「ディグディガ」元ネタ紹介:9.5話
これは、漫画「ディグインザディガー」9.5話公開に際して、原作の栄免建設と漫画担当の駒澤が淡々と元ネタ紹介をしていくコーナーです。
前半:栄免建設(原作)
◆The Game Feat. 50 Cent - How We Do
The Gameのデビューアルバム『The Documentary』からのシングル。
ウエストコーストを代表するMC、The Gameが50Centを客演に招いた楽曲。
プロデュースはウエストコースト(西海岸)を代表する存在、Dr. Dre。
The Gameは00年代から現在でも活躍する、コンプトン出身のギャングスタラッパー。日本語ラップからHiphopに入った僕が、USのHiphopで一番最初に好きになったラッパーだ。なんなら元々デビューアルバム名を『N.W.A Vol.1』と、Dr. Dreが所属していたウェストコーストの伝説的なHiphopグループ「N.W.A」のもじりにしようと考えていたぐらい。
Dr. Dreと50Centをエグゼクティブ・プロデューサーに迎えたデビューアルバム「The Documentary」はウエストコーストのみならず00年台を代表する
Hiphopアルバムの一つだ。How We Do以外にも、同様に50Centを客演に招いた「Hate It or Love It」ではグラミー賞を2部門でノミネート。
最高のコンビに思えたThe Gameと50Centだが、確執からこの後Beefに発展。現在は落ち着いたらしいので、またコンビでの曲を聴いてみたい限りだ。50Centは現在本作をリリースしたDr. Dreのレーベル "Aftermath Entertainment" から脱退しているが、次作のタイトルが『Doctor's Advocate』だったり、Dr. Dreのプロデュース楽曲に参加していたりと、蜜月関係は続いている。
◆Tony Banks - Charm
ブロックバンド、Genesisのキーボーディスト、Tony Banksの1983年のリリース作「The Fugitive」収録曲。
Genesisは60年台から活動し、2010年にロックの殿堂入りを果たした人気ロックバンド。Tony Banksはそのキーボーディストで、本作では彼自身がリードボーカルを務めている。
アルバム全体を通して、独特ながらポップなシンセサウンドを聴くことができるので良い刺激になりました。
何故このアルバムを選んだかというと、先述のHow We Doのビートがこの
アルバムリリースと同時の83年に作られたという噂があること、50Centを中心としてHiphopグループ、レーベルのG-UnitのメンバーにLloyd Banks(別に名前の由来とかは全く関係ないです)がいることからです。
◆hirihiri - hirihiri 808 preset
今僕が日本人で一番注目してるアーティストがhirihiriだ。
所謂Hyperpopと呼ばれているサウンドを得意とし、このジャンルにおいて日本人で一番活躍してるプロデューサーなんじゃないかな。インタビューで音割れやHyperpopについての考えが読めるので是非チェックしてほしい。
そして今回は、彼が配布しているプリセットを制作に使用させて頂いた。
彼のpixivFANBOXでは加入者限定でDemoや解説のほかに、彼が楽曲で使用したプリセットやサンプルパックの配布などが行われている。今回に限らず僕もよく利用しているので、Hyperpopに興味がある人などは、ぜひ支援することをおすすめします。
◆RC-20 Retro Color (XLN Audio)
近年のLo-Fi hiphop、ちょっと遡ればChillwaveなど、あえて音質を劣化させたローファイ(Lo-Fi)・サウンドも高い人気が続いている。現在、かなり多くのテープシュミレーション系プラグインが出ている中、個人的に一番手っ取り早いLo-Fiサウンドを手に入れられるのが、このプラグイン。
特に「Wobble&Flutter」は簡単にピッチの揺らぎを得ることができるので、Lo-Fiサウンドに限らず、幅広い用途で使用できる。
この曲のイントロ部分は、RC-20を強めにかけて作っている。
今回はサンプリングしたフレーズのピッチを不安定にする目的で使用した。
◆Ozone (iZotope)
最近劇的なセールを連発してる、iZotope社を代表するプラグイン。現行のバージョンは9。
最大の特徴はAIを駆使して自動でマスタリングをしてくれるという点。突き詰めると奥深いマスタリングの工程を、配信フォーマットに合わせて数秒でやってくれる。僕はもうちょっと色々マスターにエフェクトを差すんだけど、四季乃の曲に関しては Ozoneしか差さないようにしています。
◆Vocal Synth 2 (iZotope)
同じくiZotopeのプラグイン。
5つのモジュールを組み合わせ、プリズマイザーなどの独特なヴォーカルエフェクトをかけることができる。
これの2分あたりからのヴォーカルにかけてるのがわかりやすいかな。
かなり印象深いヴォーカルになるが、プラグインとしてはかなり重めなのが難点。今回は「How We Do」の部分だけ加工をして薄く重ねている。
◆Boz Digital Labs - Little Clipper
リミッター、クリッパーエフェクト「Big Clipper」の簡易版。
特定の音量以上出力しないようにするリミッターをより過激にしたもの。特定以上の音を抑えるというより、シャットダウンするので歪んだ出力になる。ドラムなどにかければサウンドを派手にすることができるが、今回は楽曲全体にこれをかけることで音割れを意図的に発生させる目的で使用している。クリッピングと呼ばれる低音で音を割るというのがちょっと流行ってて、Hiphopを始めHyperpopだとかTrap Metalだとかだとよく聞かれる。
Billie Eilishの楽曲でもみられる。
Little Clipperは、この手のサウンドを簡単に作り出すことができる。非廉価版のBig Clipperもセールでかなり安かったので、正直そっちを買っとけばよかったなと後悔してます。
◆Auto-Tune Access (Antares)
代表的な音程補正ソフト。強めにかければ、いわゆる「ケロケロボイス」を作り出せる。使用された代表曲としては、
Cher - Believe (1998)
Daft Punk - One More Time (2000)など。
しかし、音楽業界全体として流行したのはやはり、T-Pain「I'm Sprung」がきっかけだろう。本作を機に00年代後期にLil Wayneやwill.i.am、Kanye Westなどの人気ラッパーがこぞって使用し、ポストハードコアなどジャンルを隔てて世界的な大流行を起こした。
日本ではPerfumeのお茶の間まで広がった印象があるが、何気にKrevaが世界的に流行する前の2004年にソロデビュー作「希望の炎」で使用している(多分僕が初めて聴いたオートチューンの楽曲)。
しかし音痴でもある程度聞けるレベルに変えてしまうと言われたり(案外うまくいかないが…)、JAY-ZのD.O.A. (Death Of Auto-Tune)活動など、アンチAuto-Tuneの動きもあって以前よりは見かける機会が減ってきたかな。僕自身はこのサウンドが大好きなので、うす~く歪系のエフェクトを足して尖らした加工をよく施しています。
後半:駒澤零(漫画)
日本テレビ系列で放送中の1963年から続く料理番組。
社名など、正式な表記は「キユーピー」。読み方はキューピーなのに…。また、タイトルで「3分クッキング」と謳っているが、放送開始当時は5分枠番組で、実際の内容部分が3分間だったことが由来。事前に下処理のされた食材が登場することが多く、実際に3分で作れる料理は少ない。
ちなみに、現在の放送時間は10分間(CMを含めると15分ほど)である。通説に「『3分で出来るぐらい簡単な料理』という意味が込められている」というものがあるが、読売新聞の特集掲載時に公式で否定されている。
◆キグルミ - たらこ・たらこ・たらこ
「た~らこ♪た~らこ♪たーっぷり、た~らこ♪」のCMでお馴染みの楽曲。初回限定盤にあたる「たっぷりたらこボックス」の裏ジャケが元ネタです。
箱の中にはたらこキューピーのストラップやMVが収録。かわいい。
知名度だけは高いこの曲ですが、なんと作曲は戸川純などを擁するバンド、ゲルニカの上野耕路が担当しています。知ったとき結構びっくりした。
上野耕路はソロ作品も結構良いのでよければチェックしてみては。
◆Dorian Electra Sample Pack
私はSpliceを使ってないのでこのサンプルパックの存在は知らなかったのですが、栄免さんにDorian Electraの紹介を頼まれたので書きます。
1992年、アメリカ生まれのシンガーソングライター。性別は非公開で、流動的だとしている。親友が「泣きガバ」にドハマりしていた時にMVが送られてきて仰天したのがきっかけで好きになった。
実はこのコマ…
けいおん!の映画化記念に発売された平沢唯COSPA製ジャケットの構図パロです。けいおんを見てた頃は何とも思ってなかったのに今はキャラの名前を見るたびにP-MODELだなあとソワソワするようになってしまいました。
今回のプレイリストはこちら。
以上、ディグディガ9.5話の元ネタ紹介でした。ありがとうございました!