改正マイナンバー法成立に思うこと

これだけ毎日マイナの問題が報じられる中、国会で改正マイナンバー法が可決した。当院は23年前の開院時に電子カルテも導入し、マイナのカードリーダーも20万円以上の持ち出しになりながら、速やかに導入した。ところが未だにハードの問題でマイナカードを読み取ることができない。電子処方箋についていつ頃使えるのかベンダーに尋ねても一向に埒が開かない。それで来年から保険証廃止と言われてもね。今のところマイナで受付すると処方情報や健診情報を閲覧することができると言っているが、この前試したところ処方に関しては最新の処方ではない半年も前の処方が表示される例があった。健診についてはもっと根が深いだろう。と言うのも健診という事業の主体は健保組合であったり企業であって、個人orientedでは無いからだ。たとえば毎年同じA健診センターで健診を受けているBさんという人がいたとしよう。Bさんは去年までCという企業に勤めていて、その社員として健診を受けていた。今年退職してBさんはA健診センターで市町村主体の住民健診を受けた。そしてもらった健診結果には昨年までの結果は一切載っていない。同じ個人が同じ施設で健診したにも関わらず、経年の健診結果を得ることができないのが我が国の健診という制度なのである。それを無理やりマイナで見ようとしたら一体いつのどんなデータが表示されるのか。恐ろしくて考える気にもならない。このまま機器の不調が続いた状態で保険証廃止になるとしたら、最悪医院を閉院することになるかもしれない。コロナ禍で疲れ切った上に、このようなおよそ医療と無関係のことで悩まされる日々が続くのであれば撤退もやむなしである。

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