短期連載シカゴDrill④ -シカゴDrillクラシック30選(前半)-

シカゴDrill特集もいよいよ大詰め。最後は、絶対に知っておくべきシカゴDrillクラシックを30曲、前半と後半に分けてアップしたいと思います。尚、ランキング形式ではないので順不同です。


永久保存版 シカゴDrillクラシック30選(前半)


I Don't Like / Chief Keef  ft. Lil Reese

全ての始まりはこの曲から。自宅謹慎中だったKeefが自宅で仲間達と撮った低予算ビデオが世界中でバズを起こし、当時16歳の少年は瞬く間にスターとなりました。同時にDrillというサブジャンルを世に広めた曲でもあります。

Dis Ain't What U Want / Lil Durk

 Rolling Stone誌の年間ベスト・ミックステープ部門で8位に選ばれた「Signed to the Streets」に収録中の、Lil Durk初期の代表曲。翌年にはXXL Freshmanに選出される等、ここからDurkioの華々しいキャリアはスタートしていきました。

PACMAN / IT'S A DRILL

Drillを世に広めたのはI Don't Likeでしたが、Drillという言葉を曲中で初めて使ったのはこの曲でした。Dro City出身でL.E.P. Bogus Boys第三のメンバーとも言われていたPacman。2010年6月、ウッドローン地区の6400ブロック付近で銃撃に遭い、25歳の若さでこの世を去りました。

Love Sosa / Chief Keef 

I Don't Likeと双璧をなすKeefの代表曲。タイトルのSosaとは、映画スカーフェイスに出てくる麻薬王ソーサの事を指していて、自分はHIP HOP界のSosaでシーンを牛耳っているんだとセルフボーストしています。

Kill Shit / G Herbo (AKA Lil Herb) x Lil Bibby

Sheff G始め、多くのNY Drillerが影響を受けたと公言している重要曲。この曲で共演しているLil Bibbyとは互いにNLMBに所属していますが、G Herbo曰くNLMBはギャングではなく兄弟愛を意味しているとか。

L's Anthem / Lil Durk

タイトルに入っている「L」は、Durkioが所属するLAMRONというギャングの頭文字から来ていて、つまりはLAMRON賛歌という事。曲中、敵対している069Brick Squadへのディスが含まれていて、そのラインをラジオで聞いたLil JoJoが激怒→LAMRON並びにO'Blockとの泥沼ビーフに。

BDK (3HUNNAK) / LIL JOJO

L's Anthemを聞いて自身のクルーがディスされている事を知ったJoJoが、Chief Keefの "Everyday" をビートジャックしアンサーを発表。BDK vs GDKのビーフは苛烈を極めました。最終的にJoJoはドライブバイシューティングの果てに死亡。

Us / Lil Reese

Drill黎明期、Chief KeefやLil Durk等と並んでO'Blockで人気を博したLil Reeseの代表曲。日本でも人気の曲で、自分もI Don't Likeとセットで良くかけていた思い入れある1曲。

Get Smoked / Lil Mouse

1999年生まれのLil MouseがGet Smokedをリリースしたのは、僅か13歳の時でした。彼の曲にはDrillの代名詞とも言えるバイオレンス、セックス、ドラッグ、殺人の内容がふんだんに盛り込まれていて、中学生がこのような内容をラップする事に、当時多くの批判が集まりました。そんな炎上とは裏腹にGet Smokedの人気は高まり、Lil Wayneが自身のミックステープでGet Smokedのリミックスを収録する等、大きな注目を集めました。

B.O.N (Big Ol N*gga) / King Louie 

NUBU(GD)所属で、彼もまた初期のDrillシーンの立役者。USの音楽誌Spin Magazineは、2012年にKing Louieを「シカゴの最もホットなラッパーの1人」と称賛しました。Chief Keefとはライバル関係にありましたが、2014年に和解。Keefの曲にリミックスで参加したりと、その後の関係は良好のようです。

 Crazy Story (Pt. 1, 2, 3) / King Von 

O'Block出身で、BDの創設者David Barksdaleの孫という、生まれながらにギャングスタの宿命を背負った男。Lil DurkとはTwin(双子)と呼ばれる程の仲だったそうです。2020年11月、アトランタのナイトクラブの前でQuando Rondo一行と口論の末銃撃を受け死亡しました。この曲はVonの代表曲であり、彼のストーリーテリングとしての才能が詰まった名曲中の名曲。Pt1〜3にかけて全訳が上がっていたので、そちらを載せておきます。

2 Times / Famous dex 

攻撃的なトラックが主流だったDrillサウンドから一変し、シンプルでスタイリッシュなサウンドをDrillに持ち込んだFamous Dex。しかし仲間内と自宅で撮ったであろう低予算なMVは、先代の伝統を引き継いでいます。またそこから大きなバズが生まれた事も、Drillの系譜と言えるでしょう。

SO LOUD / L`A Capone

600(BD)所属。一時期アトランタに住んでいた事もあったそうで、あのLil Yachtyとは同級生だったとか。L`A Caponeの代表曲と言えばPlay For KeepsかSO LOUDで意見が割れる所ですが、個人的な好みはSO LOUDなのでこちらをチョイス。2013年9月、敵対する051 YoungMoneyのメンバー(LilMickとRocko)によって射殺されました。

Lil B*tch / Katie Got Bandz 

ブロンズビル出身。2011年からキャリアをスタートさせた、フィメールDrillerの草分け的存在。「Driller」と表現しましたが、彼女はDrillに敬意を払いつつもDrillに留まる事はせず、よりグローバルな活動スタイルにシフトしていきました。また彼女はDrillがもたらす悪影響について早くから警笛を鳴らしていて、自身の音楽がそれらを助長させるような事になりたくないと発言していました。そんなKatieの芯の強さにCardi Bは敬意を表し、この曲のラインを一部引用して彼女へシャウトを送っています。

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Slide / FBG Duck

FlyBoyGang(GD)所属のFBG Duck最大のヒットチューン。Slideとはシカゴのスラングで「殺人」を意味します。King Vonとのビーフの中で過激なディス曲(Dead Bitches)をリリースし、それがBD側の逆鱗に触れてしまい、2020年8月にドライブバイシューティングを受け死亡しました。


ここで告知です。先日、クラブミュージックに特化したインターネットラジオ"block.fm" のHIP HOP番組「INSIDE OUT」に出演し、渦中のLil DurkとYoungboyのビーフについてトークしてきました。

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アーカイブが上がっているので、是非聞いてみてください。3/21まで視聴可能です。
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DJ MoB

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