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レペゼン・アンダーグラウンド

この社会には見えない枠がある。
そしてその存在に気が付いている人と、気がついていない人がいる。

患者。障害者。前科者。女性。
在日朝鮮人。同性愛者。外国人。いじめられっ子。
いわゆるマイノリティーと呼ばれる人達には、この枠が見えている。


先日の田口さんの逮捕に便乗し、大麻についてSNS上でコメントするアカウントが多く現れた。

それ自体は歓迎すべきことだ。

ただその中の医者を名乗るアカウントの発言に、看過できないものがあった。
”日本では普通の人はほぼ大麻なんか使用していない。“という下りだ。

恐らくエリートコースを歩んできた彼の中では、大麻とは一部の芸能人や反社会勢力とされる方だけが愛好するものなのだろう。

近年、年間に3000人以上の人が大麻取締法によって逮捕されている。

前述の医者の彼が思う“普通”の枠の内側に、この人達はいない。
彼を含むマジョリティーはその迫害について無自覚だ。

この3000人の姿が、僕には目に浮かぶ。
今年に入って、Weed the Peopleというドキュメンタリー映画と共に全国各地を講演に回っている。
どこの会場に行っても、僕のツイッターをフォローしてくれている方が足を運んで下さっている。時には何時間もかけた遠方から。

色々な人がいる。
けれどみんな、この国に生まれ育ち
学校に行ったり、行かなかったり
一生懸命働いて税金を払ったり、払わなかったり
生活保護をもらったり、病院に通ったりしながら
この国で暮らしている“普通の人”だ。

なかなかゆっくり喋る機会はない。
そもそも何を話せばいいかも、よくわからない。
それでも伝わるものは、ある。
束の間、握った貴方の手に込められた
言葉にならない力が僕を前に進ませている。

今、大麻取締法というルールによって
“普通じゃない人”にされている人達と、堂々と日の当たる場所で再会したい。
人権と尊厳の回復とでも言うのか。
心の柱に、その想いは刻んである。

もう死んでしまった人。まだ生きている人。
それすらもわからなくなってしまった人。
みんなの願いを、カタチにする。

どこにもいかない。ここが戦場だ。

そんなに大麻が使いたいなら、海外に行けばいいと簡単に言う人は
きっと、自分勝手に生きる代わりに
誰にも必要とされず、誰の事もレペゼンしていないのだろう。

僕は医師免許を持ってる、けれど
その暮らしはたぶん、みんなとあんまり変わらない。

セブンイレブンのホットドッグと100円コーヒーを買ってるし
レペゼン地球の動画の更新を楽しみにしている。

ボブ・マーリーやジョンレノンにはなれなかったけれど
あの頃の気持ちは忘れていない。

僕は弱者の味方なんて言いたくない。
僕は誇り高き、レペゼン・アンダーグラウンドだ。


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