3. 腫瘍の定義

まずは腫瘍の定義について触れていきたいと思う.

腫瘍とは,個体の組織細胞に由来する異常細胞が,その組織がもつ自然の発育速度や規制から離れて独自の成長を示す,無目的かつ自律的な新生物

というように定義されている(本によって定義は異なる).定義というのはなんでもそうだけど結局何を言っているのかわからないことが多い.もう少し分解して見てみよう.

・個体の組織細胞に由来:外から入ってきた細胞ではなく,中に元々いた細胞に由来している,ということ(外から入ってきた細胞が増える場合は普通,感染症と言う)
・異常細胞:いろいろな異常がありうる
・無目的:目的というのは生体(ヒト)にとって合理的であることで,その目的がないということ.例えば筋トレして筋肉が大きくなるのは無目的とは言えない
・自律的:他からの規制や制限を全く受けないこと.
・新生物:腫瘍と同じ意味(定義というものはしばしば「たらい回し」のように同じ言葉を使っている)

まぁ言われると確かにそうではあるけど,これを知ったからと言って何でも判断できるわけではない.

一般的に我々病理医は腫瘍かどうかの判断をするにあたっては,異型の有無を中心に総合的,時には恣意的に(わざと)判断している.初学者にとってはここが難しいポイントでもある.

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