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ソード・ワールド2.5「奴隷生活からの脱走」ver2.0

はじめに

本記事は「ソードワールド2.5」を遊ぶためのシナリオです。
本記事は「グループSNE」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『ソード・ワールド2.0/2.5』の二次創作です。(C)GroupSNE(C)KADOKAWA

凡例

太字:読み上げ文章(読み上げることが望ましい)

トレーラー

トレーラー

レギュレーション

■プレイ人数:2~5人
■ソード・ワールド2.5基本Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ
■キャラクター作成
初期作成

*冒険者になった理由表の代わりに特殊な生まれ表を2d6すること
*PCの装備品や所持品は、導入の最中に獲得することになる
*特殊な背景としてジャーメイゼルから脱出することを意識させて下さい

■想定時間
オンラインのボイスセッションの場合、2~3時間を想定しています。

■シナリオ難易度
本シナリオは初心者向けのものです。
ドーデン地方を巡るキャンペーンの1話向けという構想で作成しました。

■戦闘
戦闘は全て、通常戦闘で行います。
味方後衛、乱戦エリア、敵後衛を設置して下さい。

■判定
行為判定を指示する場合、~判定(X)と表記しています。これはその判定の難易度がXであることを示しています。

■ドーデン博物誌
GMはドーデン博物誌を未所持の場合、ボスのタスクハンマーをボルグハイラウンダーに置き換えて下さい。

シナリオの背景

このシナリオの背景は単純です。
ゴケルブルク大公国の騎士であるオスカーは、ジャーメイゼルを脅威と見なし、排除すべく動いています。彼が渡した暗号書はフレスタル・ジャーメイゼルの居城にある秘密の隠し通路について書かれています。これを利用することでゴケルブルク大公国は、いつでも奇襲を仕掛けることが出来るようになるのです。
PC達はそんなオスカーが死亡する所を看取り、またアンデットとなった彼を運ぶことになります。PC達は自由を、オスカーは運び手を手に入れるという寸法です。

用語集

ゴケルブルク大公国

人口8万人ほどのドーデン地方の東の端に位置する城塞都市。漆黒の四角い城壁が特徴的です。軍事に力を入れており、〈灰盾騎士団〉〈黒槍騎士団〉〈深淵の落とし子たち〉の3つの軍隊を有しています。
”奈落の魔域”多発地域のため、国家直営の冒険者ギルド等も設立しており冒険者が極めて多くなっています。また東方交易の要であり、ゴケルブルクと言えば”冒険と東方交易”というイメージがあります。

”砂塵の蛮国”ジャーメイゼル

ゴケルブルグ大公国からかなり南、徒歩で1週間ほどの地にその国家は存在しています。この岩砂漠の荒野には、天然の地下空間があり、トロールとダークドワーフを中心に蛮族国家として存在しています。
ここには人族が、蛮族の奴隷として捉えられています。
PC達はそんな奴隷の1人としてスタートします。

〈奴隷監督〉ボゴ

蛮族/32/男
ジャーメイゼルの低俗な蛮族です。PCたちを監督する立場にあり、PC達の管理者になります。本人は怠惰で傲慢な性格をしており、奴隷が休むようなら容赦無く鞭を打ち、食事を取り上げます。そのため〈ボゴ班〉は外れだと言われており、奴隷達は配属を嫌がります。
本シナリオのボスであり、ボルグハイランダーかタスクハンマーでしょう。
「オデ、オマエ、マルカジリ」のような片言で会話します。

〈上級騎士〉オスカー

人間/男/25歳
ジャーメイゼルに潜入している〈灰盾騎士団〉の人間です。潜入に邪魔なため大盾と弓を捨て、剣と盾、そしてトネリコの紋章が刻まれた甲冑を身につけています。
卓越した盾術と防御術の達人であり、持久戦に優れています。
ジャーメイゼルには極秘の任務を受け、3年前から潜入。蛮族や人族に変装することで任務をこなしてきました。PC達の前に現れた時、完全武装だったのは任務を達成して、帰還するところだったためです。

”岩砂漠の地帝王”フレスタル・ジャーメイゼル

ジャーメイゼルを治めるバジリスクです。通常種のバジリスクより強力であり、オニキスバジリスクと互角に渡り合えるとされています。
両目を閉じた美青年の姿をしており、蛮族であると正体を知らなければ騙されてしまうほど清純な雰囲気を放っています。性格は極めて温和です。
しかし趣味が悪く、生き生きとした人族を永遠たる石像に変化させることを大の楽しみにしています。故に人族に優しくし、あるいは恋や愛を抱かせ、そして石像にしてきました。
本人に悪気はないですが、憎しみを向けられるのは必然と言えるでしょう。

導入

カンッ、カンッ。ツルハシは鉱石がぶつかる音が坑道には響いていた。
ランタンの明りのみを頼りにした、薄暗く埃臭い洞窟。網目状に東西南北と坑道が通る中、地面の岩盤を貴方たちは掘り抜く。
ここ”砂塵の蛮国”ジャーメイゼル。
貴方たちは奴隷として今日も鞭を振われ、仕事をしていた。

PC達は奴隷としてジャーメイゼルの坑道で仕事をしている所からスタートします。離れた所では、蛮族のボゴが貴方達を見張っています。
PC達に自己紹介とロールプレイを推奨させましょう。
そして、それが一区切り着いたタイミングでボゴがPC達をサボっていると決めつけて怒らせて下さい。

「グゴ、ギギギ、グギギギギ!!(サボるな!ハタラけ、もっと掘れ!)」
ピシパシと鞭が地面を叩く音と共に汎用蛮族語で喋る、という形です。
これはボゴをボスとして倒す際に爽快感を与えるためのヘイト管理です。
人種差別的な発言も効果があるかもしれません。

一通りヘイトを稼ぎ、PC間の交流が完了したらイベントが発生します。

ゴゴゴ、ゴゴゴゴゴッ。大きな地ならしと共に、悲鳴が聞こえる。今掘り進めている道とは反対、北の方角だ。
「ナンだ!?ミル、オレ。サボるな、オマエたち!」ボゴはそう言って南の坑道へノシノシと歩いて行きます。

これはオスカーが蛮族に追い詰められたため、爆弾を使用して逃走したためです。その後、手早く北の坑道に逃げています。

それから暫くすると、東の坑道から何かが聞こえてきます。
ここで聞き耳判定(10)を行わせて下さい。成功すると、「クソ、ここまで・・・このまま死んでしまうのか・・・・・・」という独白が交通共益語で聞こえます。失敗した場合、どさりと何かが倒れる音のみが聞こえます。

のぞき込むと、甲冑を着た騎士が壁にもたれかかり、血を流しています。
話かけると以下のような反応が返ってきます。
「君たちは・・・奴隷か。
君たち、君たちは外に出たくはないか?
そう願うなら、その手助けができる。
・・・私の頼みを聞いてくれないか。
私はもうダメだ。意識が遠のいていくのを感じる。

私には任務が、使命があった。
ゴケルブルク大公国を守るための重要なものだ。
この暗号文に私達が勝つための秘密が隠されてる。
これを、私の騎士団に、『灰盾騎士団』に届けてくれ。

・・・ありがとう。では、これを。」
そういって騎士は暗号文と、何枚かのカードを渡してきます。

「・・・これは〈道具封じの札〉といって、ものを収納できるんだ。
もっとも、取り出す時に札は破壊されるが・・・・・・。
君たちのような・・・人を支援するために・・・武器や防具、道具が入っている・・・。あぁ、ダメだ。本格的に意識が・・・・・」
「それともう一つ・・・・・・。外を目指すなら・・・南の・・・・・・リ、フトを目指し・・・て・・・・・・・」
バタリという音と共に、騎士は倒れ伏してしまいます。

「あぁ、生まれるはずの娘に会いたかった…」
「…ん?いや、案外意識がしっかりしてるぞ」
騎士は死にきれなかったのか、首から上だけアンデットになってしまったようです。
「…すまない。首から下が動かない。ちょっと体を運んでくれないか?」
「いや…暗号文の解読のために、私、必要だろ?」
「それに、リフトに登る為に必要な番号も知ってる。」
「だから、ほら、ね。頼むよ。まだ生き返れそうな気もするんだ。」
PC達は余計な足手まといと共に、武器や防具を手に入れました。
後はこの国を脱出するだけです。

*騎士オスカーは咄嗟に生き残るための嘘として「リフトには番号」が必要だ、と述べました。しかし、実際に必要なのは鍵であり、それを彼は道中で落としています。ボゴはそれを拾いました。

*騎士オスカーは面白おかしく描写するといいでしょう。
アンデットネタを挟むと笑いが取れるかもしれません。
「面の皮が厚いって?そりゃ、腐ってブヨブヨだからね!アンデットだけに!あはははは!!」
「お前、頭アンデットかよ!!脳みそ腐ってんのか!!将来、輪廻転生できねぇぞ!あ、上れてないのは俺か。あははははは!!」

脱出パート

脱出パートでは2d6のランダム表を使い、シナリオを進行します。
また「進行度」と「警戒度」というパロメーターを使用します。
「進行度」が15になるとリフトに到着し、この国から脱出できます。
ダイスを振る度に1点が上昇します。
「警戒度」は5、10、15に到達すると、ボス戦の敵が強力になります。
イベントで失敗すると上昇します。
なお隠密判定、探索判定は誰か1人が成功すれば良いものとします。

3d6のランダム表は以下の通りです。

ランダム表

参照①
ゴブリンの警邏隊と戦闘になります。
警戒しているため、不意打ちは厳しいでしょう。

敵前線エリア
ゴブリン(Ⅰ、439頁)×PC人数

*戦闘の行動指針
#ゴブリン
ランダムな対象1体に攻撃を行います。
過半数が倒された時点で命乞いを初め、そのまま戦闘が終了します。
見逃す、もしくは尋問するのであれば進行度を1点、上昇できます。

参照②
アナコンダの奇襲。
洞窟に住むアナコンダが、襲われたと勘違いして襲い掛かってきます。

敵前戦エリア
アナコンダ(Ⅲ、356頁)×1体

*戦闘の行動指針
#アナコンダ
最も戦闘を歩いていたPC,もしくは先制判定で一番高い出目を出したPCを狙って攻撃します。絡みつきの解除は行いません。
HPが0になるまで徹底抗戦します。

参照③
「爆弾」は本シナリオのオリジナルデータになっています。知名度判定に成功するとデータを把握できます。魔力を使用して破裂するマギスフィアの一種です。
詳細は以下を参照して下さい。

クライマックス

カラカラカラ、と滑車が音を立てて回る。・・・リフトが見えてきた。ランタンの明りのみを頼りにした薄暗く埃臭い洞窟。それが途切れ、青が見えた。空だ!!洞窟の切れ目から陽光が差し込み、貴方たちを照らす。
あとはこのリフトを起動し、乗り込めれば自由な外の世界だ!!

リフトの前では現在、ボゴと領主ジャーメイゼルが話しています。
「ボス、オデ、キラキラみつけた。キレイ、イル?」
「ボゴ君…それはリフトの鍵だよ?どこで拾ってきたの???」
「オチテタ、ヒロッタ、ボス、イル?」
「はぁ…全く。管理室に返して…いや、散歩するから一度上げて貰おうか。リフトの鍵を回して起動しておくれ。その後、管理室に返して。」
「カンリ…?モッテク、ボス、オデ、ホメラレル?」
「あぁ、そうだね。褒めてあげるよ。さぁ、早く回してくれるかな?」

ボゴはいそいそとリフトに乗って鍵を差し、くるくるとリフトの機構を回し始めます。そしてリフトは上がり初め、オスカーが話し始めます。
「あ、あれ?か、鍵がなんであそこに…?」
「い、いや実は番号制っていうのは方便で…あ、あの鍵がないとリフトは動かないんだ。」
「いや!!ごめん!!殴らないでくれ!!そ、その本当にすまない」
「あそこにいるのは蛮国の王、ジャーメイゼルだ。かなり強敵だ。一旦、彼がいなくなってから蛮族を倒そう。」

しばらくすると、カラカラカラという音が止み、リフトがゆっくりと降りてきます。ボゴは額に汗を浮かべて、ハンドルを回しています。PC達がそこに姿を現すのであれば、ボゴは言葉を投げかけてきます。

「オマエ、ナデ、ココ二?!モドレ、シゴト!!」
「サカラウナ!!!オマエ!コロス!!!」
もし警戒度が高い場合、ボゴの周りには取り巻きの蛮族を従えています。
なお、リフトを1人で回した影響でボゴは命中と回避に-1のペナルティ修正を受けています。

クライマックス戦闘

1⃣警戒度5以上
2⃣警戒度10以上
3⃣警戒度15以上

敵前線エリア
ボゴ(ド博、114頁)×1体
(剣の欠片がPC人数分、入っています)

1⃣ダガーフッド(Ⅰ、438頁)×(PC-1)体
2⃣サーベルフッド(Ⅰ、439頁)×(PC-2)体

敵後衛エリア
3⃣グレムリン(Ⅰ、438頁)×2体
(剣の欠片+1個入り)

*戦闘の行動指針
#ボゴ
このセッション中、もっとも態度が悪かったPC、もしくは悪口を言ったPCを常に攻撃対象にします。この条件は戦闘中の態度によっても変化します。
この条件をGMはPCに伝えて下さい。
なお、判別がしにくい場合は、ランダムなPCに攻撃を行いましょう。
ボゴは通常攻撃の後、必ず「牙付き」を1回、行います。

#ダガーフッド
ボゴの手下です。ボゴが攻撃を行った対象に、攻撃を行います。
ボゴが倒れた場合、逃げ出して戦闘不能になります。

#サーベルフッド
ボゴが攻撃しようとしている相手を対象に「囮攻撃」を宣言します。

#グレムリン
ボゴが攻撃しなかったランダムな対象1体に「エネルギーボルト」を宣言します。MPが切れた後は前線に移動して、ランダムな対象1体に通常攻撃を行います。

戦闘終了後描写

「バガナ!オデ、マケナイ、シ……」
ボゴが叫び声を上げて倒れ付す、それと同時にカランと鍵が落ちる。
「よし、鍵だ!ジャーメイゼルが帰ってくる前に外に脱出しよう!」
「お、俺もちゃんと連れて行ってくれよ…?」
足手まといと共に貴方達はリフトに乗るだろうか。あるいは置いていってもいいだろう。リフトに乗って鍵を差し、ハンドルを回すと、カラカラと音を立てて周囲の風景が上がっていく。

そうして、段々と殺風景な岩場と照り返す日光で視界が満たされていく。
自由だ!!ついにPC達は自由を手に入れたのだ。
あとは北に向かってひたすら歩くだけ。ゴケルブルク大公国に到着すれば安全だろう。自由は手に入れた、安全までもう一息。

これでソード・ワールド2.5「奴隷生活からの脱走」終了となります。
お疲れさまでした。

リザルト

経験点:1000点+(魔物討伐Lv×10)+(ピンゾロ数×50)
報酬:戦利品
名誉点:〈剣の欠片〉個数×1d

あとがき

どうも!DKPです!!1ヶ月1回のシナリオ公開から解放されてニコニコです。でもあの1年があったおかげか、シナリオを早く書く能力が上がりましたね。このシナリオも2日ほどで仕上げています。
さてさて、今回は偶には冒険者じゃないPCの冒険もみたいな……というところで、たまたま目に入った蛮国を使ってみました。
キャンペーンの第1話風シナリオ・・・ということで伏線多め、初心者も遊べるよう簡単に作ってみました。

皆さんこのドーデン冒険録を機会に、各国への冒険を初めて見て下さい!!

出所表示

トレーラー画像は Bing Image Creator を使用しています。


TRPG。中でも特に『捏造ミステリーTRPG赤と黒』が非常に好きです。