7. 腫瘍の肉眼所見その 1

これまでは腫瘍の良悪性について,主には組織学的な(顕微鏡レベルでの)話をしてきたが,実は肉眼的にも良性か悪性か,もし悪性だった場合はどの程度か,感覚的には大体わかる(いわゆる熟練の先生たちの直感).

「大体」というのがポイントで,だいたい(笑).よく病理の先生が「この腫瘍は悪そうだなー」と言っていたりするときには次のポイントに基づいて評価している.

腫瘍の発育方向については次の分類がよく言われている.

・外方性 or 内方性:外(外側の空間)に向かって増殖する病変と,深部側に入り込みながら増殖する病変
・充実性 or 潰瘍形成性(壊死性):腫瘍細胞が密に増えて充実性に増殖する病変と,中心部が壊死に陥り潰瘍を形成し,辺縁のみを残して増殖する病変
・圧排性 or 浸潤性(びまん性):非腫瘍部との境界が明瞭な病変(圧排性)と,非腫瘍部との境界が不明瞭な病変(浸潤性)
・髄様 or スキルス:腫瘍細胞が密に増殖する場合(髄様)と,腫瘍細胞がばらばらと増殖し膠原線維を豊富に含むもの(スキルス)

腫瘍を切除しにくい「内方性」発育,境界が不明瞭な「浸潤性」,腫瘍細胞が壊死を来している「潰瘍形成性」が見られれば「より悪性を考えやすく」,予後が悪そうだと言える.髄様 or スキルスについてはどっちも悪いことがあるのでなんとも言えないけど,スキルスの形態は確実に予後が悪い.

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