舞台の仕事を始めた。

新しい人間関係は
彼女を成長させ
舞台上の彼女は
力を存分に発揮していった。

とても楽しそうに
他の役者さんと絡んだり
演じる姿に
最初の頃見た影はもう見えなかった。

グループのユニットプロデュースしたり
メンバーの服のプロデュースしたり
タロットカード始めたり
舞台で腹パンしまくったり。

順調に経験を重ねて
どんどん愛されていたと思う。


2021年9月30日
メンバー3人が年内で卒業と発表された。

その中に「高辻麗」の名前はなかった。

ショックを引きずったまま
10月が過ぎていった。

「帆風千春」の時も
約2ヶ月前に卒業発表だから
10月31日にも
追加発表があるかも知れないと身構えていたが
何事もなく過ぎた。

11月1日

仕事を終え
帰る前にと開いたツイッターに

簡単な経緯と
「11月1日を持って契約解除とする」
と書かれた運営からのツイートと

「高辻麗」の
畏まった謝罪ツイートがあった。


8thシングルの発売とライブを目前に
彼女はいなくなってしまった。

死んだわけじゃない。
それでも「高辻麗」と言う名前は
「22/7」にいる間にしか使えない名前で。
そういうことじゃない。


文字にすることで
心のバランスを取ろうとした自分が
2021年11月3日にここまで書いて
続く言葉もなくて
投げ出されたままだった。


2022年4月9日
卒業後「千春」と名前を変えた
元リーダー「帆風千春」の
興奮したようなリツイートが通知された。


半年ぶりに見たその顔は
少し痩せたようにも見えたけど

そこに彼女はいた。

Twitter、インスタグラム、note
彼女は再び歩きだした。

正確な現状はわからないし
契約解除の話を
してくれるかわからないけど
「高辻麗」改め
「日永麗」は
見えるところに
戻ってきてくれた。


「夢の続きを、もう一度。
ぐしゃぐしゃにつぶれて
霞んで見えなくても
一筋の光
君の呼吸でまた
わたしの世界が色づく」
(夢色エトワール:乙女エトワール)



「日永麗」に
僕はまた夢を見る。


おかえりなさい、れったん。






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