やはりネットミーム化していた「令和最新版」

たまたまネットで昨今の日本のゲーム事情を調べていたわけですが、そこで最近人気の中国ゲームに関連するかたちで令和最新版という言葉を見つけたわけです。

筆者はこの言葉に見覚えがあったわけですが、あまり細かいことを気にしない人は普通によくある日本語というふうにしか感じなかったかもしれません。

しかし、実はこれ中国系の組織が日本人向けに安価な模造品を売りつける際によく用いられる表現であり、そういった表現に目をつける感性の鋭い人々によってネットミームとしてここ数年用いられるようになった表現なのです。

その舞台となっていたのがAmazon.co.jpだったわけです。

Amazonで人気の「令和最新版」

Amazonは大手ECサイトとしてここ数年のコロナ禍においても成長を遂げたわけですが、その成長の原動力の一つになったのが中国企業の存在でした。

Amazonは自社の製品やサービスだけでなく、電子商店街という名のとおりに他社に対しても門戸をひらいており、それをAmazonマーケットプレイスと称していたわけですが、これはテレビゲームの世界でいうところのサードパーティーのようなものであり、他社をも巻き込むかたちで市場の横のひろがりを得ようとしたものです。

結果としてそれは大成功をおさめ、Amazonにとっては貴重な収入源になっているといわれているわけです。

しかし、これは時期的には中国企業のぱくりが話題になっていた頃でもあり、また鄧小平の改革開放以後の路線が一つの完成を迎えつつあった時期でもあります。

その果実としてもたらされたのが安価なぱくり製品だったわけであり、それが日本製品であるかのごとく偽って令和最新版としてAmazon.co.jpに並んでいた、というのが実態でありました。

庶民はいちいち細かいことを気にしない

筆者のようにググってウィキることに慣れた疑い深い若い世代は(それでも少数派かもしれませんが)令和最新版という言葉を見た瞬間に「あやしい」と感じるわけですが、意外に世の中の人というのは細かいことを気にしないものです。

とりわけネットに慣れていない親世代というのは見たことも聞いたこともないようなサイトに平気で個人情報を登録してしまうようなところがありますので、ましてや楽天やAmazonといっただれもが名前を聞いたことがある企業のサイト上の話であるとするならばなおさらのことであるといえるでしょう。

つまり、楽天やAmazonで販売されているのだから、安全な商品に違いない、と。

しかし、筆者のようにサイトの構造を多少は知っている人間であるならば、それがたとえ楽天やAmazonであったとしても、楽天やAmazonが自社で扱っている商品であるとは断言はしません。

なぜなら発送元や販売元は個々の商品ごとに違っているということを知っているからです。
まさにこの点電子商店街なのであり、いろいろな店舗が商品を取り扱っているということを知るべきなのです。
全ての商品が楽天やAmazonの倉庫を通ってきているわけではないということです。

もちろん令和最新版はそんな倉庫通ってはきません。
なんせ令和最新版ですから。

ようやくAmazonも重い腰をあげはじめる

そのような中国企業の粗悪な模造品に利益上依存していたともいえるAmazonだったわけですが、さすがに自社やそれに協賛してくれる大手のイメージを損ねるような事例が相次ぐ状況は見過ごせなかったようであり、筆者は知らなかったわけですが、近年はその対策をAmazon Brand Protection Reportとして公表しているようです。

その去年のものが今年4月4日に日本でも公表されたようであり、こうした動きは明らかに中国企業を意識したものといえるでしょう。

気になってAmazonで「令和最新版」と検索してみると、どうなんでしょう、増えているのか減っているのか断言はできませんが、気持ち減っているような気がしなくもありません。

ちなみに調べてみると「令和進化版」や「令和改良版」といったバージョン違いもあるようであり、これもネットミーム的なネタとして使えるかもしれないな、と思ってしまいました。

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