2023.8.28「ダブルサングラス」
半日休暇をとっていたので、帰省していた実家から職場に直行する。乗り換えを済まし、時間の割には少しばかり混んでいる車内の座席に腰掛ける。
すると色黒で体格の良いおじさんが隣に座る。白シャツに黒のスーツ。ジャケットは暑いのか腕に握っている。安定して軌道に乗っている中小企業の社長はこんな感じの人が多い。クルージングなりゴルフなりで焼きに焼く人が多い印象だ。
横目で様子を見ていると、スマホで名刺の写真を撮っている。なぜこんなところで。そのまま横目で見ていると、開いたGoogle Mapsの言語表示が英語だった。
あぁ、海外から来た人なのか、とそのとき理解した。どうりで体格がいい。名刺も撮影していたのではなく、おそらく翻訳していたのだ。
妙な納得感を得て暫く、駅のホームに停車すると、件の外国人から話しかけられた。「ここは〇〇(駅)?△△(駅)はもう一つ次?」と、そこそこ流暢な話し方。自分も「そうそう」と日本語で答える。通じる感じだったので。
次の駅で、その外国人は自分に少しばかりの会釈をして降りて行った。顔を見て会釈を返す。雰囲気はインドあたりの顔立ちにも感じたのだが、断定できない。なぜなら彼は真っ黒なティアドロップのサングラスをかけていたから。
そして自分も、調光レンズで深い青色になったサングラスをかけていることに気づく。平日の昼、中々にいかつい車内になっていた。
ちなみに反対の隣には、いかついタトゥーが腕に入った、マスタード色のTシャツを着た外国人が座っていた。マッド・トレインは、びっくりするほど何もない田舎に向かっている。
いま隣に座った高校生と思わしき少年よ、大丈夫か?この電車はマッド・トレイン、行き先は地獄かもしれないぞ?
そんなことを考えていたら、もうすぐ職場の最寄駅だ。会議に出る為だけに休暇を半日にして職場に向かう自分のことを、誰か褒めてくれるだろうか。
以上。
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