L’Arc-en-Ciel 30th L'Anniversary TOUR at マリンメッセ福岡 2021/10/03 ver.※ネタバレ無ライヴレポ

当公演のレポートをここに記す。

当ツアーのコンセプトについては他方にて散々記載があるため割愛させて頂く。
また週明け以降もツアーは継続されるため、流れには多少触れるが具体的な演奏曲名は控えるとする。

・結論から言うと、当公演は感動的な”総合エンターテインメントショー”だったということだ。
セトリについては先月の当ツアーの最初の地、大阪公演において散々Twitter上にて賛否両論が繰り広げられていた。
確かに長年追い続けているファン(筋金入りのファン、ドエルと記す)の感覚であれば、「ラルクよ、それはないのではないか・・・」といった意見も賛同できる。
当ツアーのセトリの大半がここ10年のライブ活動において毎回組まれている、といっても過言ではない曲たちが並んでいるからだ。(マンネリとも言うのかw)
敢えて実際の曲名は明かさないが、ドエルが直近10年のほとんどの公演に参加していれば「流石にもういいだろう、その曲は・・・」という意見になるのも無理はない。
確かに、きつい言い方をすれば”聴き飽きた・・・”といってもいいかもしれない。

しかし、ここで当ツアーの趣旨を思い出してほしい。
あくまで”バンド結成30年を記念した公演”なのだ。
よって、全作品を熟知しているであろうドエルが望む、「あのアルバムのあの曲、レコ発公演以来演奏されていないこの曲」というのは恐らくこのツアーの趣旨に沿わないのではないかと思う。
この30年を総括する曲たちをピックアップしたのではないかなと、それであれば納得がいく内容だった。
あと、これは公演中に感じたことであるが、何度も言う、バンド結成における30年なのだ。
つまり、当然ながらメンバー全員、年齢を重ねている。
敢えてメンバーらの実年齢は記載しないが、思うに例えば20代中盤に作った一部の曲たちは現在の本人らが実演することは少し無理があるのではないだろうか。
というのも、当公演で一番感じたのが、ここだった。
正直、10年前の公演であればもう少しステージパフォーマンスが派手だったと記憶しているが、今回は全編通して大人しい印象が残ったのだ。
Vo.hydeはソロにて主にヘヴィロックを展開していたため、そこまでの印象はなかったが、他のメンバー、特にBa.tetsuyaは運指もパフォーマンスも華やか、が売りという認識だった。
しかし、今回はベースアンプ前の立ち位置でしっかりと演奏に徹している様子だった。
それにより、丁寧なグルーヴがDr.yukihiroと奏でられていた。
また、曲調に合わせたパフォーマンス、と言われればそれまでだが、
それも踏まえた上での当ツアーのセトリの組み方だったのではないかと感じている。

そんな感じではあったが、公演内容に関しては個人的には大満足であった。
筆者は2004年、READY STEADY GOからチェックするようになったが、
改めて当バンドはエンターテインメントに徹しているな、と感じずにはいられなかった。

ここで個人的な解釈の話ではあるが、観客に向け音楽を生で披露すると言う意味では同義語である、ライヴとコンサート。
しかし、筆者はそれぞれ似て異なるものだと解釈している。

ライヴはその意味の通り、生きる、ナマということだ。
その場その場での感情を剥き出し、喜怒哀楽を舞台上で音楽という手段で表現する、というもの。
コンサートは喜怒哀楽はある程度出しつつも、一本の公演の頭からケツまで一つのミスもなく完璧な興行を、魅せる、というもの。

L’Arc-en-Cielはその2つを成立させている貴重な音楽集団ではないかと思うのだ。

ライヴという点でいうと、オープニング1曲目で届けられたある楽曲。
曲中、観客に向けたhydeのマイクを通したリアルな雄叫び。
Gt.kenのみで奏でられたアウトロ。
ここはギターの弦をはじく右手のピッキングのリアルなニュアンスまでを感じることができた。
これはやはりロックバンドによるライヴなのだ、コンサートではない。

そしてコンサートという観点。
これはこのバンドならではといっていいだろう、演出だ。
2007年発売のアルバムKISSレコ発ツアーのオープニング寸劇に代表されるような、
以前からかなり凝った舞台演出が特徴ではあったが、今回もこの点は忘れていない。
特にこのバンドの相当なコアなファンは数ある楽曲のうち、ゴシック且ダーク、ポジパンのような分野に魅了されている人も多いのではなかろうか。
筆者もその1人ではあるが、個人的に当公演で1番好きだったのがこのゴシック楽曲ゾーンなのだ。
残念ながら筆者の座席がこのゾーンからメンバーの背中を見る体制になってしまい、演出面を完全に堪能できたとは言いづらい。(本ツアーは定期的に回転するセンターステージ形式を採用されている)
READY STEADY GOやHONEYといったポップネスな楽曲も代表曲として確立されている。
しかし、個人的にはやはりこのバンドはゴシックでダークな部分が最大の武器、ではないかと昔から思っていたが、当公演でもそれはより強く感じたのであった。
因みに03年のShibuya Seven Daysのドキュメント本のインタビューにてhyde本人も発言している。
曲名を明かすことができないが、王道なゴシック曲の演奏時、
かなり神秘的な演出がマリンメッセ福岡を幻想的な世界に連れて行ってくれた。
またある曲では多数の灯篭のような炎がステージ前を覆い尽くし、
死をイメージさせる曲の世界観を具現化していた。
このように演出に凝ったコンサート、という観点でもこのバンドは本当に魅力的でファンを惹き付けるのである。
余談であるが、このゾーンでのある曲でkenからイントロが奏でられるのだが、機材トラブルか本人のギターのボリューム操作誤りかは不明だが、アンプから音が出なかった一幕があった。
ここで筆者は”ライヴ”だなと感じた。
このゾーンでは筆者はken本人からかなり離れた位置で鑑賞していたが、
アンプを通さないギターの生音が聞こえてきたのだ。
最初、指鳴らしで弾いているのかとも思ったが、演出の流れ上、
それはないと瞬時に察知し、やはり何かしらのトラブルだったようだ。
だが、筆者はここで思った、やはりプロのギタリストだなと。
通常、エレキギター の場合、アンプを通さない限り、シャカシャカとした小さな音しか出ない。
当然ながらマリンメッセのようなアリーナ規模であれば最前席は別として大半の席には聞こえないはず。
が、かなり離れた席までしっかりと耳にしたのだ、あのカッティング音を。
それは通常のCDやライブ映像ではわからない、生々し過ぎる音を体感できた。
当たり前であるが、音がどもることなく、鮮明になっていたのは失礼ながらプロだなと改めて実感した。
やはり、アンプ無でもプロの音は違うんだなと感慨深かった。

このように演出重視のコンサートの面が強いゾーンでありながら、
ちょっとした部分にも”ライヴ”を感じさせるのは意図的ではないにしても本当に貴重な存在だと感じた。

その他、本日の公演がたまたまtetsuyaの誕生日であったため、
彼をフューチャーするようなMCやバースデーケーキ登場といったコーナーがあったことも追記しておきたい。
それにより、彼がMCをする時間も長尺取られていた。

長くなったため、この辺で総括に入りたいとする。
当ツアーはやはり、総合的に見ても参加するべきな内容であった。
これまで曲は散々と聴いていて良質である点は認識していても、あの空間で耳にする楽曲たちは、「いいよね、やっぱり・・・」という感想をすぐに口にしたくなるのだった。
セトリの意見は一旦さておき、現在の社会情勢を踏まえても公演に参加できる環境にある方、
もしくは今週以降の公演チケットを買うか悩んでいる方は可能な限り参加した方がいい。

確実にいい内容だった、会場BGMの粋な計らい含め、
ライブとコンサートを両立させた、
”総合エンターテインメントショー”をご堪能あれ。


※追記。
とここまで良い面ばかりを語ってきたが、以降の公演に参加される方々に注意点がいくつかあるため確認いただきたい。

今回は事前に公式発表されている通り、舞台が通常公演のように会場前方ではなく、真ん中に設置されるセンターステージ形式である。
本文中に記載した通り、定期的に回転する仕組みになっているが、
ここでかなり注意していてほしいことがある。
確かに定期的に回転して東西南北の各正面を観て演奏することはするのだが、
この東西南北の位置によって、得する人、損する人が席のグレード問わず出てくるなと感じた。
というのも、今回のマリンメッセ福岡公演はオープニングが南側だったのだが、なんとアンコール含め3分の2は同位置のままであったのだ。(実際にはオープニングから中盤過ぎ、あとは残り3方面を短期スパンで回転)
つまり公演中のほとんどがメンバーの背中を見ることになる位置の観客が出てくるのだ。
筆者は真ん中の位置であった他、メンバーと同性であるため、そこまで顔をみたい、という感じではなかった。
が、異性のファンはそうはいかない人が多いと思うため、
これはかなり運が左右されるステージ形態だと強く感じた。
というのも、SS席のようなグレードは本来メンバーを近くに感じたいファン向けに用意されたものであるが、東西南北の位置によってはメンバーの近くは近くでも背中を直近で見る、ということになる。
花道が四方に出てはいるが、本文中に記載した通り、あまり花道に出てパフォーマンスするということはアッパーな曲のゾーン以外は皆無であった。
よって、席のグレードよりも、東西南北の位置がかなり重要、ということだった。
関東公演のチケット販売も始まっているが、もしがっかりしたくない人はドエルであっても無難なA席を選択することを強く勧める。
SS席やS席は確かにオープニングで正面向いている場合はアタリ、だが、その逆の場合はがっかりした気持ちで公演中をずっと過ごすことになる。

その他、再度セトリについてであるが、今回のチケット購入方法や価格帯、そしてこのコロナ禍においてを鑑みると、
「ラルクのこの曲が好きだから、生で聴きたい。それが聴けないなら微妙かな」といった温度感の方は本文中の内容や座席の方角ガチャの観点からお勧めできない。

本当にこのバンドが好きで、曲目は気にしない、本質から好き!といったファンは堪能できるツアーだ。

長文、お読みいただきありがとうございました。


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