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とある職場について part 4

からの続きです.これで終わりにします.

♯ うまくいかない職場とは

なぜ,X 医療センター病理部はうまくいかないのでしょうか.もちろん部署部署ごとに事情があるのでしょうが,病理医側の要因と臨床検査技師側の要因に分けて,最も大きな要因を一つずつ指摘してみようと思います.

# 病理医側の要因

一番の要因は年齢構成がいびつであることだと思われます.比較的ベテランの先生の比重が多く,下で働く若い先生の比率が少ないです.ベテランの先生は良く言えば経験豊富,悪く言えば各人の経験に縛られているわけで,結果的に自分の意見を通す傾向があります.

しかし,このご時世わがままは言えず,ベテランの先生でも誰でも来てくれるだけましと考えがちです.実際はこれ,仕事を遅延する要因になってしまいます.そのような意見が対立しそうな人たちをまとめる強力なリーダーシップが必要ですが,そのリーダーシップがなくなったときに,状況が chaos になってしまいます.いわゆる船頭多くして船山に登るという状態です.

# 臨床検査技師側の要因

これを見ている臨床検査技師の方は気分を害されるかもしれませんが,それを覚悟でいうと,臨床検査技師が自らの専門性を主張し独立した仕事をしようとするときはとても危険です.

第二条 この法律で「臨床検査技師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、臨床検査技師の名称を用いて、医師又は歯科医師の指示の下に、人体から排出され、又は採取された検体の検査として厚生労働省令で定めるもの(以下「検体検査」という。)及び厚生労働省令で定める生理学的検査を行うことを業とする者をいう。(臨床検査技師等に関する法律より)

もちろん彼らの専門的な仕事は重要ですし,そのための資格です.しかしながら,病理医のコントロールから外れるような行動を取るときは好ましくない結果を招くことが少なくありません.この X 医療センターでも臨床検査技師たちは(もちろん自分たちを守るために取った行動で,彼らが望んだ結果というわけではありませんが)独立して行動してしまっています.

少しずれますが,医師を取り囲むように存在する,医療スタッフ medical staff は専門性をもっており,医師と対等に診断や治療に関与すべきだという意見が最近ちらほら聞かれるようになりましたが,どどたん先生は否定的です.それぞれの職種の存在根拠というのはあくまで法律にあるわけで,例えば臨床検査技師は医師に指示され働く側です.対等な関係であれば,全員が納得しないと治療をスタートできません.率直な意見を言いやすい環境は必要ですが,あくまで上下の立場関係は維持すべきで,それを対等にすることで良い結果が生まれたという結果は実は聞いたことがありません

♯ うまくいくためには何をすれば良いのか

うまくいかない要因を列挙するのは簡単ですが,うまくいくための要因を述べるのは難しいです.これをすれば試験に落ちるというのはまぁそうだろなと言えますが,これをすれば試験に受かるというtips があれば全員合格していることでしょう.いわゆる試験の合格体験記をいくら読んでも合格できないのは,書かれている tips の汎用性がないからです.

すごく個人的な経験で語ると,病理医の視点からうまく行っているように見える病院は,病理医にとっては比較的ホワイトで,臨床検査技師にとっては比較的ブラックな職場です.これは逆もまた真なりで,臨床検査技師の視点から見てホワイトな病院は病理医にとっては仕事のしにくいブラックな病院となりがちです.X 医療センターはどちらの側にとってもブラックな,ある意味救いようがない病院ということになってしまいます.

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