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【引っ越し旅】アルバニア→北マケドニア


2024年4月20日
恒例の引っ越し旅。これまでは飛行機で国境を越えてきたが、
今回は初めてバスで越える。
[アルバニア]→→→[北マケドニア] 
首都のスコピエまでの移動。

引っ越し旅のはじまりはじまり~。



デュラスのバスターミナル。

北マケドニアの首都、スコピエ行き。
他のバスに比べて私達の乗るバスはあきらかに小さかった。

スコピエまでは10時間近い移動なのに、こんなに小さなバスだとは…。
座席シートには持参のブランケットをクッションかわりに敷いて簡単な対策は完了。
出発前、バスを目の前にしたベンチで買ってきた朝食パンを食べながら、口に運ぶコーヒーの量を気持ち少なめにした。

これで、大丈夫…かな。やや不安のスタート。

◆08:00  デュラス(アルバニア)を出発

デュラスからの乗客は私たちを含めて合計4人。チケットとパスポートとを提示したら、荷物を詰め込んで出発。
「このまま4人だったら席は広々と使い放題だね」とシートを倒して夫と
のんびりおしゃべりしたり、スマホにダウンロードしておいたポットキャストを聞きながら景色を眺めた。

◆09:00  ティラナ(アルバニア)のターナミルに到着


首都ティラナについたと思ったら乗客が一気に増えた。
席はあっという間に満席。
慌てて倒していたシートをもと位置に戻す。飛行機みたい。

次の出発時刻までの時間、2度目の乗車チェックが入った。
やや緊張するも、バスチケットとパスポートを確認したスタッフは笑顔で「Have a nice trip!」と送り出してくれた。

小さなバスはぎゅうぎゅう詰め。
色んな人達が乗ってきていたからなのか、様々な香りが混ざりあっていた。

バスが休憩所に止まるたびに、外でタバコを吸う人が多い乗客の半数がタバコを吸う感じがした。
彼らが車内に戻るとタバコの残り香が加わり、さらに香りは複雑に変化していった。残念ながら窓は開かない。

◆12:00  国境を通過

バスは速度を落として、ゲートの列に並んだ。
本日のメインイベント!国境越え!
列は2つに分かれていて、どちらも長い。

CITIZENSとかかれた左のレーンは北マケドニア国民が並ぶ。


私たちのバスは右レーンに並んだ。
お隣の左レーンの人たちが順番待ちの間に外に出てリフレッシュしている。
対して私たちの右レーンは、バスの中から外に出ることが出来ない。

グーグルマップの口コミによると、ざっくり30分ほどで国境を抜けることになるらしい。用意するものはパスポートのみ。
バスの運転手が全員のパスポートを回収し始めた。運転手は集めたパスポートやIDカードを提出しに行った。ドライバーさんが戻って来る間、私達乗客はバスの中で待機となった。待っている間も決して外に出ることは出来ない。

30分がたったがドライバーは戻ってこないし、一向に動く気配はない。
窓から様子を眺めていたら、外にいた管理官が動き出した。
ドライバーが最後部にいた一人の男性客を呼び出した。男性はドライバーと一緒にバスを降りた。

何か問題があったようだ。

バスの外で話すのは3人。
3人劇場の始まりに、乗客は車内から眺めるしかなかった。
入出国監理官らしき人、呼び出された乗客の男性、そしてバスドライバー。

手に持ったパスポートをひらひらとさせながら話す管理官。肩をすくめる男性、腕組みして二人のラリーを見守るドライバー。
その様子に、私達は適当なアフレコをつけてドラマ仕立てでみていた。

ドライバーがバスの荷物置きのドアを開けた。件の男性は荷物を受け取り、管理官と二人で建物の奥に消えて行った。つまりバスを降りたのだ。

バスのなかは少しざわつき、3人劇場は終了した。

急に自分事になった夫が「次は俺たちかもしれん…」と言い出した。
「ここでおろされたら地獄だよね、どうやって移動しよう、まずは宿探しからだよね…」そんな緊張が始まった。

外で電話報告を終えたドライバーがバスに戻ってきた。手には束になったパスポート。一番前の乗客にその束を渡すと、エンジンをかけて進みはじめた。

「全員に配り終えてから出発した方がよくない?俺らのパスポートがなかったらどうすんのかな。」夫、ナイスつっこみ。パスポートが乗客リレーにより手元に戻ってきた。私たちは無事に国境を越えた様だ。

国境を越えて1時間ほど走ったころだろうか、私の後ろの男性が、私の前の男性のところまで行き何やら話していた。二人で後ろの私を見て「寒いか?」と聞いてきた。少し前までは肌寒かったが、持っていた上着を着たので、全然寒くはなくなっていた。私が「NO」と答えると、二人は困った顔をした。次の瞬間、後ろの男性がドライバーに向かって大声で話しだした。どうやら後ろの男性は寒かったらしい。エアコンが切られ、車内はムワっと暑くなった。複雑な香りが再び主張し始めた。残念ながら窓は開かない。

それから、10分ほどたったころ、今度は私の前の男性がドライバーに向かって大声で話しだした。ドライバーがそれに返答した内容が彼の癇に障ったようで、急にキレて大声で怒鳴り始めた。ドライバーとのバトルはしばらく続き、車内の空気は一層どんよりとしてきた。

隣の夫が小さな声でこう言った
「たぶん、タバコが吸いたいんだと思う。ずっと休憩していないから。」なるほど、ニコチン切れか…。
すぐにバスは停車し、半分ほどの乗客が下りてタバコを吸いだした。私の前と後ろの男性も降りて吸っていた。

ひとしきりおタバコ休憩が終わると、再びバスが走り出したが、
五分も走らないうちに、次の休憩所に到着した。こんな事なら、休憩所までノンストップでもよかったんじゃないか?とも思ったけど、あの男性の殺気だった雰囲気にドライバーさんも仕方なく緊急停車したんだと思う。

思いっきりタバコが吸えたからかもしれない。前の席の男性はさっきとは別人のようにニコニコ笑顔になって社内に戻ってきた。
一方で連れの女性はお怒りモード。ちょっかいを出してくる男性の手をふり払い、ずっと窓の景色を眺めている。きっとバスから降りたら喧嘩が始まる予感。

◆17:00     スコピエ(北マケドニア)に到着。

国境の山を越えて、人里に入ってくると、集落地にちらほらとCASINOやJackpot、777といった看板がちらほらと見え始めた。日本の地方にあるパチンコやスロットのような感じなのかと思う。

さらに街中に近づくにつれて、交通量が増えてきた。
真っ赤な2階建てバスが目の前を通っていった。観光バスと思いきや、2階建てバスは市内バス。前面のパネルには路線番号と行先が出ている。
2階建てバスが市バスって何かカッコイイ。

2階建てバスの多さに驚いているうちに、スコピエのバスターミナルに到着した。我々を含めて半分ほどの人がここでおりた。

約9時間の引っ越し(バス移動)で、初めて陸路での国境こえを経験したが、拍子抜けするほどドライブスルーな入国だった。
バスに乗ったまま降りることもなく、荷物を調べるでもなく、バスのドライバーさんが手続きを代行してくれた感じ。バスの窓が開かないこと以外は不満なく過ごせたと思う。
国境で降りた男性はあのあとどうなったんだろう…。

市バスに乗り換えるためにバスカードを購入。
わくわくしながら2階建てバスに乗り、最寄りのバス停で降りてから歩くこと10分。迷うことなく宿に到着した。

◆到着後   

無事に宿に着いて驚いた。今回の宿はなんと半地下。映画パラサイトのような家を想像してしまったが、山の斜面にあるその家は想像ほどの暗さはなく、小さな窓ながらも全方向にいくつかまどがあるからか、光が差し込んでくれていたので安心した。キッチンもバストイレもエアコンまでついていて快適。

北マケドニアの首都、スコピエで約一ヶ月間
新しいお試し生活が始まる。


国旗のサイズ感が…


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