10. その他の組織型

今まで挙げた例は上皮あるいは非上皮それぞれが単独で増える腫瘍について述べた.しかし,世の中には上皮性および非上皮性組織の両方が増殖する腫瘍があり,これを混合腫瘍 mixed tumor という.乳腺では線維腺腫(若い女性の乳腺の腫瘤と言ったらこれ!)や葉状腫瘍が有名で,唾液腺では多形腺腫の頻度が高く,癌肉腫などがある.

少し細かいことを言うと,混合腫瘍と言われているものは,成り立ちから

・上皮成分と間葉系成分が純粋に混在しているもの
・間葉系細胞が上皮様に分化したもの (mesenchymal-epithelial transition)
・上皮細胞が間葉系に分化したもの (epithelial-mesenchymal transition)

があり,例えば多形腺腫のもとは間葉系の筋上皮細胞が上皮様に分化したものだと言われているが,結構見ているとどっちつかずのものも多い

卵巣によくできる「奇形腫」と呼ばれるものは,通常 2-3 胚葉成分を持つ腫瘍である.先程名前の挙がった混合腫瘍と異なり,様々に分化した組織(皮膚,軟骨,脳組織など)が確認できる.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?