米国の熱ストレスは、今世紀末までに2倍になる可能性がある。

画像1

米国のNSF(National Science Foundation/全米科学財団/国立科学財団)はは2021年06月07日に、米国地球物理学連合の学術誌(Earth's Future, an American Geophysical Union journal)「Earth's Future」に掲載された最新の研究によると、世界がこのまま高濃度の温室効果ガスを排出し続けると、2100年までに米国48州の下層部で極端な高温の期間が2倍になると予測されていると報告した。

この熱ストレスは、人口が増加している地域で最も強く感じられるという。太平洋岸北西部、カリフォルニア州中部、五大湖地域では、過去40年間と比較して3倍もの増加が予想される。

画像2

熱ストレスは、気温と相対湿度の両方が十分に高くなり、人体が余分な熱を取り除くことができなくなった場合に発生し、脳卒中や熱けいれんなどの健康障害を引き起こす。

https://time-az.com/main/detail/74577

クレムソン大学の土木工学者で、米国国立科学財団が資金提供した研究の著者であるアショク・ミシュラ(Ashok Mishra, a civil engineer at Clemson University and an author of the U.S. National Science Foundation-funded study)は、「何の緩和策も講じなければ、熱ストレスの影響はますます大きくなるでしょう。」と述べている。

画像3

Earth's Future
Research Article
Open Access
Anthropogenic Warming and Population Growth May Double US Heat Stress by the Late 21st Century
Sourav Mukherjee1,
Ashok Kumar Mishra1 ,
Michael E. Mann2 , and
Colin Raymond3
1Glenn Department of Civil Engineering, Lowry Hall, Clemson University, Clemson, SC, USA,
2Department of Meteorology and Atmospheric Science, Pennsylvania State University, University Park, PA, USA,
3Earth-Science Division, Jet Propulsion Laboratory/California Institute of Technology, Pasadena, CA, USA

First published: 26 April 2021 https://doi.org/10.1029/2020EF001886

Sourav Mukherjee1, Ashok Kumar Mishra1 , Michael E. Mann2 , and Colin Raymond3

画像4

人為的な気候変動により、世界中で平均気温が上昇している。しかし、人々は、ゆっくりとした均一な温暖化には、極端な出来事ほど気づかないものである。

アショク・ミシュラと共同研究者は、気温と相対湿度が全般的に上昇すると同時に、熱ストレスがどのように増加するかを調べたいと考えた。

彼らは、多くの地域で平均気温の上昇を経験し、人々は新しい正常な状態に順応していくが、年間の中央値をも上回る極端に高い暑さ指数のピークは、引き続き人々の健康に悪影響を及ぼすだろうと想定した。

これまでの研究では、極端な熱現象がどのように深刻さ、頻度、期間を増加させるかを検討してきたが、ほとんどの研究では、これらのうちの1つを単独で調べていた。アショク・ミシュラたちは、排出量が多いシナリオのもとで、将来的にこれらすべてがどのように増加するかを計算した。

画像5

NSFのエンジニアリング部門のプログラムディレクターであるブルース・ハミルトン(Bruce Hamilton, a program director in NSF's Directorate for Engineering)は、「今回の研究は、効果的な緩和策を実施することがいかに重要であるかを強調している。」と付け加えた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?