西武4000系の秩父鉄道線内運用が華やかだった時代
先の記事(秩父鉄道に誕生した「直通急行」の性格)にて、「御花畑行きは定期列車としてはいつ以来の設定なのか」と書いたのですが、コロナ計画運休を除けば1999年12月の秩父鉄道がワンマン運転を開始する前までのようです。私自身この頃の記憶がどこかへ行ってしまっていたのですが、同時点での西武鉄道最新ダイヤである「1998年3月26日改正ダイヤ」をみると、西武車の秩父鉄道線内運用がかなりハードに行われていたことが分かります。これは西武鉄道が秩父鉄道に乗り入れを開始した1989年当初にはなかった運用です。
平日の動きも面白い秩父鉄道線内運用
1998年3月改正ダイヤでは、まだ平日の朝にも池袋からの秩父鉄道線直通列車が1本設定されていました。(8:32発、急行・三峰口/寄居行き)この列車は池袋への送り込みが朝ラッシュと重なるために、2ドアの4000系ではなく3ドアの新101系が使用されていたようです。この列車の寄居行き編成が日中に間合い運用で寄居~三峰口を往復しています。
また、朝に秩父鉄道線から飯能への直通する列車の送り込み、夜はその逆の列車が夜間滞泊までに線内運用に就くという、朝か晩まで働きっぱなし状態なのが興味深いです。
以下に平日の運用をまとめます。(同じ記号は西武線内同一列車からの分割、または同一列車として併結。連続した運用が明白な列車のみアルファベットで表現)
【平日】
朝、西武直通の送り込み
[S2 寄居行き]秩父 5:00 → 寄居 5:35 A
[S4 寄居行き]影森 5:24 → 寄居 6:04 B
朝、西武線へ直通
[S1 飯能行き]A 寄居 5:43 → 飯能 7:17 ☆
[S6 飯能行き]三峰口 6:04 → 飯能 7:17 ☆
[S3 飯能行き]B 寄居 6:17 → 飯能 7:55 ★
[S8 飯能行き]三峰口 6:39 → 飯能 7:55 ★
朝、西武線から直通(新101系)
[S5 三峰口行き]池袋 8:32 ◇ → 三峰口 10:49
[S10 寄居行き]池袋 8:32 ◇ → 寄居 11:17 C
日中、間合い運用(新101系)
[S7 三峰口行き]C 寄居 11:48 → 三峰口 12:54 D
[S12 寄居行き]D 三峰口 13:18 → 寄居 14:30 E
夕方、西武線へ直通(新101系)
[S9 池袋行き(急行)]E 寄居 14:45 → 池袋 17:19 ◆
[S14 池袋行き(急行)]三峰口 14:53 → 池袋 17:19 ◆
夕方、西武線から直通
[S11 三峰口行き]飯能 17:31 ▽ → 三峰口 18:50
[S10 寄居行き]飯能 17:31 ▽ → 寄居 19:06 F
[S15 三峰口行き]飯能 19:14 ▼ → 三峰口 20:38
[S18 寄居行き]飯能 19:14 ▼ → 寄居 20:55 G
夜、間合い運用
[S13 御花畑行き]F 寄居 19:10 → 御花畑 19:49
[S17 秩父行き]G 寄居 21:05 → 秩父 21:43
土休日は日中の間合い運用が多彩
土休日は夜間滞泊は無く全て池袋からの快速急行が三峰口・寄居行きとして乗り入れてきます。池袋7時15分、7時55分、8時36分の3本。また、近年のダイヤと違って、秩父鉄道直通の間に快速急行・西武秩父行きも多数設定されていて、朝方は華やかです。
また、当時は池袋への送り込みも営業列車だったため、4000系2ドア車8両編成では土休日とはいえ、一定の混雑があり乗降に手間取っていた印象です。
本題に戻りますが、池袋発で3本、横瀬で分割して6本の列車が秩父鉄道線に入線します。これらの列車が西武線に戻るのは午後。それまで寄居着列車3本は全てが秩父鉄道線内運用に就くのです。池袋発1番列車は寄居で折り返し秩父行き、2番列車は折返し影森行き、3番列車は折返し三峰口行きとなります。
三峰口着列車はまず1本が野上行きとして運用に入り、1往復。そして午後になると、いよいよ池袋へ戻るための送り込みが開始され、どの編成が入るのか不明ですが13時台に三峰口発から一旦影森行きとして運行。影森から2本、御花畑から1本の3本が寄居へ送り込まれるわけです。
線内運用は上下合わせて9本、平日には見られない「秩父」「野上」「影森」と多彩です。以下に土休日の運用をまとめます。
【土休日】
朝、西武線から直通
[S1 三峰口行き(快急)]池袋 7:15☆ → 三峰口 9:36
[S2 寄居行き(快急)]池袋 7:15☆ → 寄居 9:43 A
[S3 三峰口行き(快急)]池袋 7:55★ → 三峰口 10:19
[S4 寄居行き(快急)]池袋 7:55★ → 寄居 10:35 B
[S5 三峰口行き(快急)]池袋 8:36▲ → 三峰口 10:59
[S6 寄居行き(快急)]池袋 8:36▲ → 寄居 11:15 C
間合い運用(三峰口方面)
[S7 秩父行き]A 寄居 9:52 → 秩父 10:37
[S9 影森行き]B 寄居 10:37 → 影森 11:27
[S11 三峰口行き]D 野上 11:22 → 三峰口 12:10
[S13 三峰口行き]C 寄居 11:28 → 三峰口 12:32
間合い運用(寄居方面)
[S8 野上行き]三峰口 10:34 → 野上 11:17 D
[S10 影森行き]三峰口 13:23 → 影森 13:40
[S12 寄居行き]影森 13:56 → 寄居 14:37 E
[S14 寄居行き]影森 15:13 → 寄居 15:57 F
[S18 寄居行き]御花畑 16:14 → 寄居 16:56 G
夕方、西武線へ直通
[S15 池袋行き(快急)]E 寄居 14:48 → 池袋 17:12◆
[S16 池袋行き(快急)]三峰口 14:54 → 池袋 17:12◆
[S17 池袋行き(快急)]F 寄居 16:02 → 池袋 18:32◇
[S20 池袋行き(快急)]三峰口 16:12 → 池袋 18:32▼
[S19 池袋行き(快急)]G 寄居 17:01 → 池袋 19:32△
[S22 池袋行き(快急)]三峰口 17:16 → 池袋 19:23△
翌年の1999年12月、秩父鉄道のワンマン運転開始に伴って西武4000系の間合い運用は終了しました。間合い運用がなくなって以降は、寄居構内が4000系の昼寝の場所となっていました。
間合い運用の終了、直通列車の減便、区間短縮、平日の取りやめ・・・縮小の続く西武鉄道の秩父鉄道乗り入れですが、2023年3月改正では久々に攻めに転じた格好となりました。そこで24年ぶりに復活した西武車の秩父鉄道線内運用、「普通・御花畑」幕を出す定期列車復活。まだまだ、この座組は興味深いですね。
他の方のブログも参考になりますのでぜひ
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