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入院保険金の支払い見直しについて

こんにちは、DNFです。

生命保険、医療保険などの「保険」と聞くとネガティヴなイメージを持つ人も少なくないでしょう。保険は「なんだか良く分からないけど加入している」という人が多い現状です。

今回、このニュースに関して少し記事を書かせていただきます。

今回のニュースの概要

平たく言うと「新型コロナ患者に入院保険金を支払っていたが、支払い対象を制限する検討をしている」という物です。

これに対して批判の声が多く出ています。
しかし批判の中には誤解も多くあるように見受けられます。

一番気になるのは「保険会社の都合で、もらえるはずだった保険金がもらえなくなるのはおかしい」といった主旨の批判です。

そもそも医療保険って?

あまり馴染みの無い方に簡潔に説明させていただきます。
医療保険には主に「入院保障」と「通院保障」があります。

入院保障

入院したら保険金が支払われます。基本的には入院理由は問われません。
入院している時点で働けず経済的にはマイナスなので一律で保険金を支払おうという意図でしょう。

通院保障

通院したら保険金が支払われます。しかし基本的に条件が付きます。

一般的な医療保険で多いのは「入院した後の通院である事」です。通院なら何でもかんでもになってしまうと、軽症の風邪のようなものであったり、なんなら健康だけどもちょっと調べて欲しくて病院に行くだけで保険金がもらえてしまうため、そちらを対象外にしたものです。

入院を伴わなくても重い病気というのは存在します。なので例えば【がん】などの特定の病状を条件に通院した際には、入院関係なく保険金が支払われるものがあります。いわゆる【がん保険】のことです。

新型コロナで出る保険金の種類は?

さて、新型コロナに罹患した方には保険金が支払われています。
支払われている保障の種類としては「入院保障」になります。
この保険金は「ホテル療養」「自宅療養」の患者にも支払われています。

……これが何故かというと主に2つの理由があり(1つは後述)は「病院に入院したくても出来ないだけで実質入院患者と同様である」とみなす――すなわち「みなし入院」として保険金を支払おう、という考えからです。

保険金が支払われた例

"本来保険会社に支払い義務がない件で、支払う判断をした"という事例は、過去にもあります。

最近では、2011年の東日本大震災での生命保険金が該当します

生命保険金は支払いの判断にあたり、事由を大まかに以下のように分類しています。

『病死、自然死』
『事故など突然死』
『天災、自然災害によるもの、戦争など』
『犯罪行為によるもの、またはそれに順ずる過失(支払われません)』

『病死、自然死』の場合はいわゆる普通の死亡保険金が支払われます。
これに加えて『事故など突然死だと、それに対応した死亡保険金が追加で支払われたりするものがあります。

幅広い『事故など突然死』ですが、『天災、自然災害によるもの、戦争など』はその対象外になるという約款上の記述があります。大量の死亡者が出た場合、それを支払えるわけがないので最初から「支払いません」と明記している、ということですね。

東日本大震災に対する生命保険協会の対応

↑このような記事にもあるとおり、実際には業界全体のほとんどが支払っていました。復興支援やボランティアにも力を入れ保険料猶予延長、また無利息の貸付金支払いなども行っていました。

私個人の見解ですが、NPO法人でもないのにここまでやるって凄いことだと思います。しかしながら、あまりこういった生命保険業界の素晴らしい取り組みは皆に伝わっていない現状に残念な気持ちがあります。

新型コロナは何が問題か

さて、新型コロナの入院保険金が支払われている大きな理由が2つあると申し上げましたが、もう一つ述べます。
巷で耳にしたことあるかもしれませんが、「新型コロナが【2類】」だからという理由です。

「2類とか5類とか耳にしたことあるけど何の事?」という方もいらっしゃるでしょう。これらは、感染症の危険度の区分です。

感染症は危険度に応じて【1類】から【5類】の区分が設定されています。(数が少ないほど危険です)。 現在、新型コロナは【2類】と分類されています。【2類】という高い危険度は、地震や災害と同様に社会影響が大きく、特別措置が必要であると判断されるということです。

※上記を見ると分かるとおり、【2類】としても新型コロナは若干違った特別措置を受けていることになります。

ニュースでも耳にする【全数把握】により、医師は患者の全てを保健所に報告します。その報告を受け、保健所は全ての患者をデータに登録します。すなわち症状の大小関係なく等しく扱われるという事でもあります。



生命保険協会は金融庁からの要請を受けて判断する事があります。

※上記ページの下部に要請の履歴などがあります。

要請履歴を見ても分かるとおり、金融庁は2年前に「入院保険金の支払いを簡素化」するように要請し、さらに今年令和4年にもさらに簡素化する要請を出しています。端的に言うと「保健所が圧迫されているので、保健所発行の療養証明書を不要とせよ」というものです。

これにより保険会社にものすごく負担がかかるようになりました。

保険金というのはある程度調査をして支払う事になっています。昔から不正な保険金搾取などが後を絶たないからです。療養証明書が存在しないという事は入院もしてない人間の療養期間を把握しろということであり、さらに症状の有無に関係なく全数を平等に扱え、という無茶な話に実質なっています。(これらを療養証明書無しに確定させるには、医師の診断日、発症日~保健所登録の制限解除日などの情報が必要になります)

また、この簡素化なども伴って非常に無茶な請求が増加しました。

やめよう!その請求!


嘘をついて請求する人が出てきているようです。

療養期間の虚偽報告や、無症状の陽性者(療養すらしてない人)も請求する方もいます。これらは虚偽の保険金搾取になりますのでお辞めください。(陽性診断給付金ではないので勘違いなさらないでください
契約解除や訴えられることもあります。

また、既に発症していることを隠しながら、保険に新規加入し、即請求される方もいるそうです。発症を告知しないことは、新規加入時における健康状態の「告知義務違反」となりますので、そちらもおやめください。

また虚偽ではないですがあまりにも酷い例として、コロナにかかりに行く人もいるようです。感染者の唾液が売られているなどと聞いて恐ろしくなりました……。

コロナを甘く見ているのかもしれませんが、私は発症後3ヶ月は気管支の調子が悪いままで喋るだけで咳き込むような状態が続きましたし、世の中にはもっと酷い人も居ます、そもそも亡くなってしまう人も居ます、絶対おやめください。

本来どおり、入院が必要な人にだけ

今ニュースで言われている「2類から5類にする」すなわち【全数把握】をやめる、という裁定。
「全ての人間を重症者関係なく平等に扱う」ような話を「通常の基準どおり症状に応じて扱いを変える」という極自然な流れだと思われます。

保険業界の保険金支払額は、6月時点で東日本大震災を超えてしまったようです。東日本大震災が、高額の生命保険金が支払われるものであった事に対し、入院保険金がそれを上回るというのはかなり凄いことです。

モラルの低下した請求を防ぐために、対象を絞るというのは私個人は賛成です(特に医師の指示があったかどうかは判断に確実に加味するべきである)。

また当たり前ですが【入院保障】として【入院した人】には元々間違いなく保険金は支払われています。今回は【みなし入院】をもっと厳格化するという話です。

【2類】の時点で自己負担がほぼ無かったのに、保険金まで降りるという、いたれりつくせりの今までの状態がおかしかったのです。

圧迫された現状

医療業界、保健所、保険業界、とどこもしわ寄せを受けています。

医療業界がパンクし、保健所がホテル療養などを斡旋したり患者の全数把握に努めるもパンクし、療養証明書がなくなり簡素化して払えと言われた保険業界もパンクし経済的にも厳しくなっています。

どこもその業界が悪いわけではありません。どうか心無い批判を投げないで欲しいと思います。

今までどおり感染を広げないような取り組みを続けながら、以前のような社会になってくれる事を願っています。

DNF@P_drenreb

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