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どうしてそんなに美少女ゲームに拘るの? 16bitセンセーション ANOTHER LAYER第一話の感想。

現在放映中のアニメ『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』の感想を書きます。

一話ごとに感想を最終話まで書き、最後に総括する内容をnote外の個人ブログで書くことを予定しています。

・筆者は本アニメの原作を読んでいません。
・筆者はそこそこ美少女ゲームが好きです。



セットアップの第一話

第一話は、ひとまず物語のセットアップに費やした印象を受けました。

主人公であるコノハちゃんの抱える欲求と、立ちはだかる障害。加えてコノハちゃんはどのような状況に置かれ、どのような世界で、どのような人物らで物語が進行していくのかを解説する回だったように思います。

まだ話の本筋が動いていないため、良し悪しの判断は難しそうです。

コノハちゃんはどうして、美少女ゲームに拘るの?

見ていて疑問に思ったことがあります。

どうして、コノハちゃんはあんなに美少女ゲームに拘るんでしょうか?

美少女ゲームの例

というのも、コノハちゃんは、自分がデザインした美少女キャラを冒険、活躍させることが夢だと自身で語っています。しかし、それならば何もその場を美少女ゲームに限定する必要はない。私はそう思います。

それこそアプリでも、全年齢向けゲームでも、フリーゲームでもライトノベルでもアニメでも、媒体は何でも良いでしょう。持ち前の画力を活かして制作に携われば、その夢を叶える機会は他業界にだってあるはずです。

であるのに、なぜコノハちゃんは『美少女ゲームで』という制約をわざわざつけるのでしょうか?

その答えは、コノハちゃんは美少女ゲームが大好きだからです!!

…というのが、私の考えです。作中、コノハちゃんは何度も美少女ゲームへの愛を語ります。その愛があるからこそ、自分の夢を叶える場は美少女ゲームで…という拘りを持つのでしょう。それは効率が悪く、ロジカルではないかもしれません。

しかし、こうして理屈では片づけられない拘りを持つその姿こそが、私がコノハちゃんにもっとも共感を覚える点です。

実は私自身も、美少女ゲームにある拘りを持って接しているからです(作る側ではありませんが)。

私は美少女ゲームを頻繁に遊びます。その中でも取り分け大好きなのは、物語が面白い美少女ゲームです。私は美少女ゲームを遊ぶ際、必ず物語の面白さを求めます。

しかし、これはよく考えてみると変な拘りです。だってそんなに面白い物語が好きなら、美少女ゲームばかりに執着する必要はないからです。

美少女ゲームには物語の面白さ以外にも評価軸になる要素がいくつかありますから、それらに重きを置いた作品も少なくありません。むしろ現在の主流はそのような作品であると言ってもいいかもしれない(作中でもそんな作品を開発していました)。

ですから、物語の面白さを求めて探求するならば、よりその気が強い他の媒体…。映画やアニメ、小説を主軸にしても良いのでは…と、常々思っています。

…が、それでも私は美少女ゲームへの希望というか、必ず期待に応えてくれる作品が現れるはずだという願いを捨てられません(事実、数は少ないけれどそのような作品に現在でも出会っています)。

その理由は、恐らくコノハちゃんに近いものがあると考えています。

美少女ゲームが好きである…ということよりも、ロジカルでない希望を持っている姿に共感を覚える主人公像だというのが第一印象です。

とはいえ、やや心理的視野狭窄気味なコノハちゃん

コノハちゃんは、美少女ゲームに理屈で説明がつかない愛を持っている人物であると私は考えます。

ただそれを踏まえても、わたしにはコノハちゃんはやや視野が狭まっているように映ります。

そのように私が思う理由は、コノハちゃんはどうも周りをよく見ること、立ち止まって考えることができなくなっているように見えるからです。

作中、コノハちゃんはゲームショップのおばあちゃんにこう言います。

『会社じゃあコノハの話聴いてくれる人だれもいないし、コノハだって分かってるんだよ。フルプラがウチじゃあ無理だってこと』

私はこの発言には違和感を覚えます。その理由を、上記セリフを二つに分割して、考えてみます。

まず「話を誰も聞いてくれない」というセリフについてですが、わたしにはむしろ、コノハちゃんの務める会社の社長さん(?)は、コノハちゃんの話をよく聞いてくれる一面があるように見えました。

おばあちゃんとのシーンの前に、コノハちゃんが会社の…朝礼かなにかのタイミングで、自分が作りたいゲームのオープニングを、先輩や社長さんの前で語りだすシーンがあります。このシーンではコノハちゃんは自身の妄想を爆発させて語るわけですが、少なくとも演出を見る限りでは、1時間近くに渡って話し続けているように見えます。これは明らかにNG行為でしょう。

にも関わらず、他の社員さんたちは呆れている様子こそあっても、口を挟むことはありません。ゆえに、少なくとも、コノハちゃんの話を聞いてくれない人たちには見えません。

その後は社長さんに怒られてしまいますが、その際のコノハちゃんへの指摘も、やや口調が強すぎる気はするものの、内容自体は真っ当だと感じる部分も多いです。

更に「フルプラが無理だってこと」というセリフもやや引っかかります。この発言から、コノハちゃんが自身の夢はフルプライス帯の作品でないと叶わないと考えているように見えます。

しかし、なぜフルプラでなくてはいけないのでしょう?

ミドルプライスの作品でもヒロインの冒険や活躍を盛り込んだゲームは作れるはずです。ヒロインに大冒険をさせたい、活躍させたいという夢を叶えるための選択肢は、決してフルプライス作品だけではないと思います。

…というか、コノハちゃん自身が「催眠ものでもいいから夢のあるゲームが作りたい」と発言しているので、あとはそれを企画として伝えるだけだとは思うんですけども…。

以上の理由から、私はコノハちゃんはやや心理的視野狭窄に陥っていると考えます。とはいえ、コノハちゃんはまだ若い。この物語を通してどのような人物に変化していくのかが、このアニメの見どころの一つだと考えています。


 

二話以降、コノハちゃんの前に立ちはだかるものは何か?


本アニメの面白いと思った点が、第一話の段階でいきなり、コノハちゃんの夢に立ちはだかる壁が取っ払われることです。

コノハちゃんは2023年から1992年にタイムリープしてしまいますが、この年代は美少女ゲームが黄金期を迎える前の時代であり、今これから、オタク文化の中心へと成長しようとしている段階です。

2023年時点のコノハちゃんに立ちはだかったのは、衰退により冷え切った美少女ゲーム業界…という厳しい現実でした。しかし1992年に渡ったことで、この壁は取り払われた…というか、質が変化したと言えると考えます。

では、次にコノハちゃんの夢の前に立ちはだかる壁は、一体何なのでしょう?

この後、物語がどのように進むかはもちろん不明です。しかし、美少女ゲームにネガティブな感情を持っている人物と思われる「守」が鍵を握っているのは間違いないでしょう。

この物語を経て、コノハちゃんがどのように変化するのかが楽しみです。

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