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人間中心AIのためのデザインアプローチ

Sarah Tan

新しい技術/AIスタートアップのためのデザインパートナー

What’s Needed: The design approach for Human-Centered AI


“デザイナーは人間中心AIの提唱に、より深く関与する必要がある。それはデザイナーの育成から始まる。”

AIを用いた製品やサービスをデザインするには、新しいスキルとデザインアプローチが必要です。

Web3.0の製品やサービスも同じです。

しかし、ほとんどのデザイナーはこのことを認識できていません。

ユーザーニーズやUIUX、またUXの基本原則の提唱は、ユーザー中心設計の考え方が核となっています。それは取り扱う内容が、AIだろうとWeb3.0だろうと同じです。

16を超えるAIとWeb3.0の製品に携わってきたプロダクトデザイナーの私が思うに、デザイナーはこれら新興産業向けに効率的にデザインするための新しい能力とスキルセットを身につける必要があるのではないかと考えます。

私がよく目にする問題は、Web3.0やAI製品のデザインを担当するデザイナーが、そのニュアンスについて十分な知識を持っていないことです。

ユーザー中心設計の考え方は、この新しい新興技術と共に進化する必要があると考えます。

では、どのように進化すべきか?


1. 技術の複雑さ

新興技術は複雑で常に進化をしているということを理解しなければなりません。これは、ユーザーのメンタルモデルを変え、ユーザーが新しいテクノロジーに溶け込めるようにするにはどうしたら良いか、またその新しい技術によってどのような新しい機能が実装されるのかを理解するのに役立ちます。


2. 新しい技術の力

新たな技術は前例のないイノベーションの可能性をもたらしますが、それと同時に全く新しい技術的展望ももたらします。技術の力によるイノベーションが起こったときに、その新しく発生する力は何を可能にするのか。また、ユーザーのニーズに応えるために、どのような新しいデザインの可能性があるのかといったことを常に模索する必要があります。


人間中心AIデザインの教育には何が必要か?

Web3.0デザインについては別の記事でお話するとして、今日はAIについてお話しましょう。まず、AIデザインは従来のプロダクトデザインと比較して、なにが違うのでしょうか?

「別の技術製品をデザインしているだけではないのか?」

答えはYesでありNoでもあります。

AIデザインは、その独特な技術によって、これまでにない新たなデザイン上の挑戦をもたらします。


例えば、

  1. AIに100%正確なものはない
    失敗や予期せぬシナリオを想定して設計しなければならない。

  2. AIの能力は広大で終わりのない分野である
    AIができることの制約と、ユーザーのニーズを満たす技術的実現可能性を考慮する必要がある。

  3. AIは無限の結論を導き出すことができる
    AIが持つ無限の答えを予測することはできない

  4. AIシミュレーションのプロトタイピング(オズの魔法使い)を進化させ、予期せぬ影響をナビゲートする必要がある

  5. AIは社会を創造する力もあれば破壊する力もある
    責任あるAIのための倫理的・人間的懸念をナビゲートする必要がある

AI製品をデザインする際には、これらすべてを考慮する必要があります。

最近のAIデザインにおける多くの広告は、AIデザインツールに牽引されています。(例:数秒でプロトタイプを作成!スケッチをコードに変換。たった一つのプロンプトで画像を生成します。)

これらは素晴らしいことですが、どれもデザイナーのクリエイティブな生産性を自動化することに焦点を当てています。

さて、デザイナーの生産性を自動化することで生まれた自由な時間を何に使えばいいのでしょうか?
デザイナーは、そのフリーな時間を使って製品戦略や製品のユースケースを検討することができます。

もし、「AIによって生まれた自由な時間」を製品戦略やユースケースを検討する時間に充てなかった場合、単純にAIがデザイナーのクリエイティブな側面を取って代わっているだけになってしまいます。

AIは複数のUI画面やデザインを作ることはできますが、それらはそもそも正しいデザイン画面、機能、ユーザーニーズなのでしょうか?

まさにそこの部分には戦略が必要であり、そして私たちデザイナーがかけがえのない存在として、担うべきところなのです。

私たちがAIを装備するには、3つのレベルがあります。

  1. AIを活用したデザイン:これは生成AIなどのツールを用いて、デザインプロセスと効率を高めることです。

  2. AIモデルの中のデザイン:これはデザイン思考をどのようにAIモデルとライフサイクル開発に組み込んでいくかということです。

  3. AI製品のデザイン:これはAIを用いた製品・サービスのユーザーへの伝え方やUXデザインを行うことです。

前回の記事では、デザイナーがいかに人間中心のAIを提唱する必要があるかについてお話しました。

私は、業界のAIデザイナーへのインタビューに基づき、その詳細を明らかにしました。また、そのためには2つのギャップ(ナレッジギャップとラーニングギャップ)に対処する必要があることもお話しました。

要約すると

【ナレッジギャップとは】

デザイナーはAIの知識が不足しており、AIとデザインのコラボレーションにどのようにアプローチすればよいかわからない。AI製品やシステムに関するデザイナーの知識不足ということです。

【ラーニングギャップとは】

デザイン業界やデザイナーのためのAIデザインに関する学習・育成の欠如のことです。

現在のリソースはどれもあまりに技術的で、デザイナーに合わせたものではありません。

ディープラーニングのAIコースを例にとって見てみましょう。

多くの場合、一般的なAIの知識について話し、技術的なことを深く掘り下げます。しかし、AIのデザインマテリアルとしての解釈の仕方や、初心者レベルからAIシステムを使ったデザインにアプローチする方法などはどうでしょうか?

これは鶏/卵問題と一緒です。

デザイナーは、人間中心AIの提唱者となる方法を学ぶ必要がある一方で、デザイナーとして人間中心AIを取り扱う際の学習教材も必要なのです。

私はこのことについて1年以上研究し、より人間中心AIのアプローチをナビゲートするための進歩的な学習メカニズムとフレームワークを考え出しました。

私は、AI主導の製品をデザインするために必要な能力を、「デザインの基礎」、「デザインの機会」、「責任あるAI」、「実践的なデザインプロセス」の4つに分類しました。

AIデザイナーになるには、以下の質問に答えられるようになる必要があります。

  1. 自分はAIについて十分に理解しているのか?
    AIの基礎や概念の理解をする必要があります。

  2. AIを使って何をデザインできるか?
    AIの能力と可能性に基づいて、ユーザーのイノベーションの機会とユースケースを特定する必要があります。「AIはこれができる」と言うだけではダメで、AIのどの側面がこれを可能にするのか?ということを理解しなければなりません。

  3. 社会のために責任あるAIをデザインするには?
    ユーザーにわかりやすくAIを説明し、AIの利点と意味を評価し、社会に利益をもたらすAI開発をナビゲートする必要があります。

  4. AIモデルを使ってデザインするには?
    AIのライフサイクルとプロセスの中で、人間中心のAI開発をナビゲートするために、デザイン思考をAIシステムに統合する必要があります。

また、これらを効果的に学習するためには、学習方法論を活用する必要があります。私は、ブルーム分類学を基礎的な参考文献として、学習アプローチを段階的なステージに分けました。


研究から導き出したインサイトとして、私が提唱する人間中心AIの方法論は、以下の核となる原則に対応しています。


  1. 定義する
    ビジネスチャンスやユーザーのペインポイント、AIが価値を付加できる領域を定義し、特定する。

  2. 整理する
    ビジネスとユーザーのニーズを達成可能なデータニーズとAIインプットに合わせる。

  3. アイデアを出す
    AIが可能にする新たなデザインの可能性について、ブレインストーミングを行い、アイデアを創出する。

  4. 説明する
    AIモデルの内部構造を説明し、AIがユーザーのために何をするのかを伝えることで、ユーザーの理解と信頼を促進する。

  5. 影響を考慮する
    意図しない結果による社会のさまざまな側面にわたるAIソリューションの影響を考慮する。

これらそれぞれのステップを合わせて、人間中心AIのフレームワークを形成していきます。

各ステップについて、もっと詳しく知りたい方は、是非フォローをお願いします。

また、このトピックについてもっと話したいという方は、私のLinkedInまでご連絡ください!AIデザインのことなら何でも喜んでお話しします。

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Mediumでは人間中心の視点からAIについて毎週記事を書いています。

是非、他の記事もご覧になってください!

- 伝統的なデザインアプローチがAIの新たな文脈で不足する理由

- デザイナーが人間中心AIの実現を妨げているもの(業界デザイナーからのインタビュー・インサイト)

- AIデザインをナビゲートする方法(デザイナーのための新しいAIデザインのブループリント)



英語版参照元:

https://uxplanet.org/whats-needed-the-design-approach-to-learning-human-centered-ai-36f044f2d074#c9a0-e2ad2fba7e17


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