ER心電図基本編の解答修正(正誤表)、補足など 〈心電図検定対策〉
ER心電図基本編の解答修正をまとめました。
ST上昇や異常Q波等の所見と対応する誘導も記載しました。
これを使ってER心電図基本編を有効活用してください。
※記事の内容は出来るだけ正確にするよう心掛けていますが、誤りのある箇所もあるかもしれません。
何卒ご容赦ください。
2024.10.1 おまけとしてWPW症候群のKent束の位置推定を載せました。あくまで参考程度になさってください。(該当問14、66、81、102)
おまけとして巻末にER心電図基本編の問題別難易度表を載せました。
〈参考〉心筋梗塞の部位とST上昇や異常Q波が出現する12誘導
中隔…V1V2
前壁…(V2)V3V4
前壁中隔…V1~V4 or V1~V3
側壁…Ⅰ aVL・V5V6
高位側壁…Ⅰ aVL
(下位)側壁…V5V6
下壁…Ⅱ Ⅲ aVF
右室…V1〈V3RV4R〉
☆後壁…V1〜V3でST低下、R波増高 〈V7〜V9でST上昇〉
前壁中隔+高位側壁…Ⅰ aVL・V1~V4
前側壁(前壁側壁)…Ⅰ aVL・(V2)V3~V6
広範前壁(広汎前壁)…Ⅰ aVL・V1~V6
下側壁(下壁側壁)…Ⅱ Ⅲ aVF・V5V6(or Ⅰ Ⅱ Ⅲ aVL aVF・V5V6)
※急性下後壁梗塞(急性下壁梗塞と急性後壁梗塞を分けて考える)…
下記①②の組み合わせとなる
①下壁梗塞はⅡⅢaVFでST上昇、ⅠaVL・V2V3でST低下
②後壁梗塞はV1~V3のいくつかでST低下とR波増高(R>S)・急峻なT波
以下は臨機応変に考えましょう
Ⅰ・V1~V6…広範前壁としてもよい (aVLがひとつ欠ける)
V3~V6…前壁+(下位)側壁
V1~V6…前壁中隔+(下位)側壁 (前側壁とされる場合も)
ER心電図基本編の解答修正
問1~20
上段が原本、下段が修正・補足
1 洞調律、心拍数60、正常心電図
修正なし
2 洞性不整脈、心拍数66、良性早期再分極
修正なし
3 洞調律、心拍数91、1度房室ブロック
修正なし
4 異所性心房調律、心拍数82
修正なし
5 房室接合部調律、心拍数50
修正なし
6 促進性心室固有調律、心拍数65
修正なし
7 洞調律、心拍数100、右脚ブロック
修正なし(洞性頻脈でもOK)
8 洞調律、心拍数80、1度房室ブロック、左脚ブロック
修正なし(追加:左軸偏位)
9 洞調律、心拍数81、左脚前枝ブロック
修正なし(単なる左軸偏位 電気軸は-45°ない)
10 洞調律、心拍数85、右脚ブロック、左脚前枝ブロック
修正なし(2枝ブロックでもOK)
11 房室接合部調律、心拍数50、急性前壁梗塞、高位側壁梗塞
修正なし [ST上昇:ⅠaVL・V2~V4 ST低下:ⅡⅢaVF(mirror)]
12 2度房室ブロック(Wenckebach型)を伴う洞調律、心拍数50、左室肥大、右脚ブロック
修正なし(追加:心房拍数65、左軸偏位)
13 心室性頻拍症、心拍数140
修正なし
14 洞調律、心拍数87、WPW症候群
修正なし ※Kent束の推定:右(側)後中隔か
15 洞性頻脈、心拍数155
修正なし
16 洞性徐脈、心拍数50、左室肥大、急性心膜炎
修正なし(洞調律でもOK)
17 心房粗動、2:1伝導、心拍数150
修正なし
18 洞調律、心拍数85、前壁および下壁の虚血を示唆するT波異常、右軸偏位
①修正なし もしくは
②洞調律、心拍数85、右軸偏位、SⅠQⅢTⅢ、肺塞栓症疑い
[異常Q波:Ⅲ 陰性T波:ⅢaVF・V1~V4]
19 高度な心室応答を伴う心房細動、心拍数155
修正なし
20 房室順次電気的ペースメーカー、心拍数70、100%捕捉
修正なし
問21~40
21 房室接合部調律、心拍数110、右脚ブロック
房室接合部頻拍、心拍数110、右脚ブロック
22 洞性頻脈、心拍数110、右脚ブロック、右室肥大、前壁中隔梗塞
修正なし(追加:COPD疑い)
[異常Q波:V1~V4]
23 上室性頻拍症、心拍数135、右脚ブロック
修正なし [異常Q波?:Ⅲ]
24 促進性房室接合部調律、心拍数84、QT延長、低体温を示唆するJ波
修正なし
25 洞調律、心拍数66、散発する心房性期外収縮、左室肥大、陳旧性高位側壁梗塞、下壁誘導に認められる非特異的T波異常、ジギタリス効果
修正なし [異常Q波:ⅠaVL ST低下(ST-T低下):V5V6 陰性T波:ⅢaVF]
26 電気的心室ペースメーカー、心拍数80、100%捕捉
修正なし [陰性T波:V1V2?]
27 上室性頻拍症、心拍数165
修正なし
28 洞性不整脈を伴う洞調律、心拍数75、持続する若年型T波パターン
修正なし [陰性T波:V1〜V3]
29 洞性不整脈を伴う洞調律、心拍数65、左室肥大、良性早期再分極
洞性不整脈、心拍数65、良性早期再分極
[J波・ST上昇:ⅡⅢaVF・V4~V6(目立たない) T波増高:ⅡⅢaVF・V4~V6 陰性T波:V1V2 R波増高:V5V6(早期再分極による)]
30 1度房室ブロックを伴う洞調律、心拍数62、急性下側壁梗塞、右室梗塞の可能性
修正なし [ST上昇:ⅡⅢaVF・V5V6 ST低下:ⅠaVL・V1~V3(mirror)]
31 右側前胸部誘導(30と同一症例)、1度房室ブロックを伴う洞調律、心拍数62、急性下側壁梗塞、右室梗塞
修正なし [ST上昇:ⅡⅢaVF・V5V6 ST低下:ⅠaVL・V1V2V3?]
※問題31の心電図のV1 V2 V3 V4 V5 V6はそれぞれV2 V1 V3R V4R V5R V6R誘導を示している?
32 洞調律、心拍数75、頻発する心室性期外収縮、心室性二段脈
洞調律、心拍数75、心室性期外収縮二段脈(二源性)、左室肥大か(aVLで11mm<R波)
33 洞調律、心拍数70、現在進行中の急性虚血を示唆するT波異常を伴う急性下壁梗塞、前側壁梗塞
修正なし [異常Q波?:ⅡaVF 二相性T波:V2~V4 陰性T波:ⅠaVL・V5V6]
34 洞調律、三段脈を呈する頻発する上室性期外収縮、心拍数61
洞調律、上室性期外収縮三段脈、心拍数61
35 房室接合部調律、心拍数40、左室肥大、陳旧性中隔梗塞、下壁および前側壁の虚血に一致したT波異常
修正なし [異常Q波:V1V2 平坦T波:V1V2 陰性T波:ⅡⅢaVF・V3~V6]
※前側壁をV3~V6としている(通常、前側壁はⅠaVL・V3~V6)
36 種々のブロックを伴う心房粗動、心拍数167
修正なし [ST-T低下:Ⅰ・V4~V6]
37 洞調律、心拍数69、急性下壁梗塞
修正なし(追加:右室梗塞の可能性)
[ST上昇:ⅡⅢaVF・V6 ST低下:aVL・V1~V3(mirror)]
38 高度な心室応答を伴う心房細動、心拍数127、二束ブロック(右脚ブロックおよび左脚前枝ブロック)
修正なし(心室応答の早い心房細動でもOK)
39 心室性頻拍症、心拍数170
修正なし
40 心房性期外収縮を伴う洞調律、心拍数80、左室肥大、後壁にも進展した急性下壁梗塞
心房性期外収縮を伴う洞調律、心拍数80、左室肥大、急性下壁梗塞、後壁梗塞の可能性
[ST上昇:ⅡⅢaVF ST低下:ⅠaVL・V1~V5(mirror) R波増高:V3]
ここから先は
¥ 800
よろしければサポートお願いします! いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!