インセル 非モテという罪

 これから書く内容は海外の話ですので、日本の話を期待している人や日本の話だと思い込んで噴き上がっている人はページを閉じた方がいいかもしれません。

 アメリカやカナダといった北米で最近話題のインセルについてです。

 世の常と言いますか、こうした事件や問題はゴシップ的と言いますか、情報系の持病と言いますか、興味を持たせて閲覧数を稼ぐことが正義で問題解決は二の次となっている側面があります。また同時にスケープゴートを作ることで大衆を安心させようとする面や既存の価値観を保守する面もあります。そのために犯人やその周辺、同じような属性を持つ人々は怪物化されます。
 カナダについては次に書く予定ですが、日本国内の研究者からはメディアリテラシーの本場、ポリティカルコレクトネス先進国といった捉え方がなされています。トロントやバンクーバーはイギリスのエコノミストの調査でも住みやすい街の上位にランクインしています。トルドー首相のフェミニスト宣言なども有名です。
 この点を踏まえつつインセル問題を見ていきましょう。

 冒頭で日本の話ではないとした理由は、この問題を語る上でカップル文化の存在は欠かせないからです。ご存知の通り日本にはそんな文化はありません。私はパートナーが居ませんがパーティーに呼ばれますし、招待される段階でパートナーの有無を尋ねられたことは一度もありません。私が主催するとしても声をかけるのは友人だけでそのパートナーは呼びません。
 一方アメリカやカナダは違います。欧米というもっと大きなくくりでもいいでしょう。最も有名なものはアメリカのプロムでしょうか。個人的には地獄だと思うのですが、彼らにとっては日常であったり当然のものなのでしょう。
 この時点で「非モテ」の立ち位置が日本のそれとは大きく違っていることに気が付いていただけると話が早くなります。

 非モテを追い詰めるのはカップル文化だけではありません。上記のニュースや、私が過去に書いたものが示すように、ポルノや自慰を非難する動きがあります。反ポルノ運動は日本でもありますが、最も大きな違いはそこに宗教があることです。日本は多くの人が常識という名の世俗的宗教観を持っているだけで、特定の宗教を信仰している敬虔な教徒という人は居ませんし、そうした無宗教が「普通」となっています。
 欧米はキリスト教!とは言いません。近年では科学への信仰が強い勢力となっています。アメリカでは教科書で進化論を載せるかどうかでもめることができる程度には力を持っています。これはその逆も真なのですが、進化論を教えない学校があるように、やはりキリスト教は力を持っています。
 例えば、ある敬虔な教徒が日曜日のミサに行ったところ「自慰は罪である」という旨の説教を受けたとしたら、それは彼にとって聞き流せる問題ではなくなるでしょう。自慰を禁止するか、自慰のたびに罪悪感を覚えるか、どちらかでしょう。そう、「オナニーすればいいじゃん」で済む問題ではないのです。

 ここまで書いた内容においては男女の差はありません。女の自慰はOKで男はNGなんてことはありません。よって、女性のインセル、社会を憎悪する者が現れないのはおかしい、と考えるひともいるかもしれません。
 実は既に現れています、名前が違うだけで。その名は「フェミニスト」です。正確には「ラディカル・フェミニズム活動家」です。SNSで見たことがありませんか?やたら攻撃的で独善的で根拠は自身の感情で2言目には女性差別、ミソジニーという人々を。あの人達の海外版といいますか、カナダはむしろ本家本元にあたります。そして首相が公言するように、大きな力を持っています。

 そしてこの自称進んだ人権意識が彼らを非モテへ突き落とすのです。インセルの事件の犯人や元インセルの男性に共通するのは「白人男性である」ということです。そう、人権意識の高い国で自身の意識の高さをアピールするのにパートナーが「白人」の「男性」では都合が悪いのです。
 確かに、彼らの性格が筆舌にし難いレベルに悪いという可能性もあります。だから選ばれないし、自身を省みることもない。充分にありえます。しかしながら、「白人の男性には特権がある」という主張があるのは事実です。その特権を持たない白人男性がパートナーに選ばれるのは難しいでしょう。

 次の段落は長くなりそうですので、別の記事にします。
                      もうちっとだけ続くんじゃ