職域接種の問題点(業務負荷面)

普通に進めるだけでも無理ゲーなのに、直近「河野大臣室」名義での、真面目にやるほど指摘事項が増えて泣きそうなので書いたメモ

職域接種の最大の特徴:接種券不要を許容したこと

職域接種は、自治体からの接種券配布の遅れに影響されずワクチン接種を加速させるため、接種券を事後回収することを許容した

結果生じた、普通の接種との差分

普通の接種…接種券を忘れたら接種不可、接種記録を示す書類がなければ2回目としての接種を不可
⇒単純に予約日時だけ管理すれば事足りる、接種が終わり次第VRS読み込んで国保連等への請求処理に回せる

職域接種…接種券がなくても接種可能、結果的に接種記録証忘れが発生しやすいが、2回目として接種に来た方を追い返すわけにもいかない
⇒以下の情報を全部管理するDBと書類処理業務フローが発生

・接種希望者の連絡先(対象人数を考えるとEメールが望ましい)
・接種予約(2回分)
・接種実績(1回目の接種実施有無)
・予診票を捜索しやすくするための別番号
・接種券の有無(2回分)
・VRS登録状況管理(2回分)

この差分は、医療機関側は当然把握しておらず、職域接種を進める行政もそれを把握しておらず(開始2-3週目になってようやく「接種者の名簿をつくることをお勧めします」という連絡が流れてきた)、このリソースを見積もった企業はゼロに近かったのではないかと思います。

少なくともトヨタのこの記事では「接種直後にVRS読み込んで終了」というフローが見えるだけ…(もちろん接種自体の運営は素晴らしいな、と思います…当社がやりつつ気づいて直した部分が、最初からかなりケアされている)

結果、追加で職域接種の運営に必要になったリソース

1万人規模の接種を行う場合には、予診票管理の専属チームと、数名以上の作業人員が必要な作業量です。

予診票をソートして、あとから届く接種券もソートして、というのを2,000枚処理するのに、1人が完全に専属でも、早くて2-3日くらいの工数がかかります。

あと、VRSのタブレットは1会場1個では足りません。全然足りない。当社は都合4会場申請したので4台あります。地理的に離れてない3会場のタブレットは当然1カ所に集約して一気に処理するよね、当然だよね。

デフォルトのカメラ読み込み、最適化すると1枚10秒くらいで読めるときもあるのですが、たまに読み込めないものにあたると1分とか平気で食いますので、高性能リーダーは必須アイテムです。
読み込み自体は1秒もかからなくなります。画面と接種券の照合をするのと、1時間おきにVRSが反応しなくなる(再ログインすると治る)不具合があるので1枚15秒くらいは見込む必要がありますが…
ちなみに定価だと6万円くらいするので各種補助とか考えたくなるんですが、中古なら7,000円くらいで安定して購入できるので迷わず買うべき。あ、経費精算わすれてた…

タブレットは他会場のを使い回すな、といいたげな指示がくる⇒誤解で、他会場のを使ってOKと来た

内閣官房河野大臣室及びIT室から、貴会場におけるVRSで接種券を読み取る際の会場名登録が、命名ルール(別添)と異なるもので行われている可能性があるという指摘がございました。

まだVRS登録をしていないはずの会場名でこのような連絡がきました。

なにぃ?VRSタブレットの改良せずに、わざわざVRSのIDで登録会場名を検索して外れ値を探してたの、河野大臣室は?
というか、VRSのIDで会場名わかるなら、VRS上でなぜ会場名を手入力せないけないの?はぁ?

…かたかたかた

河野大臣および河野大臣室およびIT室よりの「VRSへの登録を早期に行うこと」という要望に答えるため、他会場のタブレット利用が禁止されておりませんでしたので、複数会場のタブレットを集約して1会場分のVRS登録を行ったためでして、設定されている接種会場が正しいものとなります。

IT室および河野大臣の想定は、接種会場でのVRS登録かと思いますが、大規模な接種を行う会場(当社では1時間あたり240人の処理が必要)ではVRSでの処理は困難※であること、7月前半までは著しく低かった接種券の持参率(6月後半は1割、7月前半でも3割でした)を考えると、接種券貼付率が高かった日程のものを、接種とは別の日に人数をあつめ、一気に登録処理をせざるを得ない状況です。

そのため、以後も「記入された会場情報の冒頭6文字にある番号」を正としてVRS内の処理を行えるよう、強く要求します。

とかいたら、「単純に入力ミスか確認でした、冒頭6文字の数字が間違ってるとアウトなのでそこは正しくいれてください、他の文字列は多少揺らぎがあってもかまいません」と、河野大臣室かIT室に確認した結果の返信が貰えたので一安心だった

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?