障害者雇用の問題点 part 2

からの続きです.

# 中から見れば 0.5, 外から見れば 1 と数える

マンパワーとしては,労働者としての障害者は中の人から見れば,0.5 とか 0.7 程度でしか計算できないかもしれません.でも外の人から見れば確実に 1 としてカウントされます.障害者の方は雇用支援などもあり,0.7 程度でも十分 pay するかもしれませんが,家庭の都合で時短勤務をしている人や子育て中の方は保険もろもろのコストを考えると,結局 1 として数えざるを得ません.そして 1 と数えられるとそれ相応の業務量を振ってくる根拠になってしまいます.

つまり状況によっては猫の手も借りたいくらい忙しくてお願いをしたら実際本当に猫がやってきて,でもそこまで助けになることなく,「ほら,猫も 1 だから今まで以上に仕事をしろ」と言われてしまうこともありうるのです.

# 誰がそのコストを負担するか?

Part 1 では,車椅子のために通行できないところについては,他の人がその業務の負担を被っていました.もちろんその分他の業務をやっているわけですが,完全な平等というのはなかなか成立しづらく,いいなーという不満を抱く温床になったのです.

障害者を雇用するということはそれに伴うコストが必ず発生するわけで,そのコストをどのように吸収して分散させるかということをとても慎重に考えねばなりません.そういうことなしにただ単に受け入れてしまうと,本人も周りも不満が溜まってしまうことでしょう.

その不満がたまることを回避するのは簡単で仕事に余裕をもたせればよいのです.カツカツでやっているからちょっとしたエクストラのイベントに対応する余裕がなくなって腹が立つわけで,予め業務に余裕をもたせておけばそこまで不満が出ることはなかったでしょう.でもそれ,言ってはみたものの,今の雇用情勢では意外と難しいです.というか多分無理なことが多いです.

# それって障害者だけの問題?

問題の本質はここです.今までは障害者だから自分は関係ないと思った人もいるかもしれません.自分は健康だからと.でも例えば親あるいは子供が倒れて病院に定期的に通わないといけない状況が発生したらどうしましょう?子供ができて早く帰らないといけなくなったら...

もっと卑近な例を提示すると,今の時期であればインフルエンザにかかったらどうしましょう(インフルエンザにかかっても仕事に行くのはバイオテロ以外の何物でもありません).

誰だって関係ないとは言えない切実な問題なのです.結局は障害者かどうかというのは程度問題で(もちろん程度問題自体も結構重要なのですが),みんな持っている問題なのです.

ここでは障害者雇用というのは結局のところ,自分たちの働き方そのものの問題であるということで締めくくりたいと思います.

# (余談)結局のところは仕事を減らす決断が必要

そもそもなんで忙しいのか,ということになるわけですが,それは業務が増えてきているからです.ということは業務を減らせばよいわけです.というかそれしかないです.

業務を増やす方向の話はあっても業務を減らす方向の話って意外と聞かないです.今の社会情勢を見ると,確認する手順を含めて増える方向にしか動いていかないので,相当意識的に減らないといけないわけです.

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