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アルフレッド・ウィリアム・パーソンズって知ってる?

文学、音楽、映画といった芸術作品には、"好き嫌い"はあっても"良し悪し"はない、というのが私の持論だ。
コンクールとか○○賞とかが成り立つのは、基準を決めた上で"良し悪し"を判断するからで、そういう前提が無ければ絶対的な"良し悪し"など存在しないと思う。
芸術じゃないけどラーメンもそうだ。他の料理はさておき、ラーメンだけはだめだ。他人のおすすめが全然信用できない。それはやっぱり、"良し悪し"じゃなくて"好き嫌い"の問題だからじゃないだろうか。何でラーメンだけがそうなのかは分からないが。

それはさておき、アルフレッド・ウィリアム・パーソンズという画家がいる。

私がこの人の名前を知ったのは、近所の美術館で彼の風景画を見た時だった。といっても見たのは絵そのものではなく、資料として置いてあった本の中の画像だった。にもかかわらず、それを見た時はとにかく、とても、すごく綺麗だと思った。すごく好きだと思った。
油彩画より水彩画が好きだし、風景や植物を細かく描写した絵が好きだし、色使いが優しい絵が好きだ。パーソンズの絵は、そういう私の好みどストライクの絵だった。
ネットで少しだけ調べてみたが、元々は植物を描く画家で、実力はあったものの水彩にこだわっていたために、油彩が優位な画壇ではなかなか評価されなかったらしい。いい。そういうところもなんかいい。

国内で彼の絵を展示しているのは、福島県の郡山市立美術館だけらしい。『箱根の秋』という絵だ。同美術館のホームページに画像が掲載されているのだが、この絵も本当に綺麗だ。綺麗すぎる。この細かい感じ、優しくて柔らかくて穏やかな色の感じ。好きすぎる。
是非現地に見に行って、ポストカードとかのグッズがあれば買いたいのだが、福島となるとそれなりの距離だ。せっかく行くなら泊まりがけで観光したい。ただそうなるとそれなりの準備が必要になる。
できればこの秋、行けたらいいなあと思う。

パーソンズは明治時代に日本に来て絵を描き、『NOTES IN JAPAN』という旅行記を書いた。1895年の本だが、彼の母国イギリスで再版されているようだ。もちろん、絵も載っているだろう。読書の秋だ。この本を取り寄せて、ちまちま和訳してみるのも楽しそうだな、なんて思う。

"好き嫌い"はあっても"良し悪し"はないというのが持論と書いたが、そのせいでいつも自分の好きなものについての記事を書くのをためらってしまう。「好きなものについて叫びたい!」という気持ちはあるけれど、"好き"を"良し"として押し付けたいわけじゃないし、ただの"好き"だから知識とか根拠とか比較とか、そういう読み応えのある内容は一切書けないし、「え、じゃあこれ何のために書くの?誰が読むの?」と思ってしまうのだ。実際この記事も何のために書いたのかよく分からない。もちろん、書くのは楽しかったけど。

"好き"だけでどうやって読み応えのある記事にするか。知識も根拠も比較もない、下手したら理由すらない"好き"を書くとき、どうしたら自己満で終わらせずに面白い文章が書けるのか。この秋はそれに挑戦してみるのもいいかもしれない。

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