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イギリス中銀、気候対策遅延で多額損失も、国内金融機関に健全性審査。



ヨーロッパ経済ニュースEUROPE NNAは2022年05月26日に、イギリス中銀イングランド銀行(Bank of England)は2022年05月24日に、気候変動が国内金融機関にもたらすリスクを審査する「気候変動ストレステスト(Climate Change Stress Test/健全性審査)」の1回目の結果を公表したと報告した。

https://time-az.com/main/detail/76965

銀行の気候変動対策が遅れれば、貸倒損失は総額£2,250億に上る恐れもあるとしている。

このストレス・テストは、気候変動自体の物理的影響と、排出量削減に向けた取り組みの両方が金融機関の財務基盤に及ぼすリスクを2年に1度審査するもので、初の審査となる今回は、国内の大手銀行7行と、生命保険大手5社、損害保険5社などが参加した。

イングランド銀行は、2050年までの気温上昇を摂氏1.8度に抑えるために、各社が早期に対策を取った場合と、対策が遅れて混乱が生じた場合に加え、何の対策も講じられず気温が3.3度上昇した場合も想定。これら三つのシナリオを20年末の各社の財務諸表と比較した。

この結果、銀行の50年までの貸倒損失は、早期に対策を取れば合計で約£2,000億、対策が遅れた場合には約£2,250億になると予想。

対策なしのシナリオでは、保険金の収入により損失が緩和される可能性があるものの、対策が遅れた場合と同じレベルになるとみており、損失は50年以降も続くとしている。

一方、保険会社の資産価値は、早期対策シナリオでは8%減にとどまるものの、対策遅延シナリオでは11%減となり、対策なしのシナリオでは15%落ち込むとみている。

イングランド銀行は、銀行や保険会社は全体として、気候変動対策のコストを吸収できるとした上で、こうしたコストは早期に対策を講じた場合の方が低く抑えられるとしている。


また、金融機関は自社が晒される気候変動リスクへの理解をさらに深めるべきと指摘している。

気候変動ストレステストでは、通常のストレステストと異なり不合格の銀行に資本増強を求めるといったことはないものの、リスク管理の不備が認められた場合には、中銀が追加資金の確保を要請する可能性もある。

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