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「ディグディガ」元ネタ紹介:第3話

これは、漫画「ディグインザディガー」第3話公開に際して、原作の栄免建設と漫画の駒澤零(と、たまにゲスト)が淡々と元ネタ紹介をしていくコーナーです。

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ゲスト:EPOCALC(音楽ブロガー)

今回、ゲストのEPOCALCさんには自身のブログでたっぷりと解説を書いてもらいました。よければ、そちらもチェックを!かなり面白いです。

前半:栄免建設(原作)

FACE RECORDS MIYASHITA PARK

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東京に3店舗展開している、中古盤中心のレコードショップ。今回はMIYASHITA PARK店を取材。商業施設内ということもあり、J-Popやアイドル、ジブリなどの有名アニメサントラなど、ラインナップが幅広いため、ふだんレコード集めをしない人でも楽しめると思います。

勿論、しっかりクラブミュージックも取り扱っています。今回、僕は取材と別に個人的にWu-Tang Clan「C.R.E.A.M.」を購入しました。客層を選ばないお店だと思うので、是非いちど訪れてみてください!
オンラインストアでの販売も行っています。 Twitter / Instagram

BE-WAVE

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新宿・歌舞伎町にあったクラブ。2006年オープンと共に幅広いイベントで支持を集めていたが、新型コロナウイルス感染拡大防止に伴い2020年4月に営業停止、同年5月30日に営業終了を余儀なくされた。
今回、FACE RECORDS MIYASHITA PARKを紹介してくださったのがBE-WAVE元スタッフの方々ということもあり、テーマも合っていたのでお願いしたところ、快く引き受けてくださいました。

LOUNGE NEO

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渋谷・道玄坂に存在したクラブ。2002年オープン。湾曲した壁面が特徴的で度々漫画やMV、ドラマ撮影などで利用されていたが、新型コロナウイルスの影響で株式会社カルチャーオブエイジアが運営する系列店「VUENOS」「Glad」と共に昨年5月いっぱいで営業終了。
ネットレーベル周辺では中心的な存在のクラブであり、特にその類の音楽が余り現場で支持されない地方の人間にとっては、かなり憧れが強い場所だったと思う(アニソンだったら多分MOGRA)。僕自身、上京して最初に行った憧れのクラブであり、栄免建設としても一番お世話になっていたと思う。

現在、カルチャーオブエイジアは道路を挟んで向かいのライブハウス「clubasia」のみを運営している。(下画像コマ背景)

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家 -Yeah-

通称「家だけにYeah」と呼ばれたLOUNGE NEOの周年イベント。

LOUNGE NEOに関わりが深いアーティストが集結するイベントであり、今回の元となった2018年の回ではLOUNGE NEOはもちろん系列店の「clubasia」「VUENOS」「Glad」も巻き込んだ6フロアで開催された。
昨年、LOUNGE NEOのラストイベントとして配信で復活。

Seimei & Taimei

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TREKKIE TRAXの中心Seimei KawaiとTaimei Kawai (Carpainter) による兄弟ユニット。DubstepをはじめとしたBass Musicユニットとして楽曲のリリースやDJとして出演を行なっていた。
2018年「家だけにYeah」ではSeimei & Taimei (LOUNGE NEO Special Set)としてLOUNGE NEOフロアのトリを飾り、個人的にベストアクトの一つだったので今回取り上げさせていただいた。

Toshimura
クラブフォトといえば個人的にこの人!

イベントの撮影はもちろん多くのアー写を手がけるフォトグラファー。
家-Yeah- では三人のカメラマンが参加していたのですが、今回はToshimuraさんが撮影した写真を参考にさせていただきました。

Twitter / Instagram

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Carpainter - Returning

日本のクラブミュージックでトップのレーベルの一つTREKKIE TRAXの主要メンバーであるCarpenterのアルバム。
三浦大知の"Excite"がオリコン1位を取得するなどPopフィールドでも大活躍の彼だが、アルバムは彼のルーツであるDetroit Technoや90年代のRaveを現代式に仕上げ、どれもDJで武器になるような楽曲が収録されている。
個人的に今作を聞いて00年代のJimmy Edgarを思い起こされたんだけど、リリース後にCarpainterが影響を受けた楽曲を紹介するプレイリストにJimmy Edgarの楽曲が入れてたのでやはり!とニヤッとしました。
今作が気に入った人はJimmy Edgarも気にいると思うので合わせてチェックして欲しいです。

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選んだ理由はふたつ。今回の重要なシーンの一つLOUNGE NEOの描写で彼の兄Seimeiとのユニット、Seimei & TaimeiのDJシーンを描いていること。もう一つは、「Returning」というタイトルに昨今の状況を乗り越えてクラブのある日常が戻ってきて欲しいという願いを込めました。

後半:駒澤零(漫画)

今回、元ネタ紹介を通り越してブログのようになってしまいました。先に謝っておきます。薄目で読んでね。

京都VOXhall

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京都・三条に存在したライブハウス。1980年にBIG BANGという名前でオープンし、40周年イヤーの矢先にビル都合で2020年4月に閉店

友人のSSW・大槻美奈がライブしていた場所で、行きたいと思っていた矢先に閉店してしまい凄く残念だったので今回お願いし、登場させてもらいました。

◆松任谷由実 - 思い出に間にあいたくて

投稿タイトルを曲名にしてみたかった。「思い出に間にあいたくて」はユーミン純愛三部作の第一弾『ダイアモンドダストが消えぬまに』に収録の楽曲で、そもそもこのアルバム自体実験的な楽曲が多い。このアルバムから松任谷正隆がレコーディングにシンクラヴィア(当時最先端のデジタル機材)を導入したらしいが、1曲目の「月曜日のロボット」にふんだんに盛り込まれたニューウェイブ色だったり、「LATE SUMMER LAKE」のビートメイクだったり、デジタル的なアプローチとポップスのバランス感が本当に心地いい。

純愛三部作は『Delight Slight Light KISS』と続き、LP販売自体も三作目の『LOVE WARS』(1989年11月)を最後に終了している。

ユーミンといえば「星空の誘惑」と「ESPER」が好きです!という程度には『REINCARNATION』狂いの私だが(やはり1983年は黄金時代である)、とはいえこの時期も見逃せない。Delight Slight Light KISS = 舌を入れないキス 、という作品は誰もが知る名曲「リフレインが叫んでる」を収録したアルバムである。こちらはかなり打ち込み色が強くなり、予想を裏切る展開やブラスワークの美しさが隆盛を極める時期ともいえる。

比較すると、楽曲のサウンドメイクが明らかに打ち込み中心に移行してることがわかると思う。元々ESPERはアルバム内でも”歌謡曲"感が薄い曲だが、それでもはっきり違いがわかるのではないだろうか。ちなみに純愛三部作の直後、1990年に名盤『天国のドア』がドロップされることを考えると、その布石を追うのも楽しい。(でもユーミン初心者は『REINCARNATION』か『DA・DI・DA』から入ったほうがいいかなとは思います)

思い出に間にあいたくないですか?自分は間にあいたいです。

◆山下達郎 - FOR YOU (ピクチャーレーベル)

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私が「SPARKLE」を知ったのはこのヨシノさんのカヴァーで、ヨシボサウンドと混ざり合った上質な曲の良さに完全にノックアウト。元々自分は中学から芳川さんのファンで、主宰してる音楽ユニット"nemuigirl"でもラブコールを送ってリミックスを作って頂いたくらいなのですが、彼の歌ってる曲の中でもかなりお気に入りのトラックです(カバーだけど)。一番好きなカバーはもう消えてしまっているのでここでは書けませんが、原曲の良さを現代的なアトモスフィアとヨシノさんの天才的なシンセワークでアップデートさせていて、めちゃくちゃ素晴らしいカバーだと思います。贔屓目を抜いても。

完全にオタクが出てしまった。でも、それまで山下達郎って私の中で「クリスマス・イブ」の人でしかなくて、「SPARKLE」を知ったことで曲の強度にかなり信頼感が湧いたというか、とにかく衝撃的だったんですよね。余談ですが、浦上想起さんのカヴァーも良いです。前にライブで絶叫した。ぜひ。

サブスクにないので、良いなと思ってもそれっきりだったんですが、なんと今年の春、菊地成孔に気が狂うほどハマったところで、偶然再会。2010年にTBSラジオで放送していたラジオ番組「菊地成孔の粋な夜電波」の前口上を切り取った動画です。ひとまずどうぞ。

もーさあ、泣くよね!!?!?!

あの、ぶっちゃけると、本当に、ガチで、この回が本当に好きで、何度も聞き返しています。救われてるという言葉を使うと陳腐になるけど、でも、こんなに美しい音楽の、希望の在り方を知らなくて。

80年代シティポップの代表格といえば、山下達郎「SPARKLE」らしいのですが、そんなことを1ミリも知らない私でもはっきりと、これが一番最高だって思っちゃった。希望だなって。バブル全盛の中、都市型ライフスタイルのBGMとして機能した華やかな音楽がシティポップなら、その幸福感に満ちたキラキラした祝福のムードを体現するのにこんなにふさわしい曲はない。1982年。やだなー、ピンナップス*1)が解散した年じゃん!

*1) ピンナップス …駒澤が好きすぎてコピバンまでした日本のパワーポップ・バンド。元ガールズのリタ(野元貴子)により1980年結成、1982年解散。リタは解散後ゲートボールというバンドを始めるが、これも1年で活休。でも曲良いから聴いて!(廃盤ですが、タワレコから再発出てます)

そんなこんなでの採用ですが、なかでも1985年6月5日に発売された「ピクチャー・レコード版」を描かせてもらってます。「FOR YOU」のLPは今までに3回発売されていて、1982年1月21日がオリジナル、2002年2月20日が本人監修のデジタル・リマスタリング版(LP BOXの中の1枚)なのですが、これは1985年に限定生産で作られたピクチャー・レコード版です。ピクチャー・レコードとはLPの盤面を写真素材でコーティングしたもので、美しいイラストレーションを特大サイズで楽しめることもあって、いまや海外人気も高い。

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同じピクチャー・レコードで700枚限定プレスのプロモーション版『FOR YOU』は裏面がノンストップMIXになっており、かなりプレミアがついてます。ちなみに同日に『COME ALONG』『COME ALONG II』もピクチャー・レコード盤が発売されてたりします。

◆今井美樹 - femme

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栄免さんから頂いた取材資料写真の中で気になったアルバム。今井美樹はPRIDEしか知らなかったのですが、これ1stにしてとんでもなく名盤ですよ!

リリースは1986年12月。もうなんか怖いくらい全部いい。初手の和音構成がキマりすぎててヤバいし……逆に怖くなってきてクレジットを見ると、ほとんどの編曲を佐藤準、小林信吾の両名が担当している(デビュー作であるM5「黄昏のモノローグ」のみ鷺巣詩郎)。

え!?!!?徳永英明「LOVE IS ALL」中原めいこ「ロ・ロ・ロ・ロシアンルーレット」の編曲を手掛けた佐藤準さんじゃないですか!?!?!?!

大騒ぎの仕方が個人的すぎる。他にも光GENJI、中森明菜などの編曲を担当。一方、小林信吾さんはWinkをはじめ、浜崎あゆみ、奥華子などを手掛けたプロデューサーです。

さて、Winkといえば…?

先日「ディグインザディガー番外編」として、ハレトキドキのPR漫画を描かせてもらいました(ハレトキのみさつんはWinkが大好き)。公開後ちらほらと「brinqさんが顔隠れてる」「みさつんしかいない」とのお声をもらいましたが、今回ちらっと本編登場する伏線でした。はーい!

ディグディガ3話-2

このページにbrinqさんが映り込んでます。機種まで特定できなかったけどショルキーも描いてます。「タッチミー」MVの3分ごろの衣装セット。

登場にあたり、brinqさん本人に持ってるレコードの選盤をお願いしたので、そちらの解説も以下に掲載します。 Twittersoundcloud

RAMU - THANKS GIVING (Pink Vinyl)
菊池桃子の甘いVOと80年代後期のモダンなアレンジが際立つ最高の一枚。
収録曲の少年は天使を殺す、Tokyo野蛮人は今のDJシーンでも響くものがあり、初めて昭和歌謡~など掘りたい方にもおすすめ!

あと、同ページにTORIENAさんがいます。絶対誰も気づかないだろうと思ったのですが、好きなのでこっそり描きました…!またいつかゲームボーイプレイ見たいな。

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今回はネームをミスって背景描きこみ祭にしてしまったため、作画が非常に大変でした。良く知っている場所ばかりなので、気合は十二分だったのですが…それとこれとは別ですね……。次から考えます!(笑)

今回のプレイリストはこちら。

以上、ディグディガ3話の元ネタ紹介でした。ありがとうございました!






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