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練習する意味は出来ないことを出来るようにすること。出来ることをなぞるのではない。

日本のアルティメットは間違いなく世界に通用する。これは胸を張って言えること。しかし、世界で勝つためには何かかが足りない。常々そう感じてきた。昨年末、その解決策の一端が見えてきた。

練習する意味は出来ないことを出来るようにすること。

この意味を理解せずに、練習メニューを組んでいるケースが多いのではないか?そう考え始めた。

練習が出来ることをなぞることになっている。

多くの練習を観察していると、出来ることをなぞっていることが多いことに気づく。平たく言えば、体を動かしているだけになっている。体を動かすだけならば良いのだけれど、なぞることができないことへの指摘が多いことも気になる。これはまた違う機会に書くことに

『キャッチ!』『スロー!』『やっぱりなあ。やると思った!』

出来て当たり前になっている現状がある。だからこそミスに対して真摯であるかどうかは全く別問題である。

出来ることをなぞっても全く意味はないし、ミスを指摘しても全く意味はない。むしろ害になるだけ。

今の練習は、アップなのか、技術の習得なのか、体力向上なのか、戦術の習得なのか、新たなプレーの創出なのか、その目的を明確にしていない。いわゆる練習の形骸化だ。集まってアルティメットをすることは楽しいし、それは否定しない。しかし、目的をしっかりした方が全体の生産性が上がる。

人数が集まらず、4vs4をしたとしよう。この練習ですら、目的を持たせることで生産性が格段に向上する。例えば、体力練習とパスを通す技術の習得と位置付ける。そして目標として5分間メンバーチェンジしないこととオフェンスになったら全員ディスクを触ることに設定することで、オフェンス側はいかに全員ディスクを触るか、ディフェンス側ではいかにまだ触ってない人を探すか、そしてその人を全力でディフェンスするかに集中することができる。

目的;体力向上とパスを通す技術向上
目標;4vs4を実施
   1、5分間メンバーチェンジしないこと
   2、オフェンスになったら全員ディスクを触ること
成果;
課題;

現状を把握し、次へ繋げることが練習の目的

必ず言えることは、練習していれば上手くなる。それは事実だ。しかし人には期限がある。特に学生時代は短い。大学1年生で始める場合が多いアルティメットでは期限との戦いになることは明確だ。だからこそ、時短を考え、自分の現状を把握し、必要な課題をクリアできるような目的意識を持って欲しい。

現状を変えることではなく、意識を変える。

ここで伝えたいことは、現状の練習が問題なのではなく、意識が問題だということだ。意識をどこに持って行くか、そこが大きな差になってくる。前述したが、時間をかければ誰でも上手くなる。しかし人間には期限がある。期限を意識するかどうかで成果は違ってくる。

失敗してもいい練習メニューを組む。

試合で成果を出すには、試合を多く重ねるほかない。試合中の振る舞いを修正して行くことが必要になるし、それが練習である。しかし、その試合に於いても成果を出すことが難しい場合、どうするか?つまり、これまでの練習が通用しない場合だ。

「強いチームと対戦したとき、どう感じるか?」

自分のチームよりも強いチームと対戦した場合、皆さんはどう感じますか?

「うまいなあ」「すごいなあ」「抜けないなあ」「出せないなあ」

こんな感じでしょうか?もちろん僕もそう感じます。

それで終わりでしょうか?僕はそうではありません。解決策を見つけようとします。

『何がうまいんだろう?』『どこがうまいんだろう?』
『何がすごいんだろう?』『どうしてすごく感じるんだろう?』
『どうして抜けないんだろう?』
『どうして出せないんだろう?』

そしてずっと考えてきました。

『どうしたらいいんだろう?』と。

そして見つけたのです。

日本のオフェンスは世界基準。ディフェンスは?

日本のアルティメットのオフェンスは世界でも十分通用することはこれまでの成果でわかります。しかし、ディフェンスはどうでしょうか?特にマンツーマンディフェンスに関しては少し諦めてしまっているのが現状ではないでしょうか?もちろん外国選手のディフェンスは素晴らしいです。

では何故、日本人のマンツーマンディフェンスは世界で通用しないのでしょうか?

それは、『オフェンスが100%通るパスしか投げない』からです。

100%通るパスをブロックしようと試みますか?

そもそもパスが100%通るとわかっていたら、チャレンジしますか?

しないでしょう。

だから進化しないのです。チャレンジする意味がないのです。

日本では大抵のアルティメットプレーヤーは大学から始めると先ほど書きましたが、大学チームでは力の差が歴然としていて、4年生と1年生の差は大人と子どもほどあります。4年生が100%通るパスを投げ続けていたり、それを推奨していたらどうでしょうか?きっと1年生はパスはブロックできないものだと刷り込まれることでしょう。

パスはブロックできるものと刷り込む。

刷り込みは恐ろしいです。動物学者のコンラート・ローレンツ博士が刷り込みの実験をして、子カモがローレンツ博士を親ガモと認識した話は有名ですが、大学1年生にも同じことが言えます。パスがブロックできないものと信じ切った大学1年生は2年生になっても3年生になっても4年生になっても、その事実を信じていることでしょう。言葉では言い返すかもしれませんが、きっといざブロックできる状況になったとしても瞬時には動けないはずです。刷り込みはそれほど恐ろしいものです。だからこそ、パスはブロックできると刷り込む必要があるのです。

チャンスがあるなら投げてしまう機会を作る。

どういった練習ならばいいのでしょうか?

私は、紅白戦がおすすめです。チャンスがあるなら投げてしまう紅白戦をしたらいいのです。練習は出来ないことを出来るようにすることだと書いてきましたが、まさしくこの紅白戦はその練習そのものです。ディフェンスにカバーされていてもカバーされていない側に投げる。それによってディフェンスが緊張感を持って練習することができます。その緊張感こそが、ディフェンスの力を底上げするのです。パスは飛んでくるもの、ブロックできるものと刷り込むのです。

この紅白戦で大切なことが、2つあります。

1、失敗してもいちいち指摘しないこと
2、失敗したらどうしたら成功できるか練習すること

この2つのポイントをぜひ心がけてほしいものです。これがあることでより大きな成果が得られることでしょう。

このチャンスがあるならパスを投げる紅白戦は、自分のチームよりも格上のチームと対戦するときに役立つでしょう。

100%パスを通す紅白戦も行う。

チャンスがあるなら投げてしまう紅白戦があるのであれば、100%でないと投げない紅白戦も必要です。紅白戦にも目的を持たすのです。100%でないと投げない紅白戦は負けられない試合と同じです。

このように、練習自体に目的を持たすことで、世界に通じるプレーヤーを育てるチャンスが増えてきます。ぜひ世界に向けて動き出してください。

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