細胞診は診断か否か part 2

からの続きです.

# 細胞診の始まり

細胞診は今でこそ病理診断の一部として認識されていますが,もともとは婦人科の検査の一つでした.Papanicolaou (パパニコロウ)先生から始まった細胞診は子宮頚部の異形成の早期発見,治療を目的としたものでした.だから日本の細胞診学会では未だに婦人科の先生が主催をしたりしています.

そこまでだといいのですが,昔の病理医たちは細胞診に対して否定的でした.細胞診はもともとスクリーニングを目的としたものです.正診率としては組織診の方が高く,確定診断は組織診に頼らざるを得ませんが,早い,安い,うまいである細胞診はうまく利用すればとても有用です.しかしながら,要求水準が高く研究者志向のある病理医にとってはどうやらそのような細胞診を受け入れにくかったようです(あとは政治的な理由もあるとは思います).細胞診をやる病理医はまともな病理医ではないと言っていたご高名な先生もいました.

# 初期の細胞診を支えてきたのは臨床検査技師と婦人科の先生

そんなこんなで,病理医が細胞診に興味を持たなかったため,細胞診を発展させていったのは主には臨床検査技師と婦人科の先生たちでした.もちろん婦人科以外の領域でも細胞診は広く行われており,実質臨床検査技師たちが細胞診の発展を支えてきたと言っても寡言ではありません.

そして長い間の努力が実を結び,また今日の医療の発展と相まって現在では細胞診というのは病理診断の非常に重要な一角を占める存在となったのです.

ちなみにいい忘れていましたが,これ日本の話しです.他の国ではおそらく事情が違うと思います(医療制度自体もかなり違うので単純な比較はできません).

# 病理診断は医行為である

その中で,平成元年に厚生労働省の疑義解釈により,病理診断は医行為であるということになりました.もちろん細胞診断も(病理医が興味がなくても)当然病理診断の中に入るわけで,一緒に医行為になってしまいます

さてここで困ったことになるわけです.それまでは病理診断は検査であるということで,検査なら別に医者じゃなくてもいいでしょ(もっというと誰でもいい)ということになるわけです.実際に極めて特殊な専門的な検査は外部の医療関係ではない機関に頼むこともありえます.その際に医師免許持ってますかなんて野暮なことを聞きません.

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