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久喜・南栗橋で分断した東武伊勢崎・日光線【系統分離】

前回の記事で南海高野線の大運転の現状を少し書きましたが、似たようなケースは全国の私鉄で見ることができます。

伊勢崎に直通しなくなった伊勢崎線

東武伊勢崎線は東京都台東区浅草と群馬県伊勢崎市を結ぶ長大路線です。そのうち浅草~東武動物公園間は2012年3月から「東武スカイツリーライン」という愛称が付けられ、現在は一般的に伊勢崎線といえば東武動物公園以北を指します。

現在の運行形態の基礎となるのは2006年3月の改正ダイヤで、久喜を境に南側を半蔵門線直通10両編成の急行が主力として走るダイヤとなりました。現在においても一部に久喜を跨ぐ浅草発着の列車(主に区間急行)は設定されていますが、同ダイヤ改正で1往復の特急を除いて太田~伊勢崎間はワンマン列車が行き来するだけの路線として完全分離。日中は久喜で系統分離されています。

それまでのダイヤは浅草発着の準急(現在の準急とは別もの、区間急行に相当)が毎時6本あり、そのうち3本は日光線方面。伊勢崎発着、太田発着、館林発着が1本ずつという構成でした。さらに2003年3月改正までは、日中の伊勢崎発着準急は「A準急」と呼ばれ、東武動物公園~太田間にも通過駅があり都心から埼玉北部、群馬方面への速達列車として設定されていました。

まさに東武本線系統の通勤電車のエース的存在。一部には東武動物公園以北各駅停車の準急(B準急)を追い越すA準急があったと記憶しています。

2020年6月改正で、朝夕の浅草発着区間急行のさらなる区間短縮が行われ、浅草と太田を結ぶ列車も消滅してしまいました。日中は久喜での系統分離、そして終日館林において完全系統分離。都心・埼玉南部と、埼玉北部・群馬栃木エリアとでの輸送需要の差はもちろんですが、他社線の車両も含めた車両運用の効率化が図られています。

南栗橋分断、そして東武快速の廃止

東武日光線では、2006年改正までは日中でも浅草から準急が新栃木まで足を延ばしていました。さらに朝晩には東武日光発着も設定され、90年代初めころまでは日中でも一部が東武宇都宮まで直通していたのですから、伊勢崎発着同様に今では考えられないロングランです。

伊勢崎線系統が分離されたのと時を同じくして、日光線系統でも朝夕の一部列車を除き南栗橋で系統分離することになりました。それでも伊勢崎線系統と大きく異なったのは、当時はまだ快速(多くは日光線内各駅停車の区間快速に格下げ)が設定されていたこと。都心や埼玉南部から、栃木、鹿沼、日光方面に直通する特急以外の列車を利用することが可能でした。

しかし、この2006年改正での区間快速化、さらに停車駅が変更(新大平下以北各停)されたものの2013年改正では区間快速が毎時1本から2時間毎に減便と、廃止に向けた布石が打たれていきます。快速用車両である6050系の老朽化、特急列車の利用促進など様々な事情があったと思いますが、ついに2017年4月のダイヤ改正で東武快速の歴史に終止符が打たれてしまいます。

これによって、東武日光線は特急を除き南栗橋で完全に分離。快速の代替となる日光方面の急行・区間急行も南栗橋発着となりましたが、JRとの乗り換えを考慮して栗橋に追加停車が開始されています。

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