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田圃の設計

田植えが終わると、来年の田圃の設計を考える。
「えー早いだろ」「毎年だいたい同じでしょ」なんて事は無い。
ここまで気温の変化が見られる現代で、毎年同じタイミングでなんてのは僕は無いと思う。

僕が稲作を始めた18年前、僕に米作りとは!を教えてくれた今は亡き大先輩。

その大先輩が、こんな事を言っていた。
「約70年米作ってきたけど、所詮は70回しか作れなかったわけよ。今でこそ、毎年毎年同じく田植えだの稲刈りだのやるけどよ、俺が若い時は違ったのよ。そもそも苗代でやってたべ。苗代はよ、種撒くタイミング見誤ったら、まー大変よ。そんでもよ、ビシッと!最高のタイミングでなんてのは、何回あったべなぁ。

寒い年なら芽が出るのは遅ぐなるし、気候に恵まれればあっという間に延びるしよ。あたりまえだべ。寒ければ、遅くなるがら田植えもおそぐなるべ。そうなると稲刈りもおそぐなるべ。でもな、米の採れる量はそんなに変わらんのよ。今みたいに農薬や除草剤、農協で売ってる肥料もねーべ。水見と田の中の草取り。周りの草刈りぐらいよ。どっこの田圃も皆んな田の中さ入ってやってたよ。今は誰も入ってねーけどよ。俺もこんな歳だから入れねぇよ。笑笑

本当は、米に人間が合わせね〜ど。こんなに気候違うのに。それが当たり前よ。
今は、人の都合でやるべ。ま〜俺も今はでぎねぇがら偉そうな事は言えねぇけどよ。笑笑」

そんな言葉をいつも思い出しながら、田圃をグルグルとまわり稲の状態や、草達を観察していく。

一昨日より始めた中干し。7月は、ず〜っと曇りか雨。気温も上がらず、朝の最低気温も10度を下回るなど本当に寒いとしか言えない夏。こう言う時は、水を落とさず張ったまま水温優先でじっと待つ。

今年は農薬使用しても、田の中の草達を抑えるのに四苦八苦している様子。周りからも色々と相談や、イモチの薬を撒くヘルプ要請と舞い込んで来る。
肥料っけが多い田は要注意。
科学的根拠は勿論大事!それ以上に、培ってきた経験をもとに自然から感じ取る能力は、より大切になって来る。各家庭に検査機器などある訳も無く、結論や研究結果が出るまでにも時間がかかる。自然は待ってはくれない。

現在、結果の出ている科学的根拠やデータをもとに、各々でその土地に合わせ無農薬での栽培方法が今後大切になって来る。僕が始めた18年前に比べれば、現在は無農薬栽培に対しての理解も得られるのは間違い無い。
だからこそ、先ずは1歩を踏み出そう!

そして、これも大切な事!
農薬を使用している米農家は悪だ!なんて考えだけは起こさない事が大切。今のように情報が飛び交い、簡単に携帯を使い情報や知識を得られる時代では無い一昔前は、国や農協といった機関での指導に頼るしか無く、辛い経験や苦労をしてきたからこそ、楽を求めて走るのは人間のサガ。根本的な問題はそこでは無いと認識だけは必要だと僕の経験上は思う。

20代と言う若さもあり、昔は良く言い争いしてました。笑笑

田圃100枚あれば、100通りの育て方がある。
胸を張って先ず1歩!
取り組み始めてまだ浅く、心が折れそうならもう一踏ん張り!

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