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「カサブタ」(千綿ヒデノリ)のサビの正しい音程

この記事では、「カサブタ」(千綿ヒデノリ)の正しい音程を探っていく。




1. 原曲とカバーで音程が違う?

「カサブタ」(千綿ヒデノリ)という曲がある。
テレビアニメ『金色のガッシュベル!!』のオープニングテーマだ。
歌手や声優によるカバーや、動画投稿者の歌ってみたなども多数存在する。
カラオケで歌ったり、歌っているのを聞いたことがある人も多いだろう。

私はそれらを聞いたとき、
「サビの音程が原曲と全然違う……」
と思ってきた。

本当に違うのか?なぜ違うのか?
どこがどう違うのか?どうすれば正しいのか?
調べたり聞いたり考えたりしたことを書いていく。


2. 原曲と本人の弾き語りを聞いてみる

2-1. 原曲

まずは原曲を聞いてみる。
サビを注意深く聞くと、歌い方のクセが強く複雑で、音程を取るのが難しい。

2-2. 本人の弾き語り

次に、本人による弾き語り『カサブタ / 千綿偉功』を聞いてみる。
原曲よりテンポが遅く、歌い方にクセがないのでサビの音程がわかりやすい。

2-3. 比較

原曲と弾き語りのサビを比べると、歌い方や音程が違うように感じると思う。
具体的には下記の太字部分の聞こえ方が異なる。

  • 「おとなになれないくらの」

  • 「にげかくれもしないら」

  • 「せめてたよりないくらの」

  • 「みずあげるそのやくめを」

これらの箇所で、
原曲では『曖昧な高い音』または単なる『低い音』に聞こえ、
弾き語りでは単なる『高い音』に聞こえる。

ここで、原曲のサビを再生速度0.25倍にして聞いてみる。
すると『高い音から低い音に素早く滑らかに落ちていく音』で歌っていることが確かに聞き取れると思う。

  • 「おとなになれないぼ↑ぉ↓くらの」

  • 「にげも↑ぉ↓かくれもしないか↑ぁ↓ら」

  • 「せめてたよりないぼ↑ぉ↓くらの」

  • 「みずを↑ぉ↓あげるそのやくめを」

一方、弾き語りの歌い方はシンプルで、上記箇所を単音で歌っている。
そして、原曲の『落ちる前の高い音』と、弾き語りの単なる『高い音』は同じ音程だ。
この両者で一致している音程こそ、正しい音程であると考えられる。
以降、正しい音程とは弾き語りの音程であり、原曲の高い音から低い音に素早く滑らかに落ちていく』歌い方はテクニック(原曲らしい表現)であるとする。

「ぼ」から、次の「く」まで落ちる

3. 他の音程を確認する

ここでは、前項で述べた『高い音から低い音に素早く滑らかに落ちていく音』部分に注目して、原曲とカバーなどを比較する。

3-1. カバー

代表例として、公式カバーである『「カサブタ」|performed by OxT』の音程を確認する。
『高い音から低い音に素早く滑らかに落ちていく音』部分を確認すると、原曲より音程が低いことがわかる。

公式カバーとしては『カサブタ~清麿バージョン~』もあり、これも音程が原曲と違う箇所がある。
他にも多数の歌手・声優・動画投稿者によるカバーが存在するが、正しい音程で歌えているものは確認できていない。(あまり網羅できていないが)

3-2. カラオケ・楽譜・MIDI

カラオケでは、ガイドメロディと音程バー(採点機能)の音程が原曲と違う箇所がある。
楽譜販売サイトにある楽譜や、MIDIの音程も原曲と違う箇所がある。

よくある「ぼ」の間違い方

4. なぜ違うのか?

4-1. 高い音が聞き取られていないから

『高い音から低い音に素早く滑らかに落ちていく音』について、
高い音の占める時間が短いため、高い音を聞き取って認識することができない場合がある。
そうした人が聞いた通りに歌おうとすると、低い音のみで歌うことになる。

また、メロディをデジタルなデータにする際、滑らかに落ちるというアナログな音程を表現することができなかったのかもしれない。
そしてカラオケ・楽譜・MIDIでは低い音を採用したのだろう。
(楽譜なら表現できると思うが……)
その音程の通り歌うと、低い音のみで歌うことになる。

4-2. 原曲が聴かれていないから

『金色のガッシュベル!!』は2003年放送のアニメなので、原曲を聴いたことがあっても記憶が朧げだろう。
CDを購入し、ヘビーローテーションしたり低速再生したりする人は限られる。
誰かが歌っているのはよく聴くが、原曲は最近聴いていない人もいるだろう。
そして、iTunesや各種サブスクではカサブタの原曲は配信されていない。
(なんで?)(カバーはいくつかある)
原曲を聴いた新鮮な記憶を持った状態となる機会が少ないため、カバーなどの音程に違和感を持ちにくいのかもしれない。
原曲以外の音程に慣れてしまっているのかもしれない。

一応、『金色のガッシュベル!! 永遠の絆の仲間たち』というゲームでフルの原曲を聞くことができる。


5. 気を付けるところ

5-1. 高い音から低い音に素早く滑らかに落ちていく部分

ここまでずっと語ってきた部分。
本人の弾き語りのように高い音のみで歌うのが簡単だと思う。
原曲のように音を落とすとグッと再現度が増す。

  • 「おとなになれないくらの」の「ぼ」

  • 「にげかくれもしないら」の「も」「か」

  • 「せめてたよりないくらの」の「ぼ」

  • 「みずあげるそのやくめを」の「を」

5-2. フレーズごとの音程の違い

① Aメロ「あしたへづく」の「つ」
② Aメロ「すれちがうとな」の「お」
③ Aメロ「あいとかめとか」の「ゆ」
④ Aメロ「めのまえのげんじつ」の「げん」
①のみ、他に比べてちょっと低い。

⑤ サビ「となになれないぼくらの」の「お」
⑥ サビ「めてたよりないぼくらの」の「せ」
⑤は⑥よりちょっと低い。⑥は「めてたよりない」と同じ高さ。

5-3. 判断に迷うところ

Bメロ「カサブだらけの」の「タ」
「サブ」と同じ高さから「タ↑ァ↓」というように「だ」の高さまで落ちているように聞こえる。
サビと違って、弾き語りでも同じように歌っているので判断に迷う。
「タ」が「サブ」と同じ高さだとすると、
「カサブタ」と「だらけの」が、「ラ#ド#ド#ド#」がリズム良く2連続するのでなんとなく心地よいし、高い方が正しい音程だと思う。


6. いい感じのカバー紹介

6-1. 『カサブタ』(遠藤正明)

『高い音から低い音に素早く滑らかに落ちていく音』の部分で、高い音をはっきりと歌っている。
他の部分で細かい音程違いがあるが、かっこいいので問題なし。

6-2. 『【女性が歌う】カサブタ/千綿ヒデノリ【金色のガッシュベル!!】(アニメ主題歌/OP)(フル歌詞付き-cover)歌ってみた』

音程が正確。


7. 最後に

ずっと謎だったことが解明できてスッキリした。
iTunesや各種サブスクで配信されることを祈る。


よろしくお願いします