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どの病院に行っても治らなかった投球時の肩の痛みが無くなるまでの約4年のリハビリの流れ

まず肩の違和感を感じたのが、高校2年の4月あたり。この時は肩が温まればその違和感は消えていたので特に何もしてません。高校3年の春辺りから痛みが出始めましたが、キャッチボールで一回全力で投げて痛みを出せばその後は消えるという現象が起きるので、その手法を使ったり、野球部のトレーナーさんに応急処置的なものをしてもらったりして、夏の大会まで乗り切りました。ちなみにこの時の痛い場所は三角筋後部辺りです。

野球は続ける気でいたので、高校野球を引退してからも週1程度ではありますが全力またはそれに近い力感で投げていました。しかし、次第に、投げて痛みが出たり、投げるときは痛くなくても投げ終わったらこれまでに感じたことないような肩周りの疲労感や痛みを感じるようになりました。さすがに休むべきだと思い、11月から2月まではほとんど投げていません。3月になって久々にキャッチボールをしたとき、10mの軽いキャッチボールで強烈な肩の痛みを発するようになっていました。休んだから投げられるだろうと考えていましたが、むしろ悪化してました。

この痛み方は流石にヤバいと思い、ある整形外科でレントゲンやMRIを撮り診断を受けました。この時の診断は「腱板損傷」でした。リハビリをすれば3ヶ月くらいで投げられるようになると言われました。本格的なリハビリを始めたのは2016年4月上旬です。その病院で組んでいただいたリハビリメニューを毎日のようにこなしていきました。

内容は...

スリーパーストレッチ(三角筋後部)
広背筋ストレッチ
ストレッチポール胸椎伸展
臀筋を始めとするストレッチ系
1st position でのEx/In Rotation (黄チューブ)
赤チューブでエンプティカンエクササイズ

3ヶ月経ちましたが、投げられても3.4割が限界で、だいたい2割程度でしたね。ただ、2日だけ7.8割で投げられた日がありました。

この病院には5ヶ月ほど通いましたが、治る気がしなかったので、病院を変えました。(途中の診察で「腱板損傷」だけでなく、「インピンジメント症候群」の疑い、「SLAP損傷」の疑い、上腕二頭筋長頭腱炎の疑いとも言われました。)

次に行った病院でも「腱板損傷」の診断を受けました。ここでも3ヶ月で投げられるようになるという診断。リハビリ内容は先程上げたメニューに2nd ,3rd position での Ex/In Rotation が足されたくらいで内容的にはほとんど変わりませんでした。

内容が同じなら大きな効果は得られないだろうと思い、1ヶ月ほどで病院を変えます。

次の病院の診断も「腱板損傷」でした。そして、ここでも3ヶ月で投げられるようになるという診断を受けます。しかし、この整形外科は日本では肩に関してはトップレベルと評されるところで、プロ選手もくると言われている病院で(実際に2人見かけました)、最後の望みでここに通院することにしました。

リハビリ内容はかなりプログラミングされているようで...

1st Ex Rotation 横向き自重 50回
うつ伏せ3rd position EX Rotation 50回
仰向けリリースポイント 前鋸筋使って肩甲骨外転したまま&肘伸ばしたまま肩内外旋 50回
Yエクササイズ(僧帽筋下部)
キャット&ドッグ
プランク 1分
サイドプランク 1分
エンプティカン 負荷は輪ゴム
スキャプラープッシュアップ
トップを作った状態からの投球
(もちろん基礎的なストレッチ種目等は行ってます)

まだ他にもあったはずですが思い出せません笑。

3ヶ月後、確かに前よりは力を入れて投げられるようにはなりましたが、良くて4.5割程度かなって感じでした。またこの期間では、全力で投げられた日が一日だけありました。また、トップを作った状態からであれば比較的強い力感で安定して投げられてました。

この病院にはかなり期待していたので、結局、10ヶ月ほど通院しましたが、たまに6.7割で投げられることはあっても、3,4,5割でしか投げられないのがほとんどでした。投げている感覚も最初と比べれば良くはなっているものの、完治とは程遠いのが現実でした。

ここまでで約1年です。正直諦めかけていましたが、諦めたらどうなるのか...っていうのを頭の中で何度もシュミレーションして、やっぱり諦めきれない、そういう思いがあったので、だったら自分で研究して治してやると思い、病院に行くことはやめました。選手として無理なら指導者やトレーナーになるという第二の人生の選択肢を持っていたので、これで治っても治んなくてもその経験は生きるはず、そうやってプラスに捉えて、日々肩の痛みをどうしたらとれるのかを追求することにしました。これまでは提供されたリハビリメニューをこなすだけでしたが、ここからは全て自分で決めてやるようになります。

まず、知識がないので色々な情報をサーチ。これまでの経験なども踏まえての最初の考えはこうです。

・インナートレはいらない。ウエイトで十分。
・体幹トレーニングはいらない。ウエイトで刺激は入るから十分。体幹を鍛えすぎると動き固まるからやめる。
・可動域を拡げることが大事。ストレッチ最強

最初はこんなレベル。今見ると恐ろしいほどのレベルの低さです笑。

この考えで、2ヶ月ほどですかね。近距離の壁当てですら、痛みが出るほどに悪化してました。そして痛みが出るのが肩の後ろではなく肩の前に変わっていました。

ここで気づくんですよね。インナートレは必要なんじゃないか?と。マジでレベル低いけど笑。1st 2nd 3rd position でのEx/In Rotation エクササイズを再開。TWYIエクササイズ、スキャプラープッシュアップ も追加で。2-3週間で4-5割程度まで投げられるようになったと記憶してます。

次に試したのが、筋肉の繋がりを考え、ターゲットの筋肉を緩める/機能させるという手法です。1番ハマったのが、肩の前の痛みです。肩の前は、上腕二頭筋長頭、腕橈骨筋、拇指球筋と繋がっているので、痛みの出る肩の前はなにもいじらずに、この3つの筋肉を解しまくりました。すると肩の前の痛みは完全に消えました。ですが、今度は肩の後ろに痛みが出ました。ここからも筋膜の繋がりなどを考えていきましたが、すこし良くなるものはあっても大きくポジティブになるものはなかったですね。上半身にもそうですが、下半身にも同様のアプローチをして確かに可動域そのものは出るようにはなりましたが、肩の痛みに対しては特に変わるものはなかったですね。筋膜の繋がりのアプローチは3.4ヶ月は試した気がします。


ストレッチ
ウエイトトレーニング
ローテーターカフエクササイズ
僧帽筋下部、前鋸筋エクササイズ
胸椎伸展/回旋などよくあるエクササイズ

MBスローなどのその他トレーニング
筋膜の繋がりを利用したアプローチ

身体をいじって投げてみるっていう流れですね。1年ぐらいやりましたが、5割程度が限界。


次は正しい投球フォームの理解ですね。全くやってなかったわけではないですが、深くは理解していなかったのでもっと細かく見られるように本を読んだりプロの選手のフォームを自分で分析したりして、自分なりの理論を築いていきました。

 まずは正しいリリースポイントの理解ですね。ここに関しては別の記事で書いてますので省略します。「右斜め上に抜けさせる」というものです。最後のリリースがおかしいといくら下半身を正しく使っても意味がないので、まずはここを見直すことが大事ですね。
 次に、以下に肩の負担を減らすかを考えました。それが「腹筋を抜く」というものです。腹斜筋の使い方ですね。これも他の記事で書いてますので省略します。
 他にも、踏み込み足の使い方や軸足の使い方など肩の負担を減らすために考えてアプローチしていきました。細かいことは前の記事に書いてあります。
 このようにフォームの研究をしていったら、全力で投げられることもありましたが、安定はしませんでしたね。
 あとは初動負荷トレーニングの影響も少なからずあったと思います。力を発揮するタイミングをある程度は覚えられたと思います。また、可動域も多少拡がりました。

 次の大きな展開は、ダルビッシュさんからのプレゼントでした。

 プライオボールです。ずっと使ってみたかったのですが、金額的にも手を出しづらいものでしたので、なかなか試すことが出来ませんでした。ですが、ありがたいことに、プレゼントしていただきました。
 メニュー自体はもともと知っていたので、その通りやっとみると、自分の考えていた投球理論が驚くほど体現出来たのです。pivot pickoff throwはまさに「腹筋を抜く」と「右斜め上に抜けさせる」の連動を習得できるドリルでした。また、キャッチボール前にプライオボールエクササイズすることで、それまで感じていたキャッチボールの序盤の肩の気持ち悪さが激減しました。
 プライオボールを使い始めてから全力で投げられる割合が増えました。5日あれば3日は全力で投げられるくらいに。以前では考えられないほどの回復です。

 そして、そんな中、次に目をつけたのが脳や神経です。どういうことかというと、筋肉やフォームにいくらアプローチをかけても、脳が痛いと記憶していれば、筋肉やフォームがちゃんと整っていても痛みを発するわけです。自分の場合、投げる前は可動域やローテーターカフの機能は完璧なのに、数球投げただけで、身体がガチガチに固まりカフも機能しなくなることが多くありました。この場合、投球フォーム不良の可能性もありますが、色々な要素を考えた結果、脳が邪魔しているのではという仮説に辿り着きました。
 やることはただ一つ。痛くない投げ方で投げ続けることです。これは痛みを庇って投げるという意味ではなく。正しい投げ方で投げ続けるということです。自分の場合は真下投げが痛みなく全力で投げられたので、真下投げの全力投球を反復してその感覚を脳に覚えさせました。感覚を覚えたら、徐々に投球のベクトルを前方に移していきます。気付けば、近距離のネットスローを全力で投げられるようになります。仕上げはプルダウンです。これで痛みが出なければリハビリ卒業です。そしたら、あとは人に投げるだけです。この時に大事なのは、暴投を恐れないこと。暴投を恐れて手投げになってしまったら、肩の痛みが再び出る可能性があります。
 こんな感じで脳のエラーを解除して全力で投げられるようになりました。あとは、脳へのアプローチとしては背骨コンディショニングの影響もあるのかもしれません。ストレッチやエクササイズもただやるのではなく、脳を騙すことを考えて行えると質が変わってくると思いますね。

 色々と試行錯誤して全力で投げられるようになりましたが、結局、何が原因で痛かったのかは今でも分かりません笑。日々、仮説を立てて取り組んだ結果、気づいたら痛みが消えていました。

 肩の痛みが取れるまでのリハビリのある程度の流れをご紹介しましたが、アプローチは大きく分けると次の3つです。

 ①フィジカル
 ②投球フォーム
 ③脳や神経

そして、この数字の順番通りにアプローチすることが近道ではないかと私の経験上感じました。基本的にフィジカル(筋力、可動域、機能など、身体に関わること全て)が整わないと目指すフォームの習得は出来ません。フィジカルさえあればある程度良いフォームは勝手に作られると考えてます。フィジカルを高めたら、フォームの確認。それでもダメなら脳や神経のエラーを取り除く。このような流れで取り組むと良いかと思います。

結局、何が原因だったのかが分からないと言いましたが、個人的にこれだけはやっておきたいという必須項目を紹介します。

①フィジカル
・ローテーターカフエクササイズ
・肩後方のタイトネスの解除
・TERの確保。胸椎伸展と肩甲骨の後傾
・胸椎回旋エクササイズ
・前鋸筋エクササイズ
・菱形筋エクササイズ
・僧帽筋下部エクササイズ
・開脚前屈(150°以上/頭着く)
・股関節/膝関節90°屈曲位での股関節内旋角度の確保(理想45°以上、最低30°)
・その他の身体のケアももちろん行う
・ウエイトなどでの筋力強化も

②フォーム
・セパレーション
・腹筋を抜く(腹斜筋の使い方)
・右斜め上に抜けさせる(正しいリリース)
・その他下半身の使い方なども当然重要

③脳や神経
・真下投げなど、痛くない投げ方で全力で投げる感覚を養う(庇った投げ方などの痛くない投げ方を見つけるのではない)
・背骨コンディショニング等の神経にアプローチするエクササイズ


今回の話に関連する過去のツイートを貼っておきます。


これで全てを伝えられたわけではないですが、何か参考になれれば嬉しいです。

最後までお読み頂きありがとうございました。

 









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