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イマーシブ・フォート東京レポ

先日、ずっと行ってみたかったイマーシブ・フォート東京に行ってきた。
オープン当初から話題になっていたのでずっと気にはなっていたのだが、距離的金額的時間的になかなか機会に恵まれず……。
今回念願の初参加をして、想像以上にめっちゃくちゃに楽しかったので、個人の感想と嗜好剥き出しのレポを残しておきたいと思う。
(ネタバレ厳禁のものありなのでその辺はうっすらと)

そもそもイマーシブとは

イマーシブ・フォート東京は、お台場のヴィーナスフォート跡地に誕生した現実と錯覚するほどのイマーシブ(没入)世界を再現したエンターテイメント施設。
キャッチコピーは「人生、全とっかえ」。
USJや西武園ゆうえんちなどの再建の立役者として知られる方の会社がお台場に作った世界初の没入体験型施設だそう。

没入、という言葉の響きだけだと、なんかVRゴーグルをつけて楽しむ仮想現実的なものを想像してしまうけれど、この施設はそういうものではない。
キャストさんがいて、街があって、自分自身がその世界に飛び込む。
見たり聞いたりするだけでなく、実際に目の前で観て肌で体験して楽しむ。
行く前は「世界観に浸れる」くらいの気持ちだったけど、行った今では「その世界の住人になる」ということだったのだなぁと思い直した。
それくらい、がっつり設定やキャラクターが作り込まれた場所だった。
(ヴィーナスフォートの跡地という特殊な内装をそのまま居抜きで作るというアイディア勝ち)

ウッ……記憶が……

開園(フォルテヴィータ事件簿)

11時、猛烈に暑かったためかスタッフさんが少し早めに入れてくれて体験スタート。
イマーシブ・フォート東京はいくつかのアトラクションに分かれているが、そもそも施設全体が一つの街という設定で、入るとヨーロッパのとある地方、フォルテヴィータという街を歩くことになる。
開園の瞬間から街の住人がお出迎え。

すごい一生懸命手を振ってくれた

船乗りさんだったり、デビューを控えた歌姫さんだったり、気風の良い宿屋のおかみさんだったり、その飲んだくれの亭主だったりと様々な人が息づいていて、普通にそのへんをうろうろしたりしている。目が合うと話しかけてくれるし、写真も撮らせてくれる。そして全員ファンサがすごい。好きになっちゃう。
ちなみに普通にアテンドのスタッフさんもうろついてるけど、彼らもとてつもなく気さくに話しかけて「チャオ~!」「あっちで何か起こるみたいだよ」とか教えてくれる。好きになっちゃう。
ただうろついている以外にもタイムスケジュールが決まっていて、指定の場所に行き時間になるとそれぞれのストーリーを間近で観ることが出来る。
そもそもチケットを買うとフォルテヴィータの住人の誰かから事前に手紙(メール)が届く。その指示に従うとその人のストーリ―の時に巻き込まれやすくなるのでオススメ。(同じ時間で被ったりするので一回じゃ回り切れない!)

今回、私が最初に出くわしたのはこの方たち。

誇り高き軍人・ヘルメス指揮官と部下のセバスチャン

真ん中の噴水広場で彼らによるトレーニングが始まった。「体力に自信のある者は参加せよ」と仰っている。
体力に自信はないし手を挙げるのはちょっと勇気が要るが、目の前で美人が軍服を着ている。そして厳しい言葉でめちゃくちゃ叱咤してくれる。それを間近で観たい。なんならそのブーツに仕込まれたムチでぺちりとされたい。そんなヨコシマな気持ちで飛び込んだ。
ヘルメス指揮官の指揮のもと、セバスチャンと一緒にランニングをしたり筋トレをしたり。ふらついたりすると容赦なく指揮官から「そこ!何をしている!」「鍛え方が足りんぞ!」とか言われる。好きになっちゃう。
しかもこの二人、ちゃんと関係性が垣間見えるやりとりがあって、カプ厨のオタクにとってはご褒美でしかなかった。二人のことをずっと見ていたかったので午後のトレーニングにも参加した。運営の皆様この二人の外伝と軍服クマちゃんを一刻も早く作ってくださいお願いします。

突然始まる銃撃戦(スパイ・アクション!)

いきなりとてつもない萌えを喰らって瀕死になりながら、なんとか次の場所へ向かう。
すると、なんだかリピーターらしき人達が手慣れた様子で列を成している場所に遭遇。バミったりしてあるしこれはきっとなにかあると思い待機していると、背後からガラの悪い集団がやってきた。

自己主張激しめのマフィアの皆さん

ズタ袋をかぶせられて連行されてるのはお客さん。
街角でへたにマフィアと絡むとこういうことになるらしい。楽しそう~!!
そして目の前でイベント開始。マフィアのボスが部下に命じて一般のお客さんを人質にしたり好き放題していると、エージェントの人が現れ銃撃戦開始。普通に大音量で発砲音が響き渡り火薬の匂いもするので臨場感抜群! 高所でのアクションもあり、目の前をキャストさんが大立ち回りで動いてくれるのですごい迫力だった。なお人質にされているとエージェントにかっこよく助け出される。「大丈夫か、巻き込んですまない」とか言われる。好きになっちゃう

映像で楽しむアトラクションもある(イマーシブ・ストーリーズ)

一方、キャストさんが出ないものもある。
入り口からすぐ近くにある「イマーシブ・ストーリーズ」はプロジェクションマッピングのような映像と、立体感のある良い音響で物語を楽しめる。随時案内されるので、時間を見計らって自分のタイミングで行くことが出来るのも良いポイント。
誰もが知っているヘンゼルとグレーテルのお話を兄妹サイドと魔女サイドに別れて体験できるのだが、めちゃくちゃ映像が綺麗。五感全てを使って絵本の中を体験している気持ちになった。
時間の関係で魔女サイドを観ることが出来ず心残り……。

そこはかとないEテレ感

ショーとして盛り上がれる演目(推しの子&パーティ・フェスタ!)

この後もそこかしこで色々なことが起こっていたが、すべて参加したくとも身体が足りない。とりあえずは噴水広場で行われるショーを観ることにする。まずは推しの子。コラボの謎解きゲームもある。
時間になると、盛り上げ役のお姉さん(この方々もめっちゃスタイル良くて全員可愛い)が登場。盛り上げの練習をして準備を整えると、噴水広場の天井のスクリーンに映像が映し出される。
原作は読んでいるが実は曲はあまり知らないなぁ大丈夫かなぁと思いつつ、周りの盛り上がりに助けられ声が出るように。
私は重曹ちゃん派です。センターでめちゃくちゃ可愛かったです。

上下の存在感よ

続いてはパーティー・フェスタ。
ホームページではこれの様子が流れるので一番イメージがしやすかった。
ダンサー、シンガー、ヴァイオリニスト、サックス奏者の方々が舞台に姿を現し、生パフォーマンスで音楽ショーの開演!
華やかで観てるだけで楽しくなっちゃうし、演者の皆さんがやっぱりファンサがすごい。サックス吹きながらウィンクしてきたり、ダンサーさんは下に降りてきて手を取って踊ったりしてくれる。おまけにみんなめちゃくちゃ顔が良い。好きになっちゃう。
手を繋いで踊ったり広場を皆でぐるぐる回ったりして、舞い散る花吹雪の中フィナーレ。普通に演し物として上質なエンターテイメントでめっちゃ楽しかった。

シンガーの人がめちゃくちゃアリアナグランデだった

グッズ・飲食

施設内には軽食、食事、スイーツ、グッズのお店がいくつかある。
レストランがそのままショーの会場になるところもあるのでそれ狙いの場合は早めに席を取った方がいい。今回は沢山回りたかったので、昼は軽食で済ませることにした。
ホットドック的な物は写真を取り損ねてしまったが、おやつとして食べたのがこちら、一本千円のレターチュロス。

不味くはないけど美味しいかどうかは微妙な難しいラインにある絶妙な味

そして、ノーマークだったグッズ。
びっくりするほどセンスが良くて皆可愛い!!!

くまさんは3種類
ピザボックスに入ったTシャツ

推しの子や東リベ、第五人格などコラボしているもののグッズも多数。
値段はけっしてお安くはないが、これなら買ってもいいかなと思うくらい、普通に全部グッズが可愛かった。

有料アトラクション(江戸花魁奇譚)

さて、ここまで書いてきたが、これらは全てワンデーパス(¥6800)内で体験ができるアトラクションだ。フォルテヴィータ内のイベントやヘンゼルとグレーテル、音楽ショーに追加料金は不要なので、最低料金でも十分楽しむことが出来る。
しかし、ここにはクローズドで楽しむ個別のアトラクションもあり、それは別料金。¥3500~¥9000を上乗せすることになるので、それを選ぶかは自分次第となる。
フォルテヴィータ内で起こるあれこれを追っているだけでも楽しいが、やはりこの施設の真髄は濃密な没入体験なので、なにかひとつやってみよう、ということになり、折角ならと一番高い『江戸花魁奇譚』のチケットを買うことにした。

目の前に広がるのは、人々の息遣いが五感で伝わってくるリアルな江戸遊郭の街並み。
この世界に足を踏み入れた大人たちは、美しくも儚い人間ドラマに巻き込まれる...。
官能的で感情が飛び出る刺激的な体験の数々に、あなたは引き込まれ、そして知らぬ間に翻弄されて当事者となっていく...。
個性的な登場人物たちと織りなす物語は総勢100パターン以上。
ときにはあなたの行動一つで、物語の結末さえも変わってしまう。
エンディングを迎えたとき、あなたの頭の中は、心深くに刻まれる「余韻」に完全に支配されるでしょう。
大人限定「イマーシブシアター」の真骨頂、ここに誕生。

公式HPより

日に4回それぞれ70分、最大人数30人で回ることのできるアトラクションだが、チケットは3週間前の段階でこれだけ完売。人気の高さがうかがえる。
しかも、ホラー系のものが15禁にも関わらず、こちらは何と18禁
舞台が遊郭ということも関係しているだろうが、注意書きには過激な表現があると書かれていた。

3階の一番奥、薄暗い空間に受付がある。
チケットを見せるとまず書かされるのは誓約書だ。守らねばならないことは3つ。
すべて自己責任であること。
公演を台無しにするようなことはしないこと。
そして一番のミソは、口外無用であること。要するに、ネタバレ厳禁ということ。どんなに探してもここの情報が見つからないのはそう言った緘口令が敷かれているからだ。
ネタバレOK派の私にとって前情報が一切ないというのはとてつもなく不安だったが、逆に何も知らずに行けて良かったと思う。
一言で言うなら、この『江戸花魁奇譚』というアトラクションが、超絶怒涛に最高だったからだ。

ヨーロッパのとあるホテルで密かに開催される闇オークションに参加したあなた。オークションの目玉である、妖刀「藤烏」落札の瞬間、不思議な声が頭に鳴り響き、江戸の花街へと誘われる。 200年の時空を超えて、妖しく幻想的な花街を巡りながら、あなたは次第に、妖刀「藤烏」に纏わる物語に取り込まれていく!大切な人への“想い”から打ち出された“呪い”の刀。 妖刀が生み出してしまう“愛”ゆえの“哀”物語。 個性的な江戸遊郭の登場人物たちと共に、あなたもまたこの物語を紡いでいく一員となる! 哀しく、儚く、そして、とてつもなく美しい。 すべてが最濃密な、ジャパニーズ・イマーシブシアターの真骨頂が、ここから始まる!

公式HPより

はいもうあらすじ読んだ時点でオタクが好きなやつ。
ネタバレをするわけにはいかないので内容については触れないが、このアトラクションのすごいところは目の前で行われるお芝居はもちろん、キャストさんが参加者一人一人を丁寧に違うルートの物語に巻き込んでくれるところにある。
何せ入ったら私語厳禁、友人同士で来ていても違うことに巻き込まれるので遊郭の世界に没入するしかない。お触りは厳禁だけどあちらか触れられることは結構あるので、否が応でも自分事になる。
体験料は¥9000。ネットのクチコミを見ても賛否両論だが、私としては値段相応だったと思う。それほどまでにこのストーリーと、目と鼻の先で繰り広げられるお芝居が素晴らしすぎた。普通に泣いた。
当たり前だけど皆さん演技も達者で美男美女ぞろいで、こんな至近距離でこのツラ拝んでいいのかっていうほどの近さで体験できる。事務所に所属してるのか舞台俳優さんなのか分からないけど、こんなに素晴らしい体験をさせてくれる彼らに月給100万くらいあげてほしい。

あっというまの70分の体験が終わると感想戦が出来る小部屋に案内される。ここは写真OKの場所だったのだが衝撃の体験をしたばかりだったので撮るのを忘れてしまった。
オシャレなボトルに入ったドリンクを渡され飲みながら一緒に行った友人とお互いのルートの話をしていると、途中まで私と一緒だったお姉さんと目が合い「あの後どうなったんですか⁉」と自然に合流。
小部屋を出た後もしばらく感想戦をし、来るのは四回目だと仰るお姉さんから様々なルートの話も聞いて、出て来たばっかりなのにもう行きたくなったりして。
どうやら私が辿ったルートは特殊なものだったらしく、あそこでああしていれば分岐になったのかな、とか様々に妄想を膨らませることが出来た。

(ていうか100種類イベントがある上に行動によってエンディングまで変わるって……なんなの……何周させる気なの……独身だったら年パス(ないけど)買って月一で通ってたわ……)

帰ってきて数日経った今もあの遊郭に、キャラクターたちに思いを馳せてしまうほど。
そんなに買う気のなかったのにゴリゴリにグッズも買ってしまったので、もうこれはリピするしかない。
高いし遠いしおいそれとは行けない。けれどまた絶対いつか行きたい。
は~~~~~~~とてつもない体験だった!!!!!!

花魁クマさんとグミ入り缶
トートバッグ

フィナーレに向けて

さて、濃密すぎる江戸から、なにやら騒がしい現代に戻る。
出くわした宿屋のおかみさんのアルマさんと浮気者で飲んだくれの亭主を懲らしめるイベントに参加。
このアルマさん、めっちゃくちゃ声量のある女優さんで、マイク無しでも声がまぁ~響き渡る。盛り上げ上手だし、江戸の余韻に浸りすぎて遅れて合流した私たちに向かって「あんたら遅いよ!どこに居たの!?」なんて声を掛けてくれる最高にキュートな方だった。

そして、ここからフォルテヴィータ事件簿はフィナーレに向かう。
色々紹介してきたけれど、フィナーレに関してはネタバレ厳禁。
これまでいろんなところでいろんな人が起こしていたストーリーが一堂に介し、やがて終焉を迎える。カタルシス!

振り返って
開場から閉場まで11:00~19:00。
本当に、あっというまの8時間だった。

私や友人はとても楽しんだが、イマーシブ・フォート東京は参加した人のスタンスが如実に出る施設だとも思う。
「どうせ芝居だろ」と斜に構えてたり、ずっと遠巻きに見ているだけだとなんにも楽しくない。自ら巻き込まれに行くことにこそ醍醐味がある。
逆に、どんな場でも盛り上がれる、推しを見つけられる、フェスやライブで盛り上がれる、観劇が好き、手っ取り早くオタク……そういう人には本当にオススメ。
何も特別な努力をすることはない。ただそこに息づく人達と同じ世界を楽しむことが出来、同じ目線で生きることが出来れば良い。
お気に入りの人を見つけて追うも良し、何周もして全ルートを制覇するも良し。子供が楽しめるのは小学校高学年くらいからじゃないかと思うので、できたら大人同士で行くのがオススメ。
結構歩き回ったり走ったりしゃがんだりするので歩きやすい服や靴、リュックなどにして少なめの荷物で行くと良いと思います。

イマーシブ・フォート東京、本当に最高でした。
さ~次はいつ行こうかな!!

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