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【Pick Up記事】障がい者アートに思う

12月3日~9日は障害者週間

デジKAMAのある神奈川県では、平成28年に「ともに生きる社会かながわ憲章」を掲げ、共生社会の推進に向けたさまざまな取り組みが行われています。書家・金澤翔子さんによる力強い「ともに生きる」の書も、街中の色々なところで見かけます。この記事のトップ画像にある漢字バージョンの「共に生きる」は、鎌倉芸術館の正面で撮りました。

広報かまくら 令和5年度12月号 7面にもあるように、鎌倉市でも駅の東口と西口を結ぶ連絡通路「鎌倉駅地下道 ギャラリー50」で作品が展示されたり、湘南モノレール大船駅で鎌倉ふれあいショップが出店されたりしています。みなさんのお住まいの地域でも、アートやイベントを通じた啓発活動が行われていることでしょう。

鎌倉駅地下道 ギャラリー50での市内事業所ごとの作品展示
(12/6朝に撮影)

今回のPick Up記事

前置きが長くなりました。今回のPick Up記事です。
「誰一人取り残さない」包摂性を掲げるSDGsの浸透に伴い、障がい者が手がけた絵画や作品が企業の発信でも使われるようになりました。この立役者となっているのが、一般社団法人障がい者自立推進機構です。

採用されたアーティストは利益の半額を報酬として受け取ることができ、多くの人にやり甲斐と収入をもたらしています。そんな成功を収める中でも、新たな課題や展望が出て来たそうです。

課題

500人以上の障がい者アーティストの作品がWebサイト上に掲載されていますが、載っていても企業の出版物に採用されるとは限りませんでした。

課題に対する実践

企業での使用を促進できるよう、

  • 予算取りしやすい年間プランを用意しました。

  • 指名したアーティストに作品をリクエストできる仕組みを作りました。

  • 「ロゴを入れる」「商品を入れる」などの条件つきで、自社キャンペーンに使うデザインをコンテスト形式で募集できるようにしました。

実践の結果

2022年度の障がい者アートの採用件数は、2年前と比べて1.7倍の334社となり、アーティストの報酬も増えました。8割以上の企業が継続して利用しているというwin-winの関係にあります。

将来の展望

未採用のアーティストにも報酬が発生するよう、カレンダーや年賀状の企画時期に合わせた提案もしていくとのことです。


記事の要点を登録ワーカーにわかりやすくまとめてもらいました。

障がい者のアウトプット先

自分の作品が世に認められてお金にもなる。そんな夢を叶えてくれる好事例でした。アーティストの状況に同情してではなく、色合いや構図がいいから、醸し出される雰囲気が好きだから、と作品自体で勝負できるのが魅力です。

障がい者アートと事務とは似ているところと異なるところがあります。
似ているところは、作った人でなく作られた物に価値が見出されることです。デジKAMAの場合、企業から発注されたデータ収集であれライティングであれ、事業を展開するための情報資産として活用されるからには、「障がいがある人や就労経験のない人が作ったなら瑕疵があっても仕方ないよね」ではなく、品質が保たれている必要があります。
異なるところは、アートと違って匿名性が高いことです。「この人じゃないと作れない」がまかり通りません。デジKAMAの仕事内容とねらいでも書きましたが、私たちの事務作業には指示書があって、誰がやっても一定の結果が出せる仕組みになっています。

障がい者アートと事務の違い

手戻りがないようワーカーの初期品質が高いことが望まれますが、同じ人でも作業内容や体調によってアウトプットの質や量が揺らぐことはあります。そこでスタッフの出番です。指示書を正しく理解できているかの確認や質問対応はもちろん、体調不良のワーカーを安心して休ませられるように柔軟な要員配置をする、複数のワーカーで取り組んだ内容が発注企業の要件に適合するか確認するといった役割を持っています。ワーカーにとって、これが事業所とタッグを組む醍醐味だと考えています。

上の図を見て、「事務って誰にでもできて注目されないのか」と後ろ向きに捉えるのは早計です。同じ仕事をしているワーカーの中でも、独自の工夫をしている人がいて、それを他のワーカーに展開したり、作業シートに組み込んだりすることで、デジKAMA全体の底上げができています。
事務でなくものづくり・サービス系の事業所にも同じことが言えると思います。たとえば最近は、ぱっと見では福祉作業所とはわからないようなおしゃれなカフェや作品が増えています。誰かのアイディアが事業所に取り入れられ、障がい特性やスキルの程度によって分業され、アウトプットの質と量を担保できるようにしているはずなのです。地道な努力とノウハウが必要で、なかなかなしえないから、実現できれば注目を浴びます。


障がいのある人やひきこもり状態にある人が、好きなこと・得意なこと・やりたいことに応じて活動の場を選ぶとき、デジKAMAのことも思い出してください。個の力が遺憾なく発揮される障がい者アートに憧れつつ、ワーカー一人ひとりの良さを引き出して集団として輝くことができるよう運営しています✨


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