ある日のこと　四条璃生奈

痩せたかもしれない

ポジティブなことを考えた時は大抵裏切られる
生まれつきのネガティブ思考
生まれつき…だったと思う
受験勉強も終わった
運動する時間も増えた
お腹周りだって…ほら…
きっと大丈夫

…いやそうじゃない

自分の性格とうまく付き合うためにあえてこう言おう
絶対増えている

これでいい？

ヘックシュン

合格と同時に引っ越してきたマンション
バスルームは少し小さくなった
目の前の鏡も小さくなった
ただ…まだまだ新鮮さが残るものの中でひとつ
私の過去を知る体重計
あなたほど私の生まれたままの姿を見続けてきた者はいない
だから…わかるでしょう？

信じてるからね

片方ずつゆっくりと私を知る相棒に身体を預ける

目を瞑ってしまう
この癖はなんなんだろう
心臓と脳への負担を上げるだけなのに

合格と同時に随分太った
最悪を更新し続けた
おねがい

薄目をあける

…
…
…

鏡に映る私と目が合う


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