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動物自殺倶楽部とは

はじめまして。演劇ユニット鵺的という団体で主宰を務めております、高木登と申します。このたび動物自殺倶楽部という小さな演劇ユニットをはじめることにいたしました。最初に、なぜこのようなことになったのか、簡単な経緯を記しておきたいとおもいます。

もともと鵺的の活動以外に、個人的な活動をしたい欲求はありました。バンドでいうソロ活動です。団体も長くつづけていると、主宰といえども自分の意思だけでは公演が打てなくなってきます。より自由が利く場所をもとめたくなってきたわけです。鵺的の公演の規模が大きくなってきている分(実はそれも考えなおそうかとはおもっているのですが)、より小さい規模の公演を打ちたい気分も強くありました。小規模好きなんですね。小さいからこそできることがある。

自分はムーンライダーズというバンドが好きです。かれらはバンドの活動のみならず、ソロ活動、外部ユニットの活動、バンド内ユニットの活動と、個人活動に積極的な人びとです。バンドとしての音はアルバムごとにまるでちがうのに、メンバー各人の個性は常に一貫しているという希有な存在です。それに単純なあこがれがありました。ひとりでも充分やっていける人たちの集合体。それだからこその集団の力。外部や内部のさまざまな人と組んでこそ生まれる新たな個人の力(そういう意味で加瀬や奥野は一緒にやっていくのに理想的な人たちです)。ただ演劇は音楽ほどには身軽にできないので、個人活動への意欲はあっても、なかなか実現するには到りませんでした。

ある日、牡丹茶房の赤猫座ちこさんが出演している動画を見ました。彼女の魅力が横溢するひとり芝居でした。「いつかおれも赤猫にひとり芝居書くわ」とリプライを送ったところ、赤猫座さんは積極的に反応してくれました。自分の自主企画としてやりたいというのです。ただ彼女も結婚したばかりでなかなか忙しく、思うように進展しませんでした。ならば以前からやりたかった自分の個人企画としてやろう、せっかくならメンバーとしていっしょにやらないか、そうすれば自主性も残る──そう提案したところ、赤猫座さんも快諾してくれ、動物自殺倶楽部が始動することになったのです。

「動物自殺倶楽部」とは、大手拓次という詩人の詩のタイトルです。岩波文庫の『大手拓次詩集』のなかにこの詩を発見したとき、自分が個人活動をするときは絶対にこの名でやると心に決めていたものです。毒とユーモアがあります。いずれも自分が大切にしているもので、動物自殺倶楽部ではこの精神にのっとった劇作を心がけたいとおもっています。

自分も赤猫座さんもホームがあるので、こちらの活動はたまにしかできません。特に決めてはいませんが、次は数年後になるかもしれず、あるいはこれが最初で最後になるかもしれずで、たいへん貴重な機会になる可能性もあります。ご都合よろしければ、ぜひご来場いただけますと幸いです。

なお団体のロゴは今治ゆかさんにデザインしていただきました。彼女も多才な人物です。このロゴ、自分はとても気に入っています。

作品に関しましては、またあらためて書きたいとおもいます。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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