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CLEVER SLEAZOID

私がDIR EN GREYを聴き始めたのは高校一年生のとき、ちょうど"Agitated screams of maggots"のシングルが発売された辺りだったかな〜と思う。いま発売日を見たら2006年の11月らしい。もう14年弱も経っていてることに強く頭を打ったような感覚を覚える。きつい。DIRを聴き始めた時の話はまた追々書けたらいいなと思う。

その当時の最新アルバム「THE MARROW OF A BONE」(以下MARROW~)を高校の入学祝い金で買った。余談であるが、slipknotの3枚目も一緒に買ってドップリとメタルにハマっていったのを覚えている。

"CLEVER SLEAZOID"はそのMARROW〜の最後に位置していた。バンドとしても、ファンの中でも、勿論私の中でも屈指のキラーチューンとして君臨していた。海外のメタルに影響を受けていた頃のDIR EN GREY。その中でもヘビーながら、シンプルでキャッチーなリフと、このバンドらしい暗く妖しいメロディアスな部分が共存を果たした名曲だと思う。高校生の私は聴き狂っていた。部活の帰りに自転車を漕ぎながらイヤホンで何度も繰り返し。

この曲にはシングルver. MARROW~に収録されたアルバムver. そして今回書こうと思ったきっかけである「落ちた事のある空」に収録された再録ver.と3パターンが存在する。

今回の再録、楽器隊は現在の彼らのスタンダードである7弦、5弦で録り直されている。リフも所々変えられていて、原曲よりもバンドサウンドが一つの塊となって向かってくるグルーヴ感が強くなっている。さらに随所に2ビートの疾走パートが挿入されており、ハードコア感も増していて、原曲よりもライブで映えそうなアレンジが施されている。DIRの再録は賛否がかなり分かれることが多く、今回もファンの間では意見が割れることだろうが、個人的に私は今回のアレンジが好きだ。

原曲はほぼ全編英詩、中盤の「声も出ないくらいに…」のパートだけが日本語となっている。今回の再録では歌詞が公開されていないので、定かではないが殆どが日本語に変えられて歌われているように聞こえる。

終盤の「暗い暗い日曜の朝…」や2番目のAメロの「右も左も…」の部分のアレンジはかなり大胆で、ほぼ当時の歌詞を直訳しているような印象。原曲の英詩は訳してみてもどういう内容を歌っているか分からなかったが、今回についてはどうだろう?




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なるほどわからん。

そもそもMARROW~以降からの京さんの書く歌詞は「考えるよりも感じろ」を地で行くような抽象的な作品が多くなっていき、また最近の「The Insulated World」では、一周回って直接的な表現に近づいていっているような印象なのだ。

その中でもMARROW~の楽曲の歌詞は、一つの物事に対して描かれたものが少なく、「怒り」や「悲しみ」といった大きな感情をテーマに据えて、その感情の赴くままに書き殴っているというような印象が強い。ことマゴッツや”LIE BURIED~”などのメタル的な楽曲においては顕著にその傾向が出ている。(誤解されたくないのは、それが稚拙に描写されているのではないこと)

CLEVER SLEAZOIDも、その例に漏れず、随所に「怒り」を感じる曲なのだが、中盤の「声も出ないくらいに…」で、ふと我に返ったときの「孤独」のようなものを感じる。

当時のインタビューでも彼の精神状態が最悪だったことは語られている。

荒んだ状況で疑心暗鬼になり、我を忘れて怒りを一通りぶちまけ終わったあと、周りを見てみるとポツンと一人だけ、私が立っている。あの静かなパートにはそんな虚しさが込められているような気がする。

日本語に変わったことで、拒否反応が出る人もいるかもしれないが、私は最近の京さんの日本語を崩してシャウトするスタイルが好きだし、日本語で歌うことが今の彼の”モード”なのだと思う。

今回の再録には歌詞がついてないが、ぴあアリーナのチケットを買った人に払い戻しの代わりに届くとされるCDパッケージ版には歌詞が付いているのかも知れない。(というか、それには付けておいて欲しい…)

長々と書いてしまったが、今回はここまで。

次に再録されるのはなんだろうな…ZOMBOID とか聴いてみたいですね。

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