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突然沖縄に行って生還した人

下手に盛ると読み返したときに嘘か本当か分からなくなるので、可能な限り正直に書いておく。


多分本来は反対側から撮るやつ

2023年3月14日火曜日22時30分、那覇空港に着いた。

全然普通に火曜日である。平日で仕事中だった。
16時半くらいに「すみません早退します」みたいなチャットだけ投げて返事を待たず退勤ボタンも押さず家を出た。

3月頭から調子が悪かった。中途半端に余った薬を飲みすぎたり、酒で強制気絶したりを毎晩やっていたので日中は朦朧としているし記憶もめちゃくちゃ飛んでいるし、なんかもうめちゃくちゃだった。そのまま悪化して死んでほしかった。そんなある日、昼間から動けなくなって布団に落ちていたら突然思ったのである。
「どこかに行かなければ」と。

正しく言うと、家以外のどこかで死にたいと思った。そして衝動のまま逃げ出す勢いがあった。最後なら遠くの綺麗な所に行きたかったし、南国の夜の海に憧れがあった。なので沖縄行きの飛行機をとった。

当日夜の便なんて全然残ってなかったからわざわざ遠い空港まで急ぐことになった。親が帰ってくる前に着替えて、鉢合わせないように階段で降りて、道中で現金をたくさん下ろした。
普段着ない系統の服を着て、帽子とかいらないけど買った。正気のままでは現実逃避できないので他人になりたかった。

服装を変えたくらいで別人にはなれなかったけど、まあ帽子に関しては、現地の陽射しが思いのほかキツかったので普通に役に立った。

行きはJAL!

そんなわけで半分気を失ったまま気づいたら高度12000メートルにいた。飛行機に乗ったのは中学生ぶりだったのでワクワク感とかあったと思うんだけど、何も覚えてない。
残念なことに機内で少し冷静になってしまったので、帰りの飛行機をとった。携帯なんか捨てて行けば死ぬしかなくなって死ねたかもしれない。

宿到着時の写真がこれしかねえ

無事に那覇空港に着き、モノレールに乗り、夜道をさまよいつつ、0時ごろ無事に宿にたどりついた。沖縄の住宅街暗すぎ&静かすぎてビックリした。星がそこそこ見えたのでよかった。

宿は適当にとったわりに綺麗で、スタッフさんも親切だった。テレビがあったのでつけたら有吉が後輩芸人をイジっていた。
年末あたり本当にどうしようもなくて、有吉の壁とかりそめ天国を見て顔だけ笑顔にしてから寝てた時期があったので、ここにきて有吉がテレビに出てたのはなんか嬉しかった。
勝手に逃げ出して全部めちゃくちゃになって終わった気がしてたけど、ここも有吉の番組がやってる程度には手の届くところなんだなと思った。

高い建物がない。

テレビを見てカップ麺を食べて風呂に入ったところで、外に出た。近場に港と小さい浜がありそうだったので見に行きたくて、可能なら死にたかった。そういう目的で来たので一応やっておくか…みたいな。

かっこいいスタジアム
那覇港
シーサー
ガス?
🌎が宿。かなり歩いた

3月の深夜の沖縄は蒸し暑くて、人が全然いなくて、見たことない植物がワラワラ生えてて、3分に1回シーサーが現れた。
本当に人がいなかったから、そのへんの木で首吊ってても朝までバレないんじゃないかと思うくらいだった。ひよって紐を宿に置きっぱなしにしていたので無理だったけど。
早くも筋肉痛を感じつつ歩き続けて、目的地にたどりついた。

波の上ビーチ

道路脇の護岸。砂浜はないものの波が静かに打ち寄せていて無人で、ここに入っていっても誰にも見咎められないだろうなという感じだった。

途中から海に沈んでいる階段があった。

多分昼間はもう少し潮が満ちているんだろう、少しぬるぬるした階段に座って正面を見れば、なんとなく海と空の境目が見えた。
ハッキリしてる水平線よりもギリギリ判別できる水平線のほうがなんか好き。
方向的には島とかないはずなので正しく(?)水平線だ。大阪にいるとあんまり見る機会がないので嬉しかった。

ヘイタクシー!

ぼんやりしてたら3時になってたし筋肉痛がやばすぎたのでタクシーを捕まえて帰った。いや死なないんかい!ワイトもそう思います

今ここに入っていったら死ねるのになんで死なないのかな?って数十分考えてたけど、死なないことになってた。海とか山とかを見ながら死ぬか死なないかしっかり考えないと落ち着けないっていうのは初めてではないけど、今回はその規模があまりにもデカすぎた気がする。
そうやって考えてたら人が来たので(どの口が選手権だけど、3時に外で何してんの?)道路に出てヘイタクシーした。
野良のタクシー捕まえたことなかったけどうじゃうじゃいたので簡単に捕まえられた。深夜ってそういうもん?


何のピース?

3:40就寝。
疲れてたのもあり普通に眠れた。

宿

9時起床、10時チェックアウト。
帰りの飛行機は夜にしたので、もうこの時点で開き直って観光する気しかなかった。カス。
とりあえず豊崎海浜公園に向かうことにして、バスに乗るべく那覇空港へGO。

シーサーとイオン
那覇空港 天気が良くなってきた
バス停が小刻みすぎるだろ!と思ったスクショ(結局バスは超遅れてて容赦なく停留所すっ飛ばしてた)
色々移動してたどりついたバス停、昨日徒歩で通り過ぎたスタジアムで草。昼間に見てもカッコイイね

バスに乗ったら観光客らしき男に現地の人と間違われて運賃を聞かれた。こんな浮いてるやつのどこをどう見たら現地の人に見えるんだ?(多分怪しい人じゃなくてガチで困ってる人だった)
DMMかりゆし水族館?に行きたかったらしく、私と同じバス停でおりたら着きますよって教えてあげた。その後は特に話しかけられず、バスにはその人と私くらいしか乗ってなかったので微妙な空気が流れていた。

バスをおりて、水族館はあっちですよって言ってあげたらじゃあまたその辺で出くわしたらよろしくお願いします(?)みたいなことになって別れた。当然ながら二度と会うことはなかった。

そういう感じで12時前に豊崎海浜公園に到着。

かなり白い砂浜と透明な海で嬉しかった。
若い男女の集団とカップルがぽつぽついる程度で、1人でもあんまり気まずくなかった。海を見るために来たので、ウロウロしたり展望台にのぼったり座ったりしつつ13時くらいまで海を見る。

関空で買ったいくらのおにぎりを食べた。

とりあえず海を見よう!という勢いで出てきたものの、普通にここでやることは全部やったな……みたいな感じになったので次に行く場所を考える。
那覇空港周りでバスで行ける範囲だと瀬長島がよさそうだったので、移動。

瀬長島ウミカジテラス

豊崎海浜公園のあたりから割と直通?っぽいバスが出てて、すぐ着いた。13時半くらい。
なんか名前忘れたけど外国の壁とか地面が全部白いあの……あれみたいな空間で、階段と店がいっぱいあるやつ。サントリーニ島?
豊崎海浜公園の5倍くらい賑わっていた。観光客の若者でいっぱい。普通の人間はちゃんと計画立てて荷物も用意して誰かと一緒に沖縄に行くわけで、仕事放ったらかして1人で突然沖縄に来てるのはやっぱ異常なんだよなと思った。

全体的に食への関心が死んでる旅程だったけど、この頃にはせっかくならベッタベタなアイスを食べたいという気持ちが発生してたのでアイスだけ食べた。沖縄なんとかベリーとちんすこう、みたいな……。ベッタベタ。
ここでアイスを食べつつ15時半くらいまで海を見る。

この桟橋みたいなやつを様々な角度から観察する旅だった。


無限に海を見てやることがなくなったのでとりあえず那覇空港の方面に戻ろうと思い、バスで来た道を戻り始める。
普段動いてないのでこのへんから筋肉痛と靴擦れがヤバかったけど、そんなこと言っても仕方ないので無視して歩く。

なんか展望台があったのでせっかくなら精神で上る。筋肉痛に鞭打つようなことをしてしまった。

どっちかというと市街方面を一望するタイプの展望台だったけど、市街に興味がなかったので木の隙間からまた海を見た。

道路の端を歩く。半袖でも全然暑い。3月の晴れの沖縄はもはや夏だった…。

これが道路脇に普通に植わっている。面白

16時半くらいに元の島(?)に戻ってくる。左に行ったら那覇空港だったけど時間が微妙に余ってる気がしたので、右に歩いてしおさい公園に向かう。
ここもそんなに遠くはなかったけど、そろそろ筋肉痛が限界すぎてキツかった。でもそんなこと言っても仕方ないので歩く。休むのはいつでもできるけど沖縄を歩いて海を見るのは今しかできないので…。

道路越しに海が見える

ベンチで海を見ていたら17時を過ぎていて、そろそろ帰ることを考えなければならない。飛行機は20時発だったけど、乗るのに慣れてないので18時半には空港に行こうと思っていた。

もう何も考えたくないから全部適当でいいや!っていう勢いで出てきたのに、冷静に飛行機の時間見て帰ろうとしてるのがマジで嫌すぎる。でもこの頃にはけっこう正気だったし、親とか会社のことをギリギリ何事もなく済ませるにはここで帰るしかなかった。
ここで帰ればギリギリ何事もなく済む、みたいなラインまでしか行けなかったのが情けなく悔しい。

そんなこと言ってるうちに本当に時間がやばくなってきたので、限界の足を引きずってバス停まで歩く。

写真ないけど、具志営業所まで歩いた。初見のバスってどこから乗降するのか全然わからないよね。
さらに営業所なのでバスがめっちゃ置いてあってマジで勝手がわからなかったので、そのへんの運転手さんを捕まえて聞いたらめっちゃ丁寧に教えてくれた。ありがとう。

教えてもらったバスに乗って、帰りたくないな〜と思いつつ大人しく赤嶺駅に運ばれるしかない。

赤嶺駅 ホームから水平線が見える
那覇空港にGO

行き当たりばったりの旅だったわりに天候に恵まれていたな〜と思いつつ18時半に空港着。

発券だけ済ませて、土産フロアをうろついた。
人への土産物とかプレゼントを考えるのがめちゃくちゃ苦手。いろいろ考えてああでもないこうでもないって永遠にウロウロしてしまう……。というか呑気に土産物なんか選んでるのにも嫌気がさしてきてもう全てがカス。死になさい。

なんだかんだ当たり障りのなさそうなものを選び、あと沖縄に行くならサーターアンダギーを食べろと言われたのに食べてないことを思い出したのでそれも買って、空港のベンチで食べた。
味はよく分からなかったけど多分おいしかった。胃に何も入ってないのに1個でお腹いっぱいになった。

充電器はあったはずなのに色々下手すぎて離陸した時点で携帯の充電が10%くらいしかなかった。気を紛らわす手段を失ったので帰りの機内ではひたすら帰宅後の始末と自分の頭のおかしさについて考える羽目になった。



ここで割と正気に戻りつつ、異常な行動を起こしたことに対して更に頭おかしくなりかけていたので実は一連の流れで最もヤバかった。
ほんとに頭がおかしくなっている間は何も考えないで呑気に海見てられるけど、ギリ理性が残ってると頭がおかしくなりそうな淵に立ってるのがわかって、正気と狂気が裏返りそうな感覚がマジで怖い。

怖いな〜怖いな〜と思いつつ神戸空港着。なんで神戸空港かって、前日夜に取るとそんな便しか残ってないからです。

人生初の神戸空港、ここか……。

帰りの便、アローラナッシーとのコラボ機体だった。内装までしっかり。
ポートライナーから見た神戸が綺麗だったな〜という写真のはずだけど、なんで駐車場撮ってるの?

ポートライナーとJRで大人しく帰る。引き続き充電がなかったのでひたすら自分の頭のおかしさと向き合うことになり、気が狂うかと思った(実際ここで多少変になってたと思う)。
足腰が限界すぎたので適当なところでタクシーに切り替えて帰宅。



沖縄に行く前の数日間はパキっていたので昼間に全く仕事が進まずそこそこ追い詰められてたんだけど、なぜか帰宅後にその仕事を終わらせなければという焦りに支配されてしまい、とにかくヤバかった。

親への説明、会社への説明、仕事の終わってなさ、自分の頭のおかしさのうちどれから処理したらいいか分からなくてパニック状態だった。頭が処理落ちしてるけど電源が切れない感じ。

とりあえず親からは大して追及されなかったので解決(ほんまか?)、風呂を出て即仕事に取りかかったけどマジで集中できなかったし3時には限界がきて寝たし、後から見たらそもそも全部無駄な作業だった。この瞬間は本当に頭がおかしかったと思う。

那覇空港のコンビニで買ったフレーバーティー。めっちゃおいしかった

翌朝起きてものすごい吐き気を覚えながら諸々のチャットを返した。朝っぱらから生きるか死ぬかという感じだったけど奇跡的に上司が全員仏のように優しくて何事もなく済んだ。そんなことがあっていいのかよ……。

勤怠に関しては1人でずっと追い詰められていたので、この機会に勤怠管理の上長と話せたのは良かった。思いのほかゆるい人で助かった。


そんな感じで突然沖縄に行って生還したけど、沖縄に行って何か解決したわけではない。

むしろ親が全く追及してくれなかったのをきっかけに家庭へのフラストレーションが高まり、現在全く無関係の上司に八つ当たりして迷惑をかけている。嘘……カスすぎる…………。


強いていうなら死ぬ前に沖縄に行きたいという願望がクリアできてよかった。できたらついでに死んで欲しかったけど……無理だったみたいだね
あと、仕事放棄して沖縄に行くというあまりにも明白な異常行動を起こしたので、精神が健康じゃないのは事実なんだって分かったのもよかった。多分。

楽しかったかどうかはよく分からない。とりあえず海を見ないといけない気がしたので義務感で歩き回って疲弊した感じがすごい。常に逃げ回っている感覚だったけど結局逃げられなくて虚無だけが残った。

数年後に振り返ったらやっぱ楽しかったかも♪になってるかもしれないけど……。よく分からん。


できればすぐに死んでほしいので次回とか言いたくないけど、次に3月の沖縄に行くことがあったら日焼け止めはちゃんと塗ろう。今回はそのへん何も考えず半袖で歩き回ったら腕時計のかたちにガッツリ日焼けして、ひと月経った今も全然残ってる。これいつ消えるの?

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