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AIは新しいUI

Pete Sena

3X創業者/経営者/投資家

AI is the new UI


未来は早くも到来しました。あなたがこの記事を読んでいるということは、選択をしたということです。進化する、という選択を。

AIがあなたの仕事を奪うのではなく、AIを使う誰かがあなたの仕事を奪うのです。

グラフィックデザインについての記事か、と思われる前に説明します。以下は、Canvaの新しいツールである、OpenAIによる”Magic Design”ツールを使って、文字通り1秒で作ったものです。より良い画像を選び、タイポグラフィとカラーパレットを微調整すれば、合格点以上のデザインになるでしょう。



Canvaのベータ版ツールは、OpenAIのDevDay 2023 opening keynoteのほんの一例に過ぎません。今後数十年・数年ではなく、数週間・数ヶ月の間に、テクノロジーがどこへ向かうのかを示しています。その要点は以下の通りです。

• まもなくアイデアをシームレスに現実に話すことができるようにな

るだろう

• カスタムGPT(指示、拡張知識、実行を提供するGPT)は、特定のニーズに応えるために、即座に利用できるようになるだろう
• クライアントや顧客のためのアシスト体験を、自身のアプリによって簡単に構築できるようになるだろう(現在はOpenAIのAssistants API)

Assistants APIのデモで、Open AIのデベロッパーエクスペリエンスの責任者であるRomain Huet氏は、AIの進化について現在の状況を以下のようにまとめました。

"この統合により、OpenAIの自然言語インターフェースは、私たちのアプリのコンポーネントや機能と流動的に相互作用し、AIとUIの調和を構築し、アシスタントが実際に機能することを真に示します”

言い換えれば、誰もが利用できるツールによって、可能なことが民主化される時代なのです。スマートフォンや車、日用品に至るまで、ほとんどすべてのものが、何らかの形で機械学習やAIによって動かされ、サポートされています。ソフトウェア/ハードウェア、そして物理的な世界は、オフィシャルにつながりました。

こうしたテクノロジーに抵抗しても無駄なのは明らかです。そうではなく、このテクノロジーを使いこなすために、私たちは今こそ立ち上がる必要があります。

怖がる必要はありません。あなたがデザイナーであれ、プロダクトマネージャーであれ、エンジニアであれ、ナレッジワーカーであれ、問題を解決するためのあなたの能力(思考、観察、人々とのつながり)はユニークで、市場価値のあるスキルであることに変わりはありません。

あなたの思考やアイデアの質こそが、本当に未来を動かすのです。そしてAIは、あなたの競争力を鋭く保つインターフェースなのです。

この記事では、AIの展望についての調査を支援し、AIのチャンスと落とし穴を見極め、どのようにAIの力を活用し、あなたとあなたの顧客に、より良い結果をもたらすのかを説明します。


過去はプレビュー

未来に目を向ける前に、オンラインデザインツールの進化を振り返ってみます。つまるところAIは、人間のデザイナーの代わりとしてではなく、追加的なインターフェース・レイヤーとして機能します。

この視点は、私たちにアフォーダンス(環境からの働きかけ*訳者注)を生み出し、私たちが作るものの上に重ねる、強力な可能性の入り口を与え、時間の浪費や、退屈による燃え尽きから救ってくれます。

歴史を振り返り、より速く、より効率的に、より創造的に仕事をするために、人間に力を与えた、コンピューター・プログラミングの革新について考えてみましょう。

• 17世紀:Gottfried Leibniz 氏が、バイナリコードの基礎となる2進数体系を開発
• 1800s:Hexコード(1980s)の前身であるRGBカラー理論の作成。数学者のJames  Maxwell氏が、最初のカラー写真を開発(1861年)
• 1883:Ada Lovelace氏が、最初のコンピュータ・プログラミング言語を作成
• 1949:アセンブリ言語が作成され、マシンコードの言語が簡素化
• 1950s:Autocode, Fortran, Algol (basis of Pascal, C, C++, and Java), COBOL, LISP 誕生
• 1964:John G. Kemeny 氏と Thomas E. Kurtz氏によるBASIC開発。後にBill Gates氏と 

 Paul  Allen氏 によって改良され、最初のマイクロソフト製品となった。
• 1970s:Pascal(Appleの初期製品の基礎), Smalltalk, C, MATLAB, SQL開発。

 あらゆるビジネステクノロジーの言語が標準化され、コードを知らなくてもアナリストが 

 データと対話できるようになった。
• 1980s:Objective-C, C++, Perl。グラフィックインターフェースの台頭

(Apple、ビデオゲームなど)
• 1990s:インターネットの登場。HTML, CSS, Python, Visual Basic, Java, PHP, Ruby,  Javascript。スクリプトベースの情報表示と、インターネットにおける

 プレゼンテーション・レイヤーの形成。

• 2000s:C#, Groovy, Go, Swift、アプリケーションをシームレスに接続することを

 可能にするAPIの広い世界。

Source: https://www.dropbox.com/s/gf0iocg579eyrva/Inline%20Graphic.png?dl=0


レイヤーにレイヤーを重ね、コンピューティングはデジタルの魔法により人々に力を与えました。頭の中にあるものを視覚や言葉で表現し、瞬時に世界中に伝える力です。

私たちデザイナーは、これは進化の一部に過ぎない、ということを認識することが不可欠だと思います。舞台裏で何が起きているのかを見失わないことが求められます。そのことが、暗黙的・明示的なデザイン上の決断を下す能力に影響を与えるためです。


AI革命

5世紀にわたるオンライン開発の年表を見てきましたが、この50年で物事が急速に進んだと思うなら、2023年の最初の6ヶ月を考えてみてください。Pitchbookの報告によれば、生成AI企業には世界全体で152億ドル(昨年1月にMicrosoftがOpenAIに注ぎ込んだ100億ドルを含む)が投入されました。製品ロードマップはより強固なものになっています。


OpenAIの創設者兼CEOであるSam Altman氏は、DevDayで次のように述べています。


"我々は、AIがこれまでに見たことのない規模で個人のエンパワーメントと介入を実現し、これまでに見たことのない規模で人類を高めてくれると信じています"

Sam Altman氏が言うように、すべてがハートと花と虹の世界だと仮定します。そして、そう主張するのは彼だけではありません。FigmaがDiagramを買収したとき(AdobeはFigmaを所有していたため、AdobeのAIの武器が増えただけ)、FigmaのVP of Product DesignのNoah Levin氏はこう言いました。

“要するにAIは、製品開発プロセスのあらゆる部分で、より速く、より多くのことを行うのに役立ちます。これは機能ではなく中核的能力です。製品以上に、問題解決の次元を上げることができるプラットフォームなのです。それは間違いなく、技術の中核部分の追求であり、私たちの多くがデザインや製品作りに携わるようになったそもそもの理由なのです。


この2つの引用が描く世界は、理想のシナリオであり、単なる仮説にすぎません。もし私たちが怠惰になり、無関心になり、怯えたりしたら、問題になるでしょう。マルチモーダルLLM(画像とテキストを組み合わせたタスクに用いられるモデル*訳者注)は今後も存在し、その技術は私たちの日常生活に指数関数的な速さで浸透するでしょう。


デザインの未来は私たちの手中にあると言っても過言ではありません。私たちはAIツールと対話し、意見を交わし、生み出すアウトプットを形作ることができます。ところで、こうしたことは、私たちが人々に対して行ってきたことと変わりません。歴史的には、デザイナーが何かを作り、その上でクリエイティブ・ディレクターが、それを見て指示を出していました。現在では、クリエイティブ・ディレクターがAIツールを使って課題を伝え、デザイナーが機械やソフトウェアに指示を出すこともあります。


インターフェースのレイヤーは変化しており、私たちはよりデータやコンピューターに近づいていくことが求められます。


あなたはオリジナルだが、AIはそうでもない

AIツールを使うときは常に、そのAIは他の人によって訓練されているということを忘れてはいけません。そのため、OpenAIは新しい法的保護プログラムであるCopyright Shieldを立ち上げました。これは、自社製品の使用に起因する著作権侵害の申し立てから企業を保護します。Microsoft, IBM, Amazon, Cohere(Googleが支援)など、他のAIベンダーも同様に、著作権侵害の申し立てから顧客を保護することを約束しています。


このことは、プライバシー、偏見、倫理など、AIに関連する多くの問題を浮き彫りにしています。しかし、もうひとつ思い出したい真実があります。


Garbage in, garbage out:より良いインプットがより良い結果を生む


ChatGPTや、あなたが使っているAIインターフェースが、質の高い情報に基づいて訓練されているのであれば、あなたはかなり強力なアウトプットのセットを手に入れることができます。しかし、もしそれがインターネット上の愚かな人々の吹聴に基づいているのであれば、質の低い情報を使っていることになる。そして残念ながら、それが普通なのです。


例えば、私は最近、後輩のデザイナーに何かを説明しようとして、ChatGPTに尋ねました。しかし、出てきたのは的外れな回答でした(これは実体験からわかっていましたが)。


重要なのは、たとえ取るに足らない些細なタスクであっても、油断は禁物だということです。


現在、Dora AIDurableのような、テキストからウェブサイトに変換するツールなど、デザインツールは様々あり、簡単なサイトを作るために使いたくなるかもしれません。もしあなたが、そのままの状態で使うのだとしたら、デザインの素養も技術もない人に作ってもらうことと変わりません。私はこれ以上、水玉とキーラインのページを見たら、発狂するでしょう。


自由にAIツールを使い、より速く、より効率的に作業し、生み出されたデザインをスターターソースとして使ってください。ベクター埋め込み/データベースのようなツールや方法論を探し、Pineconeのように、自分が保有しているデータを使用することで、LLMで悪名高い「hallucinations(幻覚)」(偽の、しかしもっともらしい情報)ではなく、本当の情報検索ができます。ChatGPTの最新版では、「knowledge/file」のアップロードがサポートされ、基礎モデルを微調整する方法も強化されています。


楽しさから実用へ:プロダクトデザインの技術にAIがどう付加されるか

AI研究のスピードは光の速さで進んでいます。2023年半ば、私は生成AIの状況を一変させる6つの主要モダリティ(テキスト、画像、ビデオ、コード、オーディオ、3D)についてのプレゼンテーションを行いました。

今日、主要なAIプラットフォームはすでにマルチモーダルであり、もはやシングルユースケースはありません。以下は、私がどのようにChatGPTのマルチモーダル機能を使って写真をスナップし、コンテンツを生成しているかの例です。


もう一つの例、そして私が今とても気に入っている方法、人々が今まさに製品をデザインしている方法は、ソフトウェア開発ツールのLinearで起こっていることです。


Linearの「インサイト」機能は、質問する前に、知りたいと思っていることのためにデザインすることができるという素晴らしい例です。そして、ソフトウェアを設計するためのその意見的アプローチは、誘導的だと感じられる世界の中に、新鮮な空気を吹き込んでいます。


Source: Linear

Linearが夏にリリースしたAIフィルター機能は、顧客の意思を行動に移すことの核心をついています。上に示すように、私が何かを探す中で、私が欲しいものをどのように描写できるのかがわかるでしょう。


スピード、効率、パーソナライズされたユーザー体験、これらはすべて、AIに主導されたUIに組み込まれます。このことは、あなたのアイデアがほとんど摩擦なく飛び立つことを意味します。そしてこれが、私が最も楽しみにしている未来です。

実行なくしてアイデアは何も生まれないこの世界において、これこそが真の革命なのです。

技術がどれほど素晴らしいものであろうと(実際に素晴らしいのですが)、結局のところ、魔法はあなた次第なのです。あなたのアイデアと洞察力の質が高ければ高いほど、世界をより良く変えるチャンスが増えるということです。

あなたのお気に入りのAIの使い方は何ですか?どんなことに取り組んでいますか?私は興味があります。ぜひ教えてください。


英語版参照元:


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