海と大地のレズセックス

母なる海、母なる大地。彼女たちは、どちらも人類の母として太古から崇められてきた。
母ということは子持ちであり、母たちは繋がっている。

私たちは砂浜を見る。波打ち際の子持ち同士のレズセックス。さあ、もっと耳をすましてみよう。

ザザザ……ザー……(暗転)


大地は度重なる海の愛撫によってすりきれ、掠れ声をあげている。

サー……サー……

海は嬉しそうに、大地に覆い被さる。少しずつ少しずつ、撫でて、削って、愛を伝える。

海は荒々しく、エロ同人のようなセリフを言った。
「お前が私を産むべきだろ!」

それに受け応えるような。または、諦めるような。そんな砂の動きだ。さらさらさらと、流されていく。

急に、地面が震えだす。噴火の予兆。数万回の絶頂。噴き出しアクメ。大地は、もう何度いったか分からぬとでも言いたげだ。

噴火して、どろどろとした液体が海に襲いかかる。海は

じゅっ……

と、鈍い声をあげる。それが嬉しかったのか、大地はあついあつい粘液を更にぶちまける。流石の海も、大地を叱りつけるかのような荒波を立てる。
もう観念してくれ、やめてくれ。そんな海の声が聞こえる。

大地は母と言えどもまだまだ子供だ。キャッキャと海の反応を面白がる。海の底にあった火山をまたも噴火させる。どばどばと出す。

大地という女は、無邪気だった。まだ誕生したばかりで、セックスをおままごとだと捉えていた。

大地は言った。「このまま遊んでようよ、私たちの子供を作ろう」

海は返した。「もう子供はいらない、私の胎(はら)に、数え切れないほどいる……んおおお!満潮になっちゃうううう!」

やめてくれ、と海水で冷やすも、止まらない。長い長い絶頂は終わらない。永久絶頂(エクスタシーフォーエバー)。減ってゆく海。まだ遊び足りない大地。

もっと、もっと。大地が海を求める。どんなに雨を降らせようと、どんなに風を起こしても、それは大地にとって興奮材料でしかない。

海は、もう、どうなってもいい。この地球(ほし)が終わろうとも、もうよい。そんな感情を燻らせていた。

地球的規模での火山活動による二酸化炭素濃度の変化により、迎える氷河期。

大地は凍てつき、もう何も言わない。後悔も、懺悔も、謝罪も何もしない。あの愛しかった大地は、もう死んだ。火山活動により、全ての子供たちは滅び、最愛の大地も、凍ってしまった。もうかえらない。もう、私に笑いかけない。

海はすすり泣きのような波を立てるだけだった。何年も、何百年も。このほしがおわるまで、ずっとそうしていた。

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