細胞診は診断か否か part 3

からの続きです.

# 細胞診断も当然医行為

病理診断は医行為という発令がされるとちょっとめんどくさいことになりました.というのは細胞診は検査として長らく行われてきたので,診断となると医師のサインが必要です.それまでは class II 以下の明らかな良性病変は臨床検査技師のみで報告をしていたのです.

それから全例細胞診は「診断」としている限りは医師の署名が必要となりました(現時点では検査と明記すれば医師の署名は不要,という謎仕様になっています).多くの病院では良性病変は名前だけ載せているのではないでしょうか.名前だけのサインアウトは責任問題という点では結構危険なことです.

# そもそも下書きをすること自体セーフなの?という疑問

ここからは少しダーク,というかグレーなことを言います.

例えば,手術を執刀医が医師免許を持っていない看護師だったらどう思いますか?まずいですよね.大丈夫,経験のある外科医が助手として入っているから安心してください,と言われてもえーーーってなりますよね.

いくらその看護師が優秀だったとしてもまずいです.資格違反です.

じゃあ細胞診は医師の署名があれば臨床検査技師でもセーフなのかという話になります.手術の例を参考にすると,診断の中に手を出すこと自体がアウトという考え方も成立します.ひっくり返したことを言うならば,もしセーフとするのであればそもそも細胞診の診断の下書きをするのに資格なんて要らない...ということも言えるわけです.

# 臨床細胞学会はその点についてだんまり

臨床細胞学会は本来そのような不確かな状況に対して積極的に働きかけるべきですが,どどたん先生が知っている限りにおいてはどちらかというとだんまり気味です.

もちろん法律を変えてもよいのでしょうが,診断という医行為の中の重要なポイントで譲歩してしまうと病理以外の領域でも多大な影響がありそうです.

大体の論点を述べたような気がしますが,また思いついたら追記します.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?