2023.11.10「加齢臭」

 夏場もさることながら、この時期は臭い人間が大量に発生する。
 現に、電車で隣に座るおじさんは臭い。
 前に立ってるおじさんも臭い。
 職場の上司も臭い。
 更にその上の上司も臭い。
 宿命を背負っているのか。男は臭くなる宿命を背負っているとでもいうのか。そして、自分自身もその宿命からは逃れられないのか。

 あまりにも電車内が臭く、加齢臭のWikiを見てみることにした。加齢臭、どうやら色々なメーカーの研究部門が臭いの要因の分析を行なってきた歴史があり、25年程の間で相次いで臭いの化学成分の特定がなされてきたようだ。本日時点のWikiを見る限り、三つの成分が特定されているようだ。
 いや三つもあったら。もう。臭いじゃん。三段構。飛天御剣流でも二段構えなのに。序盤、中盤、終盤、隙がないと思うよ。

 加齢臭の要因、原因はどうあれ、とにかく自分は加齢臭が嫌いだ。自分がそうなる宿命を背負っていたとしても。嫌い。
 臭いのキツさもそうだが、あの何食わぬ顔が気に障る。臭わせているおじさんの顔ではない。加齢臭自身の、あの顔。憎たらしい。
 その点、大便や小便の臭いは潔いと思う。精悍な顔立。さりとて、開き直っているわけでもない、捻くれのない臭さ。信頼できる。加齢臭も見習って欲しい。

 新卒一年目のときの配属先のおじさん達はびっくりするほど臭くなかった。意識が高かったんだろうか。2歳上の女性先輩社員が言ってたんだから間違いない。でもこちらに来てから、臭いのケアができていない人が多いことに驚いている。
 地域的な特性だと思いたいのだが、一方でコロナ禍がこの現状を徐々に生み出していたとしたら、すごく悲しいことに思えてきた。
 マスク慣れして自分の臭いを自覚できなかったりするのだろうか。あるいは、自分の身体の世話ができないような状況になっているのだろうか。
 ともあれ、自分は最後までこの臭い社会を無臭で生き抜く。不退転の気持で。さながら、ドラクロワの『民衆を導く自由の女神』のように。
 でもあの絵の男達、なんか加齢臭しそうなヤツ多いな……。

 以上。

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